信は『飛信隊』における潜入や工作などの裏方の仕事を担当する『朱凶』率いる秘密部隊を事前に『高狼』に潜入させる事で本来なら数日はかかる城攻めを成功させ、『高狼城』を陥落させた。
「それにしても抜け目のない奴だな、蒙恬。わざわざ、自分が担当していたところから俺達のところまで来ていたなんて」
信は『朱凶』らが城門を開けた事で電撃的に攻め行った際、それに追随してきた蒙恬率いる『楽華隊』の手際について言及した。
「高狼までの道中、どことなく自信に溢れていたから何かやりそうだなと思ったんだよ。こっちとしても驚いているぞ、潜入と工作の出来る部隊を有していたんだな」
蒙恬も『飛信隊』における秘密部隊の存在について感心していた。
「まあ、ありがたいことに人の縁には恵まれているんだ。とりあえず、貸しを返してもらおう。巡回に付き合え、
「……ああ、良いとも」
信は蒙恬に高狼城の巡回に付き合うように言う。巡回の目的は敵が密かに城下町に潜んで奇襲するのを防ぐためや恐怖に怯える魏の民たちに降伏したから手を出さないというのを誓う事やそして、降伏したが敵だからと殺戮や略奪をしようとする自軍を止めるためである。
実際、手分けしつつ『飛信隊』が『楽華隊』と巡回をすれば……。
「さあ、お楽しみ「降伏した者たちへの手出し、略奪は軍令違反だ。軍令を違反した者は容赦なく俺達が裁くぞ」うっ!?」
千人将の乱銅率いる部隊が殺戮と略奪をしようとしたのを威圧する。
ただでさえ、『飛信隊』率いる信は三千人将で乱銅にとっては上官となる。そして信と『飛信隊』が放つ威圧感であり、殺気は完全に乱銅たちを威圧していた。
「そーそー、後、俺は蒙驁将軍の孫の蒙恬だ。爺ちゃんは俺の事可愛がってくれていてね。だから、俺が言えば……意味は分かるよね?」
「ぎっ……ち、ちくしょうっ、やってられるかぁ!!」
蒙恬の言葉の意味を理解すると部下と共にこの場から去って行った。
「俺を連れているのはこういう事だろう?」
「ああ、悪いな。お前の立場を利用するような事をして」
「いやいや、これくらいお安い御用だし俺もお前たちの力を頼りにさせてもらう訳だからお相子だ」
信と蒙恬は言葉を交わし、笑みを浮かべた。
「魏の民たちよ、俺は『飛信隊』の信だ。此処の城主が降伏した以上、俺はお前たちに対し殺戮や略奪はしないし、他の者にさせもしないと誓う」
『……ありがとうございます』
信は『高狼』の民たちに誓いを述べると実際に乱銅たちを退けるのを見た事で民たちは信用し、頭を下げて礼を言った。
その後もしばらく『高狼』内を巡回し、殺戮や略奪以外にも魏の者に対し、何らかの手出しをしようとする者らが出ないように巡回を続ける。
これにより、『秦軍』の中で『高狼』の民たちに手出しをする者は出なかったのであった。
「良くやってくれたな、燕呈。この城を落とせたのはお前たちのお陰だ」
「ありがたきお言葉……今後も励ませてもらいます」
「よろしく頼む」
晩に軽い宴を『飛信隊』は行い、信は『朱凶』の長である燕呈たちを労い、それに秘密部隊の者たちは頭を下げたのだった……。