キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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十一話

 

 『秦』と『魏』による蛇甘平原での戦に信は徴収兵として参加し、そうして千人将である縛虎申の軍に編制され、前線へと配置されて『全軍突撃』の号令は下された。

 

 そうして……。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 信は疾風迅雷の如き勢いと速度で疾走すると共に前で陣を組んでいる魏兵へと突撃し、そうして超常なる武威を込めた剣を壮絶なる技にて振るい、それは鋭く流麗な剣閃乱舞と化す。

 

 

 

『うぐあああっ!?』

 

 縦横無尽に駆けながら繰り出される剣閃乱舞は魏兵の悉くを斬断していき、道が切り開かれていく。

 

「(信、あんなに……)うおおおおっ!!」

 

「続け、あいつに続けぇぇぇっ!!」

 

 信の武勇と勇姿は味方である秦軍の戦意を高め、力や勢いを引き上げていった。

 

「な、なんなんだよ。あいつは……ぐびゃ」

 

「あ、あんな兵が……うぐあっ!!」

 

 信の武勇と勇姿は敵である魏軍を恐怖と絶望に追いやり、戦意を下げていき、力や勢いを引き下げていく。

 

 

 

 

 そうして……。

 

「(あそこだ)しっ!!」

 

 信は台の上で指示を出している隊長の姿を一瞬見ると足元に落ちていた槍を蹴り上げてすかさず、空けていた右の逆手で掴み取ると投擲する。

 

 

 

「ぐはっ!!」

 

 信が飛来させた槍は隊長の腹部を穿ち貫いた。

 

「な……たい、「隙だらけだ」」

 

 そうして、自分たちの隊長がやられた事に呆然とした魏兵を更に切り伏せていく。

 

 「(この地鳴りは……)」

 

 地鳴りの感触に気を付けていると……。

 

 

 

 

『うおおおおっ!!』

 

 二頭の馬で動かす、複数の兵士が乗った台車でありその車輪は刃付きという戦車で構成された戦車軍が砂風を巻き起こしながら、進軍する。

 

 

 

 

 

「……いくぞおおおっ!!」

 

 その戦車隊へと信は疾走し……。

 

 

 

 

「しっ!!」

 

 信は体勢低く、まるで間隙を潜り抜けるようなやり方で戦車を率いる馬の脚を切断していく。

 

「んなっ!?」

 

 馬が倒れた事でバランスを崩した戦車は地面へと飛ぶように倒れ……。

 

 

 

 

「な、なにっ……ぎゃっ!!」

 

 その倒れた戦車に引っかかり、進む戦車は崩れて倒れる。

 

「おおおっ!!」

 

 倒れないように速度を落としたり、進路を変える戦車に対し体勢低く、駆けながら馬の足を斬り飛ばしたり、地面にて転がった槍や盾を馬の足や戦車の車輪に投擲する事でつっかえさせるようにして倒していく。

 

 

 

 

「はあっ!!」

 

 そして、戦車隊の隊長が乗った戦車を見つけると横合いから疾走して向かっていき……。

 

 

 

 

「死ね」

 

 跳躍しながら剣を華麗であり、流麗に舞い踊らせると隊長とその側近の身を解体し、鮮血を飛び散らせた。

 

 

 

 

『う、うおおおおっ!!』

 

 信の伝説染みた大活躍に歩兵たちは喝采の声を上げる。

 

「皆さん、魏の戦車隊は第二波が本軍です。気をつけてください」

 

 澤圭のそれを聞きながら、信は意気高く立ち上がっている戦車を率いていた馬の一頭を見つけた。

 

 

 

「まだ駆けたいか……」

 

 その馬に近づき、語り掛けると目で『是』と伝えてくる。

 

「良いだろう」

 

 戦車に繋がれていた紐を切り、信は馬に乗った。

 

 

 

 

「皆、戦車隊はこの障害物の多い場では速度を抑えざるを得ない。そして、戦車は馬や車輪の平衡を崩すと脆い。それを狙え……勝つのは俺達だ。やるぞぉっ!!」

 

 

『おおおおおっ!!』

 

 信の叫びに皆が応じる声を出した。そうして……。

 

「なっ、ここはまずい。せ、旋回「遅い」」

 

 

 信は速度を緩め始めた戦車隊に馬で突撃し、次々と戦車に乗った敵兵に剣閃乱舞を繰り出し、斬断しながら進んでいく。その中で他の兵も信の言う通りのやり方で戦車を崩しそれを操っていた兵を殺していく……。

 

 

 

「あ、あのガキは一体……」

 

 魏による第二の戦車隊の隊長は信が巻き起こす武威の結果に混乱し、絶望すると……。

 

 

 

 

「はあっ!!」

 

 前方から馬に乗って駆けてきた信によって、側近も纏めて嵐の暴威を体現するような信の剣捌きの餌食となり、その身を幾多もの肉片にばら撒かされ、鮮血も飛び散らせたのであった。

 

 「皆、右だ。右に集まれぇぇぇっ!!」

 

 信はその後、戦車で蹴散らされた他の前線へと騎馬で駆けながら、戦車を蹴散らした自分たちの前線の場を叫んでいく。何とか難を逃れた者や今だ戦意高い者は次々と集まっていった。

 

 

 

 そうして信たちがいた前線へ次々、まだまだ戦える歩兵たちが集まる。

 

 丘から魏兵が次々と駆け下りてきた。そう、魏兵はまだまだいるのである。

 

 

 

「皆、くじけるなよ。俺が道を切り開いてやるからついてこい。いくぞぉぉっ!!」

 

『うおおおおっ!!』

 

「その意気だっ、皆行くぞ」

 

 そうして、この戦の総大将である麃公によって突撃の号令が下された信たち歩兵の後ろで待機していた騎馬隊が後ろから出ると共に縛虎申が声をかけながら、騎馬隊を率いて前にいる兵へと突撃する。

 

 

 

 信も騎馬兵として突撃し、次々と魏兵を剣閃乱舞にて斬断する。

 

 

 

「信、また凄まじい程に強くなったな。そして流石だ」

 

「流石と言うか、ヤバいガキがいたな。頼もしいが」

 

「どうも」

 

 そんな信に壁と彼の友人でもある尚鹿が声をかけて、信は頭を下げた。

 

 

 

 

「縛虎申隊、集合!!」

 

 縛虎申から集合の号令をかけられたので向かい……。

 

「これより我が隊は丘頂上にいる魏副将宮元の首を取るため突撃するっ!!」

 

 縛虎申は強行突破をすると言い……。

 

「小僧、お前の武勇と騎馬の技は見事だ。故に伍を離れ、俺たち騎馬隊に同行しろ。優秀な騎馬こそこの作戦には必要だからな」

 

「ありがたく、同行させてもらいます」

 

 縛虎申の命令に信は頷き、縛虎申の騎馬隊に加わるのであった……。

 

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