趙の王都である『邯鄲』を攻めるべく、趙軍の防衛網を押し込んでいく秦軍。
そんな中、少数の部隊が秦軍の前線より趙の東へと移動する。
そうして……。
「初めまして、『燕』国のオルド大将軍。会っていただき光栄です」
「初めまして、李信大将軍。こちらこそ前の時と言い、面白そうな話を持ち掛けてくれた」
とある場所にて李信は燕国のオルド大将軍と会合をしていた。無論、どちらも少人数であり、誰も近寄らないような場所でだ。
「それでどうです? 共に扈輒を討ち取るため戦いませんか。無論、扈輒の首は其方に」
「幾つかの趙の領土も分け合うという話だったな……ふふ、前は私が動いたのを良い事に趙の王都周辺の地を次々と獲っていったのだから驚かされたわ」
「そちらも激しく趙の王都近くまで東における趙の防衛網を崩したではないですか」
「崩せるだけ、崩しておかねばならんからな……それで話には乗らせてもらう事にしよう。李信、お前の実力を見ておかねばならんしな」
「ええ、こちらもオルド大将軍の実力を見させてもらいます」
李信とオルドは今後についての動きを話し合いつつ、共に趙の大将軍である扈輒を討つため、協力し合う事となった。
そうして、話が纏まると李信は前線に戻った。そうして新年が近い事もあり、前線を維持しながら趙軍と睨み合う形を取る。
時間は過ぎていき、始皇十三年(紀元前234年)になると秦の王都が咸陽より趙との前線にいる李信に王翦と桓騎、そして趙北部の軍を抑えている楊端和に対し咸陽に集結するよう、連絡が来た。
何故、趙の前線にいる秦軍の将軍にも集結するよう、連絡が来たのか……。
それはかつて秦にあった制度、『六大将軍』を復活させその任命式をするからだ。
『六大将軍』――この六将に選ばれた大将軍たちには様々な特権が与えられる事になり、一番大きいのはやはり、『戦争の自由』だ。
現場で大胆な展開をする時にいちいち咸陽にある本営の確認を取らず、より素早く大胆な戦いが出来るようになるのだ。
そしてこの『六大将軍』に選ばれたのは……。
「第一将、王騎入れ」
「ココココ、また熱い時代の始まりですねぇ」
王騎が秦王である嬴政の指示により、部屋へと入室する。
「第二将、蒙武入れ」
次に蒙武が入り……。
「第三将 王翦」
「第四将 楊端和」
「第五将 桓騎」
王翦と楊端和に桓騎も入っていき……。
「そして第六将、李信」
「(ここまで来たぞ、漂)」
李信が最後に入りながら、天にいる漂へと内心で語りかけた。
こうして今の時代、秦は新しい六大将軍として王騎に蒙武と王翦に楊端和、桓騎と李信を選んだ。
これに当然、他の国々は驚愕していき……。
『(一番戦争の自由を与えちゃいけない奴に与えやがってぇぇぇぇっ!!)』
李信が六大将軍として戦争の自由を得た事に対し、趙は勿論、楚に魏、韓は特に頭を抱える事となったのであった……。