『魏』の山陽地方一帯を攻略するために進軍している『秦』軍の総大将である蒙驁は二人の副将と軍を三つに分け、三軍が足並みを揃えて進攻していく形を取っている。
そんな中で蒙驁は信率いる『飛信隊』の活躍で早々と第一の城となる『高狼』を制圧した。
足並みを揃えるために他の二軍が城を制圧するのを待ったりしつつ、二つ目の城へと『秦』軍は向かっていき……。
「た、助けてくれっ!!」
ぼろぼろな兜や鎧を着た兵士やみすぼらしい恰好の民が『高狼』から二つ目の城へと必死な様子で息を切らせながら言った。
「お前たちは何者だ?」
「お、俺達は『高狼』の者だ。何とか進攻してきた秦軍から逃れてきたんだ」
「そうか、ちょっと待っていろ」
ぼろぼろな数十人の兵士と民の姿を見てこの城の兵は確認するためもあって、城門を開き……。
「間抜けだな!!」
「まったくだっ!!」
『高狼』の敗残兵や逃れてきた民に紛争していたのは信や羌瘣に『飛信隊』の者たち。
城の城門が開くと信達は剣を抜いて一気に攻めかかった。
「ふしっ!!」
「はああっ!!」
『ぐあああああっ!!』
戦闘においては騎馬より地上でのほうが慣れていて、武器も矛より剣を得意とする信の凄絶なる剣舞と意識をトランス状態としながら、変幻自在にして幽鬼的な剣舞を繰り出す羌瘣にまず、城を守っていた兵たちは圧されてしまい、そうして……。
『うおおおおっ!!』
少し離れて様子を見ていた残りの『飛信隊』が駆けつけ……。
「信殿、羌瘣殿」
「いくぞ、羌瘣」
「ああ」
運ばれてきた自分たちの愛馬に乗り、その後は一気に城内を侵略する事で制圧していったのだった。
そうして、また城を攻略してみせた『飛信隊』の武威に『秦』軍全体の戦意も上がっていく中、進軍を開始して一か月後――蒙驁率いる本軍は三つ目の城である『
流石に『近利関』は警戒は厳重で防備もとんでもなかったが……。
「しっ!!」
信は城の下より自分だけが使える強弓にて城壁の上にいる敵軍の中で指揮官らしき者たちを複数の矢を番えて放っていく凄まじい弓術によって射貫いていき……。
「今だっ!!」
守りが緩んだ隙に信は一気に駆け出し、そうして城にかけられた梯子を人外の軽業にて駆け上がっていき……。
「せいああああっ!!」
超絶なる剣舞によって城壁の上にいる者たちを切り伏せていく。そして、信に続く部下たち、攻めあぐねていた他の将の者たちも『飛信隊』に続き……。
「敵将、討ち取ったぁぁぁぁっ!!」
信は名のある魏将の部隊や『近利関』の城主を討ち取り、三つ目の城すらも制圧してみせるのであった。
「やっぱり、凄いな。信は……」
飛信隊に協力する事で武功を上げる恩恵に預かっていた蒙恬は改めて軽々と城を攻略する信達に憧憬とも言える感情を抱く。
そんな中……。
「信殿……俺は千人将の
貫禄や気風が漂う男の武将であり、蒙驁の軍の中での千人将である郭備が信に接触してきた。
「それはどうも」
「実はこの俺は信殿と同じ下僕の出身だ。幸運から士族の仲間入りをしたのだが、そんな俺より地位も実力も上なのだから本当に感服するしかない」
「俺も人の縁や幸運に恵まれたところはあるが、出来る限りの事を全力でやっているだけだ」
「ああ、そうだろうとも。信殿と共に戦える事は俺にとって誇りだ」
「そこまで言ってもらえてこんなに嬉しい事は無い。よろしく頼む郭備殿」
そう笑みを浮かべて信と郭備は握手を交わしたのであった……。