王宮内を現在、乗っ取っている成蟜達に対抗するため、交流が四百年間途絶えている『山の民』に協力を求めに行った信達だったが、山の民から王には会わせるが連れて行くのは政一人だけであると言われ、政はそれを承知。
下山するよう、皆に言い残して一人で王へと会いに山の民に連れられて行ったのだった……。
信は瞑想しながら、政と別れたその場で待機していたが……。
「信、手合わせだ。立て……」
「……分かりました」
昌文君が剣を抜きながら、信へと近づいて手合わせを申し込む。すると信は目を開き、立ち上がると剣を抜く。
「ぬんっ!!」
「貴方の想い、確かに受け止めた」
昌文君が剣で全力の一閃を振り下ろすと信は剣にて受け止める。
「ふっ!!」
「うあっ……信、口惜しいが儂より圧倒的にお前の方が役に立つ。王を追ってくれ」
信は剣を横へと振るい抜き、大きく昌文君の体勢を後ろへと後退させた。昌文君は踏ん張りが効かず、片膝を地に付けて信へと頭を下げた。
「はっ」
そうして、信は昌文君に頭を下げると剣を鞘に納めながら、政と山の民が向かって言った方向へ行こうとした時……。
「信……漂の事はすまなかった。こんなはずではなかった、許せ」
「貴方は貴方の出来る限りの事をしただけだ……それに漂が死んだのは貴方のせいじゃない」
「……大王を頼んだぞ」
「はい」
そうして、信は貂に昌文君に信たちの支援を頼まれた壁と共に向かって行き、岩壁を登ったりして進み、途中で夜となったので野営をする事に……。
「さてと……」
突如、信は立ち上がりながら背中から鞘に納めたままの剣を外す。
「さあ、出て来いよ。隠れているのは分かっている」
そう言うと……闇の黒に覆われた森の中から山の民たちが姿を現した。
「やっぱり、少しは憂さ晴らしがしたいところだった。相手してやるから、かかって来い!!」
『――!!』
山の民は咆哮を上げて信へと襲い掛かり……。
「はあっ!!」
信は鞘に納めた剣を振るう。その動きは正しく戦舞だ。
『っ!?』
そして、戦舞によって壮絶にして流麗に繰り出される剣を納めた鞘は山の民たちに強烈な打撃を炸裂させて吹っ飛ばしたり、地面に倒していく。
「信……あんなに強かったのか……」
「あの年であれだけの武を……それにまだ、余裕がある……」
信の武威を目撃する貂に壁はそれぞれ、驚愕するのであった。そんな中で信は山の民たちに近づいていく。
「俺の勝ちだ。お前たちの王の元まで連れて行け」
そう、告げると起き上がった山の民たちは勝者である信に従い、案内をした。
「あれが山の民の……」
「すっげえぇ……」
「こんな馬鹿な……」
崖道を歩き続けた先、崖の中に王国が築かれていた……。
『――!!』
そして、信達の姿を見た山の民たちが武器を持って信の元へと向かい……。
「おおおおおっ!!」
信も又、鞘に納めた剣を持って山の民たちへと切り込んでいった。
少しして……大仰な仮面と豪奢な格好をした山の民の王である楊端和が玉座に座り、と政こと第31代秦国王である嬴政が正座をして、対面して話をしていたが……。
『――!?』
部屋の扉が吹っ飛びながら、複数の山の民が転がる。それに部屋の中にいた山の民たちが武器を構えだすし、部屋の奥からも次々と出てくる。
「信……少しは気を晴らせたか?」
「はい、まぁ少しは……」
来ることが分かっていたかのように政は信へと尋ね、信は鞘に納めた剣を持ちながらそう返す。遅れて貂と壁が部屋へと入る。
「ほう、随分と良い戦士がいる……滾ってくるな」
楊端和は信を見て、そう言うのであった……。