中華七国において一番小さい『韓』は知恵で戦乱を渡ってきており、それは外交による駆け引きもあるが、一番大きいのは『情報戦』と『諜報』に長けている事だ。
そして韓の諜報機関と韓非子は通じているのだ。つまり、秦は韓非子を王都である咸陽に招いたが、韓の諜報機関も招いてしまう事になる。
実際、韓非子は下僕まで入れれば百人近くの一団で咸陽を使節団と共に訪れた。
そう、このままでは諜報機関により、咸陽の情報をありとあらゆるところまで見られてしまう事になるし、色々と秦の政治にくい込まれてしまう事になってしまう。
だが、李信はそんな韓非子の事情を知っており、秦王たちが韓非子を招く上での問題点としてこの事を上げた。
当然、最初は李斯が反論したが、李信はしっかりと韓非子が韓の諜報機関と絡んでいると見れる根拠を用意したので押し黙ってしまった。
しかし、中華統一した後の法整備のためには韓非子の力は必要であり、ある程度のリスクは受け入れても良いと妥協は出来る。
「ならば、こちらに協力するしかない状況を作るしかないですね」
そうして、韓非子を招く前に李信は秘密部隊を多く動員して韓の諜報機関が入り込んでも問題無い仕掛けと策略を張り巡らせた。
これにより……。
「ごはっ!! ほ、
「黙りなさいっ、よくもよくも……私の身も心も怪我してくれたな
韓非子の側近である紀月は韓非子の為に用意された屋敷の抜け穴を屋敷にいる韓非子をもてなすべく送られた女官である宝朱を誑し、情報を聞こうとした。
しかし、そんな紀月の行動を宝朱は李信の秘密部隊が化けた者が知らせ、自らの身も心も弄ばれた宝朱は怒り、紀月はこれ以上ない位に滅多刺しにされながら息絶えた。
無論、紀月が宝朱に乱暴を働き、自衛のために宝朱は殺したのだという建前も用意した。その後、李信の呼びかけにより、宝朱は李信の屋敷に使える事となり、彼女は李信に感謝しながら、忠誠をも誓ったのであった。
他にも韓の諜報機関の者達は李信の秘密部隊によって捉えられ、重要な情報を探ろうとした者から誰も立ち寄らない場所に捕らえられながら、餓死させられたり、厳しい拷問などされていった。
そうして……。
「韓非子様、もう貴方はこの国で法整備をするしかない。韓には帰る事が出来ないからだ」
「……だ だろうな……み 見事というほかない」
李信はある物を突き付け、韓非子は観念する。
李信が突き付けたのは書文だ。内容としては自らを冷遇する韓には愛想が尽き、逆に自らを手厚くもてなしてくれ、法の整備に必要な物をとことん渡してくれ、唯一無二の友がいる秦の方が良いという韓から秦に寝返るという内容だ。
そして、その書文をわざと韓非子が寝返ったから諜報機関の者が全員、対処されたのだと伝えられ、逃がされた諜報機関の者もいる。
「貴方の働きによっては韓を攻略する事においてなるべく、貴方が納得する形での容赦や手心を加えても良い」
「……わ、分かった」
こうして韓非子は李信の要求に従い、法整備に尽力する事となったのであった……。