始皇十三年(紀元前234年)――中華統一に向けて新しい六大将軍を用意した秦。
その六大将軍の内、王翦に楊端和、桓騎とそして李信という四人の大将軍が趙王都である邯鄲を攻略すべく侵攻を再開した。
そうして戦争の自由もあって、今まで以上に前線を押し込んでいき、邯鄲を守るべく防衛網を用意している扈輒軍の本体と激しくぶつかり出した。
そんな中、趙は秦軍の動きに呼応して別の場所から侵攻を開始した軍と戦い始めた。
別の場所とは趙東部であり、侵攻を開始したのは『燕』のオルド大将軍である。
「おのれ、オルドめ……完全に秦と組みおったな……それに扈輒将軍がいないからと調子に乗りおって」
オルド大将軍に対抗しているのは趙の北東部長官である
「く……李牧様がいてくれれば……」
趙泊は今では数少なくなっている李牧に友好的な者でもあり、密かに李牧から東部を守るための戦略も聞いていた。
それを実行する事で何とかオルドの侵攻に対抗しているのである。
「ふん……これは李牧の入れ知恵だな……追放される前に置き土産をしておるとは流石よ」
趙泊と戦っているオルドは彼とも何度も戦っているのでその実力は把握している。故に今、見せている戦術に戦略は彼個人によるものではなく、李牧の入れ知恵であるとすぐに把握した。
「とはいえ、それも悪あがきのようなものだがなぁ」
オルドは趙泊の軍へと隙を作り、猛烈な攻撃を仕掛けようとして……。
『オオオオオオッ!!』
突如、争っている趙軍と燕軍の戦場を駆け回る一つの巨大な獣が現れた。
掲げる旗は『秦』である。
「ふはは、流石だ李信。良いところで来てくれた」
密かに同盟を結んでいるオルドは一つの巨大な獣となって戦場を駆ける李信とその麾下千の騎馬隊を見ながら呟き……。
「な、り、李信だとぉぉぉぉぉっ!?」
前年の戦いにおいて大きく趙軍を追い詰め、李牧すらも窮地に追いやった李信の登場に趙泊は大きく驚愕する。
そうして……。
「いくぞ、紅飛。」
李信は紅飛に呼びかけると愛馬に本気を出させた。その速度はどの馬をも超越したものであり、あっという間に趙軍の陣の中心へと迫っていく。
そんな中で李信は矛を旋風の如く振るって、目の前にいる趙軍の兵や将を肉塊にし、その身から鮮血をばら撒かせていく。
無論、それに続く騎馬隊も尋常ならざる武と戦意を持って趙軍を蹴散らしていき……。
「我等もやるぞおっ!!」
大きく敵陣が崩れた事でその間隙を衝くべく、オルドは猛進撃を開始。
「くそ、退却。退却だぁぁぁっ!!」
こうして趙泊は敗走を余儀なくされる事となったのであった……。