キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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十四話

 

 秦と魏による蛇甘平原での戦は秦軍総大将である麃公が魏軍総大将である呉慶を一騎打ちにて討ち取った事で秦軍の勝利という結果になった。

 

 その後、麃公は帰国を宣言して秦軍は自国の領土へと戻っていく。秦国安見までの道中にて信は亜水へと向かった。なんと麃公から招待を受けたからである。

 

 また、酒を飲むという事で今回の戦を観戦(睨みを効かすくらいの事はしたが)していた王騎も麃公から招待を受け、亜水へと向かう。

 

 

 

 そうして……。

 

「麃公将軍……この度はこうした宴の招待、ありがとうございます。私にとってこれが一番の報酬です」

 

「ブハハハ、良い良い。(わっぱ)、信よ……お主が巻き起こした大炎。中々に良かったぞぉ」

 

「クフフフ、えぇ、悪くなかったですよぉ(わらべ)、信……それでどうでした、麃公さんの近くで感じた戦は?」

 

 麃公の自室にて麃公と王騎は酒を、信はまだそういう年齢ではないために水を飲みながら、話をしていた。

 

 

 

「麃公将軍の戦意が率いる軍勢に伝わって皆の戦意も上がっていく。そして、それは私も……将軍はそういう者でなければならないと実感できました」

 

「フフフ、良かったですねぇ。貴方の夢である天下の大将軍になるために必要な事を学べて」

 

「ほう、大将軍になりたいのか……ブハハハ、良いのぅ。若者の夢は」

 

 王騎は信の意見に楽し気に言いながら、彼の夢を明かすと麃公もそれでこそだとばかりに豪快に笑う。

 

 

 

「俺にとって大切な存在である者と誓い合い、託された夢ですので」

 

「成程のぅ、信の意思の炎はそうしたところから来るか……」

 

 信の言葉に麃公は納得いったとばかりに言う。

 

 「ンフフフ、童、信。ところで貴方は並走していた時によく、麃公さんの前に立ちはだかった二将に気づきましたねぇ」

 

「なんというか……麃公将軍の言葉で言うなら、炎を消す何かの動きを感じたので」

 

「ほう、ならば儂と同じか」

 

「その感性、しっかり磨きなさい童、信」

 

「はい」

 

 そうした信にとっては実りのある会話も交えて三人の宴をしていき……。

 

 

 

「ま、まさか土産まで……何から何までありがとうございます」

 

「礼には及ばんわい、信賞必罰は当然の事……初陣にしてはかなりの戦果を挙げたではないか、儂も進軍を助けられたしのぅ」

 

 信は亜水を離れるとき、麃公より結構な額の金やら必需品を贈られた。特別報酬のようなものである。

 

 

 

「童、信。お前と酒が飲める日が来るのを楽しみにしておるぞ」

 

「はい」

 

 そうして、信は麃公に見送られる。

 

「それにしても余程、気に入ったようですねぇ童、信の事を」

 

「ああ、もし儂が子や孫を望むなら、信のような童が良いと思うくらいにはな」

 

 そんな話を麃公と王騎は交わす。

 

 その後、信は秦国安見へと入り……。

 

「信、お帰り……手柄は上げてきたんだろうな?」

 

「ああ、大手柄をな」

 

「そうか、お疲れ」

 

「ああ」

 

 信は戦からの帰還を待っていた河了貂に会い、抱き締め合いながら会話を交わす。

 

 そして、上の方から密かに自分の様子を見に来た政と視線を合わせながら笑い合い、信は貂と二人で暮らしている村へと戻っていく。

 

「やっぱり、こういうのが一番良い。帰ってきた事も実感できるしな」

 

「ふふ、お疲れ」

 

 信は貂と抱き合いながら、寝床につくと貂の温かみと柔らかさを感じ、その久々の感触と感覚に信は満たされていくのを感じる。

 

 貂も又、信と同じような気持ちとなり満たされていくのであった……。

 

 そうして、信は蛇甘平原での戦での大功により百の兵を率いる事が出来る『百将』の地位を与えられ、大金と戦場で手に入れた馬一匹をそのまま、そして麃公からの特別報酬など様々な物を手に入れたのであった……。

 

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