秦軍と趙において『邯鄲の守護神』と呼ばれたほどの大将軍である扈輒の戦は李信とオルドによる『影丘』の突破、それを機として自らが元々率いていた兵、野盗たちの特性を活かして偽兵戦法を用いて兵の数を見誤らせながら、敵本陣奇襲をした桓騎により、戦況は大きく秦側に傾いた。
そうして最後には本陣から脱出を図る扈輒の逃走路を読んだ桓騎と彼の戦略を読んでいた李信にそれに続いたオルドが囲み、最後には李信が約束通り、扈輒をオルドに討ち取らせて決着したのだ。
無論、扈輒の本陣も壊滅しそうして、後の趙軍は平陽や武城へ敗走したり、秦軍へと投降し、捕虜になったりした。
その捕虜の中には伏兵によって部隊が壊滅した扈輒の部下であった龍白公とその息子たちの姿もあり……。
「先に行っておくが、武器や馬は流石に没収させてもらうが明日の朝には解放する事を約束しよう」
「っ、それは本当か……」
李信の捕虜に対する扱いとしては破格のそれに龍白公は驚く。自分の身と引き換えにせめて息子に他の部隊も含めた兵たちの命を助けてもらおうと思っていたからだ。
「ああ、嘘などつきませんよ。戦いの決着はついた。なら無用に血を流す必要もありません……俺達は確かに侵略者ですが、虐殺者でも殺戮者でも無いですからね」
「……」
李信の言葉に趙軍は考えるように沈黙する。
「ただし、分かっているとは思いますが俺達に反抗しなければです。抵抗や変に反逆されるとこちらもそれ相応の対処をしなければならなくなる」
「っ、ああ、兵たちについては私達が責任を持って抑えよう。ともかく、寛大な対応に感謝する。李信大将軍」
「俺もです、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
李信へと龍白たちは深く頭を下げて感謝を示した。
「良し、そういう事なら後で酒と食糧を持ってこさせましょう。では」
こうして李信は数万の捕虜たちとの対話を終え……。
「はははは、李信よ。本当に感謝するぞ。お蔭で怨敵だった扈輒の首を獲る事が出来たわ」
「こちらこそ、オルド将軍たちによって、この戦において難所であった『影丘』を抜けれたので感謝しております」
「ふふふ、あれぐらい俺達にとってはなんともなかったからな。それに『飛信隊』の勇猛さを見せてもらったのだ。ならば、あれぐらいはな」
「丘の攻略、本当にも見事でした」
李信はオルドと酒を飲みながら、勝利を祝い……。
「お疲れ様でした、桓騎将軍」
「ふっ、お互いにな……そして、早めに影丘を抜けてくれて助かった。やはり、お前は頼りになる」
「光栄です」
桓騎への元へも行き、互いの奮闘を讃え合い、酒を飲み交わした。
「桓騎将軍、俺には大将軍になる事を誓い合った友であり、血は繋がっていませんが、兄弟と呼べる漂という男がいました。俺より理想に燃える男でしたよ」
「……俺には
軽く自分にとって大切であり、自分の根幹を成している存在について語ったりしたのであった……。