『合従軍』を率いて秦を滅ぼそうと計画した趙の三大天の一人である李牧の計画はほとんど潰れてしまっている。
「(こうなれば、少しでも戦力を削ってみせます)」
故に次への戦闘に向けて有力な将であり、現在、軍を展開して防衛戦を築いている麃公と李信を倒す事を目的に定めて軍を展開しつつ、策を練っていたが……。
「李牧様、兵站が……秦軍の奇襲部隊によって兵站が潰されてしまいましたぁっ!!」
「なっ!?」
膠着状態にしながら、李信が動かしていた秘密部隊が趙軍の兵站の捜索を開始し、そうして幾つかの騎馬隊を秘密裏に動かして待機させていたのだが、李信と麃公たちが咸陽からの援軍を連れて戻るとすぐに合図を送って襲撃させた。
『全軍、突撃ぃぃぃぃぃっ!!』
そうして、麃公と李信は大錐行の陣を組んで二万の兵で突撃を開始する残り四万も当然、それに続いており、更に別方向からそれぞれ兵站を奇襲した部隊が趙軍の陣へと迫り行く。
「と、止められん……」
「お、おのれぇぇ、化け物がぁぁぁぁっ!!」
守備に優れる李白と軍師趙莊は今回の戦において馬陽戦で敗北し、その大きな要因である李信に対し雪辱を果たそうとしていた。
だが、どちらも突撃力であり、突破力、武力に優れる将である李信と麃公の武威が相乗的に爆発する大錐行の陣による突撃が正に災害の如き、威力を発揮し瞬く間に李白の防陣を粉砕し、そのまま李白と趙莊は屠られる。
「くっ、せめて李信だけでもおっ!!」
趙において優れた弓の名手で『中華十弓』の一人である
大錐行で防陣を破るとそのまま、麃公から離れて麾下の五百五十の騎馬隊と一つの巨大な騎馬隊になりつつ、魏加の矢を回避し、あるいは矛で弾きながら進んでいく。
普段から前と左右の三方から矢を射させてそれを手で払い落とすか掴み落とすかの鍛錬をしている李信にとって魏加の矢など問題にもならなかった。
「まさか、本当に……」
李信こそ武の頂点であると驚愕しながら、魏加は李信が振るう矛によって斬断されたのであった。
「くっ、今回は完敗です……ですが、次こそは……」
圧倒的武威、何より兵站を一気に潰す奇襲によって大敗を喫し、六万近くの兵と李白に趙莊や魏加や苛烈な李信と麃公の追撃に殿として立ち向かって散った
「悪いが、絶対にお前は厄介な事をしてくるのが分かり切ってるから、一気に潰させてもらったぜ。本当の勝負は次の機会だ」
追撃を終えた李信はそう言い……。
「皆、厄介な侵略者である『趙』は去ったぞ」
「勝鬨じゃああっ!!」
そうして、信は麃公とともに勝利を宣言する。
その後は勝利を祝う宴をしながら、英気を養った。
そうして、翌日……。
「楚軍の戦いの援護に向かうぞ」
「出発じゃあっ!!」
楚軍と戦っている蒙武に張唐、王騎への援軍となるべく、行軍を開始したのであった……。