キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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四十五話

 

 秦と魏による『山陽』をかけた戦いは実質的な魏軍の総大将である廉頗が戦況的には圧倒的不利であり、自分自身の落としどころを作るため、自らの配下であった輪虎と玄峰を討ち取り、介子坊を撃退し、重傷を追い込んだ信と一騎打ちを申し出、信に負けたことにより、和睦を申し出た。

 

 

 

「この戦、秦軍が勝利したぞぉぉぉぉっ!!」

 

『ウオオオオオオオオオッ!!』

 

  総大将である蒙驁が言うように秦は魏に対して勝利を収めたのである。

 

 そして、山陽一帯の平定もあるので多くが臨戦態勢のまま、その地に残ったが今回の戦の立役者である信に『飛信隊』は帰国組となり、一月かけての帰国を始める。

 

 

 

 その道のりの中で……。

 

「ふっ、ん、あ、うああ、ふ、う……」

 

「羌瘣、愛しているぞ」

 

「わ、私もだ……」

 

 信は自分の姉貴分を殺した仇を討つ旅に出る羌瘣とは別れる事になるのもあって、最後に身も心も繋がり合っていった。

 

そうして、翌日の夜明け前……。

 

「飛信隊、副長羌瘣……武運を祈る」

 

『武運を祈る』

 

 旅立つ羌瘣へ剣や槍を掲げて信と飛信隊の皆が武運を祈った。

 

「ありがとう、必ず帰ってくる」

 

「ああ、待っているぞ」

 

 羌瘣は礼を言って、『飛信隊』を一時離脱したのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秦と魏の山陽での戦いから一月後――『秦』の王都である咸陽では『論功行賞』の式典が開催される事となった。だが、その前に信は事前に秦王である嬴政から秘密裏に呼び出された。

 

 傍には昌文君と王騎もいた。

 

 

「姓が必要だって?」

 

「ああ、姓の無い将軍なんてありえないからな……何でも好きな奴で良いぞ」

 

 急にそんな事を政から言われたので混乱するし、悩む信。

 

「いや、急に言われても……将軍になるのに姓が必要って事すら知らなかったし、知ってたら漂と相談してたぞ」

 

「そう言えば、漂ともこんなやり取りをしたな。あいつは悩みながらも決めたぞ」

 

「漂が姓を……あいつはどういう姓にしたんだ?」

 

「ああ、偶々食べていた(すもも)から取った『()』、つまりは李漂だな」

 

「じゃあ、俺もそれで……今日から俺の名前は李信だ」

 

「分かった」

 

「よ、良いのかそれで……」

 

「ココココ、李信ですか、良いんじゃないですか~」

 

 政はだろうなと頷き、昌文君は唖然、王騎は笑みを浮かべながら言う。

 

 そうして、『論功行賞』の式典は始まり……。

 

 

 

 第一功は秦軍総大将を務めた蒙驁であり、そして……。

 

「第二功、複数の敵将と敵参謀、なによりあの廉頗との一騎打ちに勝利し、撃退した三千将 飛信隊、李信」

 

 信は第二功の者として呼ばれ、爵位を三階級昇級、結構な土地と金品を与えられ……。

 

 

 

「これよりは『将軍』とする!!」

 

「(っ!!)」

 

 信の地位は『将軍』になると発表された。

 

「飛信隊、信大儀であった。そして、これからもよろしく頼むぞ、李信将軍」

 

「ありがたく」

 

 信は祝いの剣を政から授与されながら礼儀を行なった。

 

 その後、『論功行賞』が終わると……。

 

 

 

「将軍昇格、おめでとう李信……お前の部下として働く事もあるだろうし、これからもよろしくな」

 

「勿論だ」

 

 蒙恬がまず、信を祝った。

 

「フォッフォ……李信将軍、また戦場で共に戦えるのを楽しみにしておるぞ」

 

「はい、蒙驁将軍」

 

 蒙驁からも去り際、声をかけられ祝われた。

 

 そうして……。

 

 

 

「早くも将軍になるとはな……頼りにしているぞ、李信」

 

「ああ、その信用と信頼に応えるよ政。それにまだ、俺は大将軍にならなければならないしな」

 

 政からも言葉をかけられ、信はまだまだ大将軍になるため努力し続ける事を言った。

 

 

 

「ンフフフ、とはいえ、今は祝う時……さあ、行きますよ。李信」

 

「はい、王騎将軍」

 

 信は王騎将軍に連れられ……。

 

 

 

「将軍昇格、おめでとうございます李信。後は経験をしっかり積んで私を超える大将軍になってみせなさい」

 

「ありがとうございます、王騎将軍……そして、元よりそのつもりです」

 

「ンフフ、それでこそです。では、今日は飲み明かしますよー、ねぇ、騰?」

 

「ハ、飲み明かさない理由がありません」

 

 

 

 そうして、信は将軍になった祝いとして王騎に彼の副将である騰との『宴』をしたのであった……。

 

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