趙北部にある『宜安』を獲るべく、軍を起こした秦軍にそれと協力する事を選んだ燕軍、そして秦に雇われている形の斉軍は宜安近くにある宜司平原にて趙北部の総戦力を集めた決戦に臨んだ李牧と激突した。
しかして、様々な李僕の思惑を上回った李信による様々な仕掛けや細工などによって秦軍は勝利し、李牧は討ち取られた。
総大将であった李牧が討ち取られた事で趙北部軍は降参したのである。そして、『宜安』の城主である袁環と話をし、『宜安』の無血開城をさせる代わりにその民たちに手を出さない事と今回、捕虜となっている趙軍に手を出さない事を約束し、それを李信は果たした。
『宜安』から来た兵たちは袁環に続いて秦軍と宜安へ……それ以外の者は『番吾』へと向かった。それは無論、宜安から攻め入り、番吾を攻める事になる秦軍の侵攻を少しでも防ぐためである。
そんな中で李信達は『宜安』へと向かい、袁環は『宜安』を無血開城した。
これにより李信達は城の中へ入り、桓騎のために財宝は全て桓騎軍に譲りつつもその代わりに『宜安』の者達への手出しをさせないようにした。
こうして、自らの名を持って、李信は改めて袁環に兵士、文官、民たちへ危害を加えない事を誓ってみせた。
そうして、李信は宜安の状況を整える事にする。反乱など起こされてはたまらないからであるし、反乱の芽が出ないように宜安の者達と交流し、分かり合うためだ。
更に敢えて状況に落ち着きを与える事で趙軍が死に物狂いとなって妙な事をさせないためだ。
人間、死に物狂いとなると何をしでかすか分からない怖いところがあるからである。
そして、更に……。
「李牧は我等、秦にとってもこの趙内で一番厄介であり、また間違いなく英傑の一人であると断言できる。戦い、打ち破る事になったのは残念であるが出来る事なら、協力し合いたかったものだ」
李信は李牧に対しての敬意として、宜安内にて大々的に弔う事にした。
袁環達は驚愕し、戸惑いながらもしかし、李信の言葉をしっかりと聞いていた。
「故に弔いをさせてもらう。彼を破った者の責任として、彼が恐れていた事態を起こさないように」
李信はそうして李牧の首を入れた首塚に李牧の死体を入れた棺の前で盃を掲げながら言う。
「李牧、立派だったぞ」
そうして、李信が盃に注いである酒を飲むと秦軍の者達も全員が飲み干していく。
「李牧様、せめて安らかに」
袁環達も李牧への想いを告げて弔うための酒を飲む。
「袁環殿、李牧について色々と話を聞かせてくれないか?」
「喜んで」
こうして、宜安の者達は秦軍は侵略者であれ、極悪非道な者ではないと理解していくのであった……。