現在、始まっている『秦』と『魏』の戦争にとんでもない存在が介入を始めた。
それは『趙』の三大天の一人であった歴戦の老将である
生涯、現役を謳っている好戦的な人物でもありながらその実力はかつての『秦』の六大将軍と渡り合える程の物で王騎とは好敵手とも言える関係であったりもする。
そんな廉頗であるが、趙王の
返り討ちにしながら、廉頗は部下である廉頗四天王と生え抜きの将校たちを連れて魏へと亡命したのである。
その廉頗はまず、四天王の一人で自分の『飛槍』と呼んでいる細目がちで童顔の男の
「これは無理だな……」
最初は『近利関』を制圧し、勝利に酔っている秦軍へ暗殺を仕掛けようとしたが、修羅場を潜り抜ける事で培った感覚により、危険なものを感じ取ったので止めた。
実際、『近利関』では信に羌瘣、そして刺客の一族であるがゆえに隠密的な行動に詳しい『朱凶』による秘密部隊らが警邏をしていたのでそれは確かに正解だった。
そうして、三日後に次の城へと向かう秦軍に輪虎は先んじて道中の山の森林に潜む事で待ち受け……。
「今だっ!!」
「はっ!!」
頂上から逆落とし気味に部下と共に突撃し、秦の将に兵士たちを屠って進んでいき……。
「ふっ!!」
『本能型』としての勘により、危険な者が動いているのを感じた信はその勘のままに動き出し、そうして二つの曲刀を武器に味方を襲っている輪虎の姿を発見し、馬を駆けさせながら次の瞬間、一気に距離を詰めるために勢いを利用した跳躍を驚異的な馬術によって馬に行わせる。
「っ!?」
まるで獲物を狩る鷹の如く、上空から奇襲してきた信のそれを勘働きで察した輪虎は瞬間的に曲刀を交差させたが……。
「ルアアアアアッ!!」
気合と共に全力で振り下ろし放った落雷が如き、壮絶な大斬閃。
「(殿、申し訳ありません)」
走馬灯が駆け巡る中、輪虎は自分を拾って今まで育ててくれた廉頗に詫び……。
そうして、輪虎は信の矛に曲刀ごと身体を深々と切り裂かれる。
「お前の名は?」
「輪……虎……」
「そうか」
それだけ、会話を交わしながら輪虎は倒れ伏す。
『よ、良くも輪虎様をぉぉぉぉぉっ!!』
絶対に輪虎の仇を討つ覚悟を抱きながら、輪虎の部下は信へと襲い掛かり……。
「良いぞ、来いっ!!」
信はその部下たちを纏めて相手し、矛による戦舞によって返り討ちとしたのであった……。