キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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二十八話

 

 

 『秦』と『趙』の戦は信が『趙軍』の総大将である龐煖を討ち取った事で『秦』の勝利に終わった。そして、その後であるが……信は龐煖との死闘によってかなりの深手を負わされたため、勝利宣言した後に倒れてしまったのである。

 

 その状態は満身創痍、治療が絶対であった。

 

 治療のため、信は『飛信隊』の者と共に王騎が城へと連れていき……。

 

 

 

 

「なんという子じゃ……」

 

 医者が驚くほどの生命力の高さをもって峠を越え、回復し始めたのである。

 

 そして、信が数日間眠っている間に国での情勢は動き、『趙』は『秦』に捕らえられた趙荘と李白の二将の解放と和睦のために賠償金としての大量の金品や数年間、侵攻しないという条約を書いた書状などを丞相であるという長い髪を後ろに束ね、痩身ながら鍛えられた肉体を有し、今の今まで情報が無かった男である李牧(りぼく)が持って交渉をした。

 

 その後……。

 

「ぅ……こ、ここは……ああ、そうか……」 

 

 信は目を覚まし、一瞬どこかの大きな部屋の寝台で寝ている事に戸惑うもすぐに状況を察した。

 

 周囲に目を配らせれば、『飛信隊』の副官である羌瘣が傍にいて、少し離れた所ではもう一人の副官である渕がいた。

 

 どちらも夜遅くまで様子を見ていてくれていたのだろう、眠っている。

 

 

 

「よっと……」

 

 ずっと横になっていたが故か、体を起こすのは少々苦労したが起き上がり、羌瘣の頬に優しく触れる。

 

「ぅ……ん……し、信?」

 

「ああ、俺だ。おはよう、羌瘣」

 

「おはよう、信」

 

 ゆっくりと羌瘣は信へと近づき、抱き締めてきたのでそれに応じる。

 

 そうして、羌瘣はまだ安静にしていろと渕を起こしたり、信が目覚めるのを待っているという王騎を呼ぶ。

 

「ンフフフ、医者も驚いていましたよ。童、信。貴方の生命力と回復力は大したものだと……今回の戦は本当に良くやってくれました。ねぇ、騰」

 

「ハ、信は良くやってくれました」

 

「王騎将軍が修行をつけてくれたからですよ」

 

「その成果を活かしたのは貴方の力ですよ。ご苦労様でした、信」

 

 労い、完全に回復するまでは安静にしていろと言って部屋を去り……。

 

 

 

「信、お前って奴は……本当に……本当に凄い奴だったんだなっ!!」

 

「大きくなりすぎて、驚いたぞ」

 

「格好良かったぞ」

 

 尾平や里有など『飛信隊』の者たちがそれぞれ見舞いにきたのである。

 

 それらが終わり……夜中、王騎がまた見舞いという態で信がいる部屋へと来て……。

 

「信……(きょう)の仇を代わりに討っていただいた事、深く感謝します」

 

 信へ仮面を被って素性を隠しながらも六大将軍の一人であり、王騎の妻になる筈だったが龐煖に討ち取られ、亡くなった摎の仇を王騎に代わって取った形になる信に深く頭を下げて感謝を示した。

 

「はい、こちらこそ日頃から修行を付けていただきありがとうございます」

 

 信は信で王騎に修業をつけてもらった事への感謝を示すのであった……。

 

 

 

 

 

 信の療養生活が終わると今回の戦での『戦功』を王宮にて讃える『論功行賞(ろんこうこうしょう)』が王都咸陽で始まる事となる。

 

 

「こういうのを着たのは初めてなんですが、大丈夫でしょうか?」

 

「ンフフフ。安心なさい。ちゃんと似合ってますよ」

 

 王騎によって呼ばれた衣服が仕立てた儀礼用の服を着ながらも信は自分のそれを見渡し、王騎に質問すれば王騎は頷いた。

 

 そうして、『論功行賞』のために咸陽の王宮へと向かい……。

 

「信、お前という男は本当に……とんでもない男じゃな」

 

「ありがとうございます」

 

 昌文君から声をかけられ、そうして頭を撫でられた。

 

 

 

 その後、『論功行賞』が行われ……。

 

「では今回の戦にて敵将、馮忌に渉孟、万極に公孫龍の四将を討ち取るだけでなく、総大将にして三大天の一人、龐煖をも討ち取った百人将『飛信隊』隊長の信、前へ!!」

 

 昌平君の言葉と共に信は王騎から修行を受けながらも、こうした儀礼に対しても教育されているそれを発揮して政の元へと向かう。

 

「飛信隊 信には爵位三階級昇級、金二千に宝物ニ十点……」

 

 更に信が住んでいる風利(ふうり)、それと隣り合っている土地を、つまりは二つの土地を与えられる。

 

 そして……。

 

「現在、百将の地位を格上げし、『三千人将』とする!!」

 

「良くやってくれた、信」

 

「はっ、大王様」

 

 信が政へと礼を尽くす。王としての政と臣下としての信の態度があまりにも自然で皆が一つの美しさに静まり返り、その後、大きな歓声を上げたのである。

 

 

 

「信っ、本当に凄かったな」

 

「貂……ありがとう、それに久しぶりだな」

 

「うん……」

 

 王宮のとある場所で河了貂と再会し、そうして抱擁し合う。

 

 

 

「心配かけたか?」

 

「……死なないとは思ったけど、心配はした」

 

「そうか、それはすまなかったな」

 

 そうして、二人はしばらく話をするのであった……。

 

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