趙北部にある『宜安』を李牧との戦で勝った事で手に入れた『秦軍』。
最も実質的には『秦』と『燕』と『斉』の連合軍であるが……。
そうして、『宜安』の中に入った李信は宜安の民や将に兵、文官たちと交流しながら統治に励んでいく。
実は李牧との戦に勝ち、捕虜とした『宜安軍』以外の趙の者も解放しており、そうした者達は宜安の近くにある『番吾』へと逃れていた。
無論、李信は番吾を取る事も目的にしている。しかして、統治のための時間稼ぎやら軍の編成やらをするためもあって、番吾へと三カ月ほど、休戦する事で李牧の死を悼むという提案を書いた文を送った。
これに対し、『番吾』側は了承した。
そうして宜安の者と交流する中で……。
「では、俺達は行ってくるぞ」
「ええ、お気をつけて」
オルドは李信へと宜安を出陣する事を言った。
一体、どこへ出陣するのかというと、李牧の管轄地であった『雁門』だ。
そして、『雁門』の次は『代国』である。この二つの地を取らせる代わりに李牧との戦において共闘してもらったのだ。
特に『代国』を取る姿勢を見せる事で『邯鄲』はこの代国に亡命するという選択を選ぶ事をさせないようにも出来る。
李信は更に『邯鄲』を大掛かりに包囲していくのだ。
そうして、オルド軍を見送りながら李信は『宜安』の統治に励んでいった。しかして、時間が過ぎるのはあっという間である。
李牧の死を悼むための休戦期間は過ぎ、宜安にいる秦軍と番吾にいる趙軍が戦をするための準備に励んでいく。
「全軍、出陣だ」
『宜安』を守るための兵を残し、オルド達、『燕軍』はいない状態であれど三十万は優にいた。対して『番吾』にいる兵力は十万程でしかない。
それはしっかりと掴んでいる情報だ。何故なら、趙軍の捕虜を解放した時に李信は飛信隊の秘密部隊の精鋭を潜入させているからであり、その者たちからの情報である。
そして、軍勢が軍勢なので『番吾』側は籠城を選んでいる。
そんな番吾の地へと秦軍は進軍を開始し……。
「番吾の者達に告ぐ。今、降伏し、城門を開ければ命だけは助けるとこの李信の名を持って約束しよう」
李信は『番吾』の城へと大きく呼びかけた。
「――。李信将軍は寛大なお方だ」
「何も無駄死にする事は無い。生きてくれっ!!」
番吾に身内がいるという趙の者も連れてきて、降伏を勧めさせた。
幾度か降伏を促したが……。
「我らは李牧様の意思を継ぐ……最後まで戦い抜くぞっ!!」
『侵略者である秦には負けない』
「ならば、仕方が無いな」
説得が無理だと判断した李信が自分の陣営へと戻る。
「戦の始まりだ」
『おおおおおっ!!』
戦の開始を皆へと李信は告げたのであった……。