『宜安』を手に入れた数か月後、ある程度統治し、自軍の状態を整えた秦軍は次の目的地である『番吾』へと攻めに向かった。
今回、この秦軍にオルド率いる『燕軍』は秦軍とは別に李牧が統治していた『雁門』と邯鄲が亡命地にする可能性が高い『代国』を攻め取りに向かったのでいない。
燕軍と宜安等の城を守るために兵を割いても秦軍には三十万もの大兵力がある。
とはいえ、戦をしないで済むならそれで良いので『番吾』に対し、宜安のものと交流する中で降伏を申し出てくれた者など含めて趙人と降伏を勧めた。
しかし、『番吾』の者達は李牧に殉ずる覚悟を決めていた。籠城戦ながら徹底抗戦の構えであったのだ。
相手がそういう覚悟なら、降伏を進めるのも野暮なので相手の覚悟を受け入れる事として李信達は攻城戦を開始した。
そして、李信は特に戦に関しては色々と準備をするものだ。無論、兵器開発などもしっかりやっている。
更には自分が討ち取った李牧の死を悼む期間を番吾に与えたが、それは宜安の統治もだが番吾を攻めるための準備をしていたのだ。
つまり、数々の井蘭車に床弩と投石器に衝車を持ち込めるようにしたのだ。
これにより、李信が率いる『飛信隊』の攻城部隊が怒涛の攻撃を仕掛けていく。
「く、くそ……は、激し過ぎる」
その怒涛な攻撃は気を抜けば、すぐに城を落とされる程のものだったので当然、飛信隊のほうに守備兵力を集めねばならなくなる。
ならばどうなるか……必然、他の城門等の守備が薄くなってしまう。そうして、城の守備が弱まっていくし、何とか防ごうと番吾を守る兵たちの意識がどうしても集中する中で……。
「良し、今だ」
「はっ!!」
李牧との戦に勝利し、捕虜とした者たちを解放する中で李信は飛信隊の秘密部隊の精鋭を潜入させていたのだ。そうして内部情報などを漏らさせていたのだが、今回においては城門を開けるべく、なにより攪乱させて防備を弱めるために秘密部隊は動いた。
秘密部隊の動きもあり、とうとう番吾は城門を壊され、城壁に昇られた事で秦軍の侵入を許されてしまう。
「突撃だっ!!」
『おおおおおっ!!』
李信は麾下千の騎馬隊と共に一つの巨大な獣となって疾走し、そうして立ちはだかった者達を矛を舞い躍らせる事で切り裂いて肉塊とし、そして鮮血を撒き散らしながら進んでいく。
「李信、いくぞぉぉぉぉっ!!」
番吾を守る将の中で一番強い猛将が李信に挑むために駆けていき……。
「はあああっ!!」
そうして槍による鋭い突きを放ったが……。
「その意気や良し。ぬんっ!!」
「が……お見事……」
敵将の突きを矛の柄を手元で回転させる事で絡め取りながら弾き、そうして矛による轟閃を繰り出し、胴を切り裂いた。敵将は李信の武を賞賛しながら、倒れていく。
「敵将、討ち取ったっ!!」
そう宣言しながらも進み続けながら敵を倒していき、こうして『番吾』は秦軍によって陥落したのであった……。