信率いる『飛信隊』は東郡が東の端にある前線基地の『東金城』に行軍していたが、その道中、韓軍に襲われている小国の『徐』を救出した。
その礼として魏、趙、韓、楚の国境が入り組んでいる周囲の詳しい地図を貰え、『東金城』までの道のりも示されていたので楽に行軍する事が出来ていた。
しかし、別々の国の軍隊が旗も上げない隠蔽の体勢で滞在してるのを発見した。
それを見下ろせてかつ、軍隊に見つからない丘の上にて信と貂、秘密部隊にて観察していると……。
「どうやら、大物が出てくるようだな」
馬車が見え、そして中より……。
「り、李牧だっ!!」
髪を後ろに束ねた端整な顔つきの男が出てきたのを見て貂は驚く。
「落ち着け、貂……李牧なのは間違いないか?」
立ち上がろうとしたので軽く抑えつけながら問いかける。
「うん、間違いないよ。護衛のカイネも連れているし」
貂は李牧の傍についている甲冑を見につけた凛々しい顔つきの女性を見ながら言う。実は馬陽の戦いにおいて見物人を装いながら、貂たちに近づいて来たらしい。
秦が勝利をすると去っていったとの事だが……故に後日、李牧が和睦のために来た時は驚いたと貂は言った。
「只事じゃ無いな」
そうして、遠くから李牧の後を追って密林の中に行き、遠くから天幕が見える場所の密林にて地に伏せながら、監視する。
少しすれば、李牧の他にもう一人、美麗な顔つきの男が天幕の中から出てくる。
「では、よろしくお願いします
「ああ、それにしても恐ろしい男だな、李牧」
そんな会話を交わす二人。
「(春申君……この中華でも頂点に位置する大物が、こんなところに!!)」
信は王騎に修行をつけてもらった時に超重要な大物として食客三千を抱える戦国四君最後の一人で『楚』という大国を二十年、一手に纏めている偉人として春申君がいると教わっていたので驚いた。
「(これは楚・趙同盟なんて簡単な話じゃ無いな)」
息を潜めながら李牧と春申君が去るのを見続ける。そうして、その間ずっと今の状況を考え続けた。
何故、韓軍がこの魏・趙・楚の三国において宰相の類しか知らない場所の近くで行動していたのか、楚と趙が何故魏も知っている可能性のあるこの場所で国としての会合では無く、秘密の会合をしていたのか、東郡に変えてからの行動……李牧が燕を攻めて劇辛を討った理由などなど色々と予測したりしていく……。
そうして……。
「貂、もしかすれば李牧と春申君はとんでもないことを仕掛けて来るぞ」
「とんでもない事?」
李牧たちが立ち去ってしばらくしてから、信は貂と秘密部隊と共に待機させている『飛信隊』の元へ戻りながら、貂へと考えを言い始める。
「『
「んなっ!?」
信の告げた内容に貂は驚く。
そうして、信は直ぐに政たちというより、王騎にあくまで予測でしかないので『合従軍』の事については書いてないが、それでも下手をすれば三国以上の同盟が起こるかもという事を李牧と春申君が会合していた事を詳細に書きつつ、秘密部隊の一人に送り届けに向かわせたのであった……。