李信は飛信隊の『秘密部隊』及び雇っている者の活動によって大陸中の情報を手に入れている。それによって韓の王族の一人である韓非子は韓の諜報機関と繋がり、法や学問の研究をするために外の情報を手に入れるのと引き換えに諜報機関が情報を手に入れられるように協力している事を李信は掴んだ。
間違いなく、韓非子を招けば韓の諜報機関が秦の王都である咸陽に潜り込み、情報を探ったり、あるいは潜入を深めたり、政争を将来的には起こさせたりの工作を許してしまう事になる。
ある程度の危険はまだ仕方ないと割り切りれる。なにせ、それだけ優秀な者を招き入れるのだから……。
しかし、流石に王都をかき回されるわけにはいかない。なので李信は秘密部隊を総動員する事にしつつ、嬴政達首脳陣と相談して韓非子たちを嵌める事にした。
こうして、秦国は韓非子を招いた後、ある程度諜報機関の動きを密かに見ながら重要な情報を掴もうとした時は捕らえて秘密の場所に連れていって永遠に消息不明にしたり、あるいは抹殺したりしたのである。
そうして、それらの事を韓非子が秦側に寝返ったという事にしてその証拠となる書文を密かに韓に送ったり、諜報員の一人をわざと活かして韓非子がこちらに寝返ったという情報を持ち帰らせるなどしたのだ。
韓非子もこういう事を知ると理解を示し、李信との取引の結果、法整備に尽力する事を誓った。
こうして、全てが終わった後……。
「李信将軍、本当に感謝する。貴殿のお陰で俺は友を殺さないですんだ……それにしてもあの韓非子が……諜報行為に関わるとは」
韓非子とは所属する国は違えど、同じ学び舎で学んだ親友である李斯が李信に対し、深く頭を下げた。
「韓非子様も中々に難儀です。学美研究している分野が国とは対立するからはいえ、あの優れた才能を活かした政治や学問をしないなど、韓も其処については愚かだ」
「まったくだ。それに吃音だからとなぁ……だからこそ、俺は韓非子と法整備をやり遂げてみせる」
「お願いします。俺は俺で中華統一に向けて尽力しますよ」
「ああ、中華統一には李信将軍の力こそ、必要だ。これからもよろしく頼む」
そんな話をしつつ、李信は李斯の屋敷で李斯と酒を飲み交わしたのであった。
その後……李信の屋敷においては……。
「貂だけじゃなく、羌瘣に楊端和まで……ありがとう、俺は本当に幸せだ」
「俺だって幸せだよ」
「私も……子供が出来るってこんなにも幸せに思えるんだな」
「強い子を産むからな、李信」
李信の妻である貂が身籠ったのを皮切りとするようにおなじく 李信の妻である羌瘣に楊端和まで身籠り、そうしてこうした吉事は秦国の国中を祝いの空気に包んでいったのだった……。