秦と魏は『山陽』にて戦い、和睦という形で秦が勝利した。
この戦いにおいて多大な戦果を刻んでみせた信は『論功行賞』によってけっこうな土地に爵位、金も得ると同時に『将軍』へと昇格したのだ。
その際、信は秦王である政に名前における『姓』が必要と言われたので悩んだが、漂がかつて、政が食べていた『李』より信の名前は李信になったのである。
そうして、自らの土地へと戻れば信の武功を聞いて自ら仕官しに来た者を受け入れたり、兵の募集をして人を増やし、訓練や勉学、商売や出資を持ち掛けてきた商人を受け入れたり、やるべき事をやっていった。
「ある程度、準備は整っていますか?」
「はい、一応は」
一か月後、『飛信隊』は歩兵七千、騎兵三千(そのうち、五百は信の麾下)にして総数一万の軍になり、独立遊軍としてかなりの戦力になった。
すると王騎が信の元へと訪れ、声をかけたので信は応じる。
「よろしい、ならば独立遊軍の力を使わせてもらいましょう。それと将軍になった祝いです」
「あ、ありがとうございます」
信は王騎よりかなり質が良いと見て分かる兜に甲冑、外套を贈られそれを着る。
そうして、二ヶ月近くは王騎と共に色んな前線地を巡りながら王騎から将として指揮を任されたりなど、『将』としての経験を積んでいったのである。
「バハァッ、あの時の童が今や将軍とはなぁ。これはめでたいぞぉ!!」
麃公のもとにも行っており、信が将軍になったのを知ると『酒』の飲み交わしは勿論、結構な贈り物などをして祝ってくれたりもした。
「ンフフ、では次ですよ李信」
「はい、王騎将軍」
李信は将軍になってからも独立遊軍の将として王騎と共に戦地を巡り、各地でその武威を広めていくのだった……。
二
『論功行賞』から三か月後、山陽の
山陽地帯の平定はまだならず、特に里井での魏の抵抗は中々で秦軍は苦戦していた。
「ふははは、行けるぞ。そら、追いこんでしまえっ!!」
魏軍の将が撤退していく秦軍に対して追撃する指示を出し、追い詰めようとしたが……。
『なっ!?』
「馬鹿が」
撤退した秦軍の部隊が散開をしたかと思えば『秦』と『飛』の旗を掲げた部隊が待ち構えていた。
「『飛信隊』、突撃だっ!!」
『おおおおっ!!』
そうして、『飛信隊』は突撃を開始する。
『う、うわあああああああっ、ひ、『飛信隊』だぁぁぁぁぁぁ!!』
魏軍は『飛信隊』、特に先鋒を務め麾下の五百の騎馬隊と巨大な一つの獣が如くなって暴れ回り、食らい尽くしていく信に絶望する。
山陽での戦いにおいて超絶たる武威や技を見せた信は魏軍において『
「流石です、李信将軍」
信は里井の前線地帯に独立遊軍として訪れるとその地の守備隊からは元々、存分に武威を見せつけたのもあって『将軍』としても受け入れられた。
「良し、ここで一気に大炎を巻き起こし、潰しに行くぞ」
『はっ!!』
そうして里井の地全てを広域な一つの戦場に見立てて、それぞれの部隊もまとめて指揮を務め、的確な采配や指揮による戦略と戦術を繰り出す。
それに加え、本能型が故の戦場による相手の動きから『起こり』を察知、あるいは戦場自体の動きから察知した事による采配や指示、『奇策』を自らも含めた『飛信隊』の超絶的な武威と共に繰り出す事で次々と里井を攻めてきた魏軍を撃破していき、平定していく。
「信、待たせたな」
「ああ、良く来てくれたな貂」
そんな日々の中、昌平君の下で軍師として修業していた河了貂が信の元へと訪れ、二人は再会した。
「随分と綺麗になったな」
「信も将軍になっただけあって、格好良くなったよ」
「ありがとう……それで修業の成果は上々か?」
「うん、軍師としては実戦経験しても良いと言われてる」
「じゃあ、それを証明してもらおう」
こうして、飛信隊に軍師として河了貂が加わったのであった……。