秦の使節団が韓国の本殿へと進もうとしたのを韓の王族である寧姫が親衛隊と共に防いだ。
彼女は秦国に『韓非子』を連れていかれる事で危険な目に遭わないよう、心配したのだ。寧姫が韓非子から教えを受けた生徒でもあるが故である。
とはいえ、その行動は独断であった上に一触即発の事態になろうとしたところで韓国で密かに実力者として語られていた大将軍、洛亜完とヨコヨコが駆けつけ、しっかりと寧姫の行動について詫びる。
そして案内を務める事で一触即発の事態は無くなったのだ。本殿に向かっていると李信に対し、兵士に扮装した韓非子が接触すると若い軍人であると共に色んな戦場で人を見てきた彼の価値観を知りたいが故に李信へと人の本質について聞き出した。
韓非子の扮装を見抜いていた李信は少し考えを纏めたい事とどうせなら、本殿で答えたいのでその旨を伝える。
その後、李信達は本殿に到着し……。
「良し、ようやく私の出番だな」
使節団の馬車の一つより、介億が姿を現し、気合を入れ始める。
「よろしくお願いします、介億殿」
「ンフフフ、正に腕の見せ所ですよ。介億殿」
李信と王騎は介億に言葉を送る。
「うむ、李信将軍、王騎将軍、騰将軍に録鳴未将軍……ここまで護衛ご苦労であった」
介億は護衛を務めた将軍たちに礼を言うと護衛を務める軍の先を行く。
そうして目にしたのは巨大な王宮である。
「中々に壮観ですね」
「ええ、見事な物です」
李信は軽く賞賛すると王騎もまた、微笑む。
そして皆で中に入っていくと……。
部屋の奥では王座に座っている第22代韓王、
「(王安王は普通の人だな)」
李信は威圧を受け流しつつ、王安王を見て常人であると感じ取った。
「私は大秦国第31代王、嬴政様の特使、介億と申します」
介億は包拳礼をしながら自己紹介をする。
「まずは此度の使節団の来朝をお赦し頂き、心より御礼申し上げます。更にこれほど多くの皆様方の
介億は威圧してきた韓にしっかりと牽制も仕掛けた。
「遠路はるばるご苦労であった介億殿。韓国宰相張氏である……そして、このお方が第22代韓王 王安王であられる」
介億に対し、白髪を後ろに整え、髭も生やした老人の張氏が玉座に座る結構な年齢の男で王である王安王を紹介した。
そして秦国の皆はしっかりと膝を付いて韓の王に対して礼を尽くす。
「これを機に全て水に流し、両国の関係を良い方向に進める話をしてもよいと思っている」
王安王はなんと秦と韓の同盟を切り出した。介億は今回、韓との外交は韓非子を招くためだけのものだと伝え、同盟をするかどうかの権限も持っていない事を伝えた。
しかして張氏が韓非子を秦国へ送らせる交換条件に同盟を申し出ているのだと言った。
介億は不意打ちのような交換条件に対し、独断とはいえ、寧姫が道を塞いでくるという礼を欠いた行動、理というのものが全く存在せず、韓らしくないとまで切り出してみせた。
更に介億は今回、秦は韓非子一人を招くために馬車二十台分の金品と財宝を贈り物とした上で旅団の護衛を六大将軍二人、李信と王騎が務めるという異例なほどの礼を国をあげて尽くしたと言い、その義に対して無理難題を押し付けるのは本当に理を分かっている筈の韓らしくないと言った。
その言葉に思うところはあったようでとりあえず、韓非子に話しを伺うとして張氏は王安王に言い、王は許可する。
そうして、王族としての恰好に身を包んだ韓非子は現れる。
「ま また、あ 会ったね。り 李信、し 将軍」
「ええ、韓非子様」
「ふ ふふ。か 考えは……ま 纏まったかい?」
「しっかりと」
韓非子の問いに李信は頷き……。
「で では、ひ、人の本質はな 何だ?」
「私が思うに水です」
韓非子が人の本質について問えば、李信は水だと答えたのだった……。