『秦』に対して争いを仕掛けてくる『魏』に『韓』と『楚』の三国とのそれぞれの戦の戦場に信は『飛信隊』を率いて、独立遊軍或いは特殊部隊として参戦していく。
その武威によって味方には頼れる存在として、敵としては恐怖すべき存在として自身の名を広めていた。
そんな戦の日々の中、『韓』との戦が行われる前線にて蒙武の息子で信と同い年くらいの蒙恬と出会った。彼が率いるのは飛信隊と同じ役割を有する特殊部隊であり、三百人で構成された部隊である『楽華隊』だ。
そうして、『韓』との戦が始まり……。
「はああああっ!!」
信は自身が先頭に立って、自身の前に立ちはだかる『韓』軍へ向かって行く。
壮絶な武威を込めた矛が超絶な技量によって振るわれ、一つの戦舞と化した。
「ぐぎゃっ!!」
「うぎっ!?」
信による戦舞、矛捌きを止められる者はおらず次々と切り伏せられ、蹴散らされ、薙ぎ払われていく。
「まるで、父上みたいだ。そりゃあ、名も広まるなっと」
圧倒的な武を振るい、戦況を自らの元へと引き寄せていく信の戦いぶりに蒙恬は父親である蒙武を想起し。呟く。
「おのれっ!!」
「勝負だ」
「良いぞ、来い」
信を止めるべくと複数で仕掛けてくる部隊長や将軍に対し、信は受け入れ……。
「ぬぅん」
壮絶な矛による攻撃によって返り討ちにしていく。
「本当、武勇に優れた者がいるのは心強いし、楽だ」
信の武勇によって削がれていく敵の勢いや士気、そして生まれる間隙。
蒙恬は素早く立ち回る事で敵の間隙を衝いてさらに戦況を『秦軍』の元へ引き寄せていく。
その後、『飛信隊』と『楽華隊』の活躍により『秦』軍は『韓』軍に勝利した。
「流石の戦上手だな」
「そっちこそ、男の一人として噂以上の武勇だった」
そして、戦の勝利を二つの隊は一緒に祝ったりもした。
「また一緒に戦いたいものだ、蒙恬」
「ああ、俺もだよ信」
更に別れ際には戦友としての言葉を掛け合う。
こうして、それぞれ特殊部隊として信と蒙恬は次の戦場へ別々に向かって行ったのだった……。
二
一か月は時が過ぎた頃、『秦』は『魏』と今までのそれとは違って結構な規模の戦を行っていた。
前線を押し返すべく、魏軍が周囲より集結し一万を超える大軍と化したためである。
その魏軍に対し、秦軍は北と南で部隊を集結する事でこの二つの部隊で魏軍を挟み撃つ作戦を立てた。
そんな戦に信と『飛信隊』は参戦しており……。
「飛信隊、喰らい尽くすぞぉっ!!」
『うおおおおっ!!』
魏軍が組んだ防陣に対し信は自身を先頭にし、後ろは騎兵、そして歩兵という構成である超突撃陣形を組んで突撃する。
「ば、馬鹿な我らの防陣が……うぐおおおっ!?」
信の武勇を主とした超突撃は魏軍の防陣を難なく、突き崩し切り伏せ、呑み込み喰らい尽くしていった。
「そんな、この本陣に……ぐあああっ!!」
そのまま『飛信隊』は敵本陣へと突撃し、瞬く間に壊滅させたのであった。
「あれが『飛信隊』……なんという……」
「成程、三千人将になるだけはあるか」
そんな様子をもう少しで本陣に裏側から突撃しようとしていた部隊の者たちが見ていた。
一人は歴戦の老兵を思わせる風貌の男であり、もう一人は黒髪を後ろで束ねた美男子で武器としては槍、背中には投擲用の剣を四本背負っていた。
「……行くぞ、終わったのなら用は無い。次に備える」
「はっ、賁様」
事態を把握すると彼らは引き上げる。
「(絶対に負けん)」
秦南軍所属の特殊三百人隊『