中華統一のために行動している秦国は行動の方針を変えた。
使節団を『韓』国に送って、韓の王族でありながら法家の天才である『韓非子』を秦国の咸陽に出迎えるのだ。
韓非子の能力無くば、中華統一後の法整備やら統治は成り立たないと同じ楚の
そしてそんな使節団の護衛を務めるのが秦の六大将軍を務める王騎と李信、その他彼らに従う武将たちだ。もっとも率いる手勢はあくまで使節団の護衛なので少ないが……。
六大将軍の二人に護衛を務めさせながら、韓に向かわせるのはいずれ戦う事になる韓の王都、『新鄭』の攻略に向けた下見であった。
そして韓国内の関門である『広形』に近づき……。
「秦軍将軍の録鳴未だ。後ろに控えるは秦六大将軍が二人、王騎、李信、加えて騰将軍」
録鳴未が『広形』の前で叫んだ。
「この使節団の訪問はそちらの王も了承済みの筈、開門して通せ!!」
『……』
録鳴未の叫びに静寂の間があり……。
「あ?」
録鳴未が返答が帰ってこない事にい苛立った時……。
「聞いている。通れ」
関の門は開かれ、使節団は韓の王都に入るため進んでいく。
「ケッ、いちいちもったいぶらせるな。調子に乗りよってからにっ!!」
録鳴未は門を通る時にそう言った。
「相変わらず、録鳴未さんは気性荒いですね」
「ンフフ、ある程度の威圧は必要ですからね。そういう意味では録鳴未は適任ですよ。ねぇ騰」
「はっ、素でキレやすいところはありますが」
李信は久々に録鳴未の気性の粗さを見て苦笑し、王騎はただ笑い、騰は少しの意見を出す。
使節団が新鄭へ向かっていると道中、大勢の人々が見物していた。
「戦の時だとこうも人の姿を見る事は出来ませんが、使節団だと皆、興味津々ですね」
「それもありますが六大将軍二人いるとなると皆さん、注目するでしょう。なにより秦で活躍し続けている李信、貴方もいるのですから」
「光栄です」
見物人の注目を受けながら、李信は王騎と会話をしていく。見物人の中には子供を肩車している父親の姿があり、李信は自分に対して手を振っている子供に手を振り返して応じた。
「ふふ、それで結婚生活は順調ですか?」
「ええ、穏やかにやっていけてますし幸せも感じていますよ。それと少し前に連絡があったのですが、貂が身籠りました」
「おお、これはめでたいじゃないですか。良かったですねぇ」
「はい」
韓に向かっている道中、野営をしたところで李信に屋敷内にいる貂が身籠ったと情報が入った。当然、吉報であり王騎もそれを喜んだのだ。
「子が生まれた時には連絡お願いしますよ。盛大にお祝いします」
「ありがとうございます」
暖かな雰囲気と共に使節団は韓人の注目を受けながら、王都である新鄭を目指すのであった……。