キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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五十一話

 

 この中華は元々、百以上の国があり、五百年をかけて秦、楚、斉、燕、韓、魏、趙の七大国に淘汰されたとなっている。

 

 しかして七国に吸収されずに山地の中でか細く残っている小国も存在しているのだ。

 

 『徐』はその小国の一つであり、常に戦乱巻き起こるこの中華において、生存するために魏・趙・楚の三国から庇護を受けている。

 

 その代わりに『徐』は険しい山地と樹海に囲われ、発見されにくいという特色があるので三国の諜報員たちに対し秘密裏に交流し、駆け引きを行う場として提供していた。

 

 また、情報の流しを生業にもしている。

 

 だが、『徐』にとっては最悪な事に今日、韓軍にこの国の存在を気づかれた上、三国が混乱するよう情報操作しろと要求したのである。

 

 

 

 『徐』は中立の立場であるため、要求を断ったのだがならばと韓軍に襲撃を受ける事となった。

 

 東金城へと向かっている信が出会った徐人の少年である(しゅう)は女子供だけでもと逃がされたうちの一人である。ただ、韓軍の追撃により、彼以外に逃げ出した者たちは全滅したが……。

 

 

 

 秀の話を聞いた信は彼の国である『徐』を救うため、彼を案内係にして行軍を開始し……。

 

 

「道理も知らない鬼畜外道に容赦はいらない。殲滅するぞっ!!」

 

『うおおおおっ!!』

 

 『徐』の城の外で容赦なく韓軍に虐殺されたかなりの数の女子供の死体を一瞥すると秀を貂に預け、即座に皆へと指示をする。

 

 そうして、先に自分が先鋒となって麾下五百五十の騎馬隊がそれに続く事で巨大な一つの獣と化し、『徐』の城へと向かって疾駆する。

 

 

 

 

「な、何だ貴様らっ!?」

 

「ぐぎゃああっ!!」

 

 徐を滅ぼすため、長老たちが籠っている門を破ろうとしていた韓軍は突如、突撃してきた巨大な一つの獣が如き威容を放つ信と彼が率いる麾下の騎馬隊によって瞬く間に次々と彼らにとっては災害のような武威であり、暴威に蹴散らされ討ち倒されていく。

 

「このっ!?」

 

 韓軍の二千将である馬関(ばかん)は応戦しようと向かうも信の戦意や殺意の籠った視線に射抜かれて動きが止まる。

 

 

 

「(まるで博王谷(はくおうこく)様やヨコヨコ様のように……)」 

 

 信の姿から韓において猛将として知られる二人に匹敵する圧倒的な存在感であり、戦意であり、殺意を浴びた事で無意識に気圧されたのである。

 

「ルアアッ!!」

 

 矛による壮絶な斬閃を放ち、信は馬関の首を刎ね飛ばすとそのまま、彼の部隊に対して矛を踊らせては騎馬隊の者たち共に討ち果たしていき、全滅させたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 信は韓軍を全滅させると秀に頼んで崩れかけの門から中にいる長老たちに話しかけ、出てきてもらい自己紹介はもちろん、秀とのやり取りについても説明した。

 

「我らが国をお助けいただきありがとうございます。李信将軍」

 

「助けを求められたからな」

 

 長老からの礼を受け取りながら、苦笑する信。

 

「秀、傷はまだ痛むだろうがそれは男にとって、誇りであり、名誉の証だ。胸を張れ、お前は徐の皆を救った英雄だ」

 

 そう、信は秀へ呼びかける。

 

「あ、ありがとうお兄ちゃん」

 

 秀は涙を流しながら、頭を下げて礼を言う。

 

 そうして、長老と話を交わすと国を救った礼に徐を中心とした周囲一帯の地図であり、東金城までの道も記された地図を貰った。

 

 

 

「このご恩、我々徐人は決して忘れません。いつの日か必ず恩返しをさせていただきます」

 

 長老は地図以外にも必ず、礼をすると他の徐人たちと共に頭を下げて誓った。

 

 

 

「分かった、それじゃあその時はよろしく頼む」

 

 今後は三国に助けを頼むのだと聞きつつ、信達は『徐』を去り、渡された地図に従って他の国に発見されない道を使って目的地である東金城へと向かう。

 

 

 

 

 しかし……。

 

 

 

 

「李信将軍、どうやら別々の国の軍隊が秘密裏の会合をするようです」

 

「それは様子を探ってみないとな」

 

 斥候から重要な情報を聞くとその軍隊に見つからず、様子が見れる場所に先導してもらいながら貂を連れて向かったのであった……。

 

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