数年前、秦王嬴政の弟である成蟜が起こした反乱を契機に秦国と山民族は交流を復活させた。
山民族の女王こと楊端和は嬴政の求めに応じ、自分と配下に兵士、馬も含めて全面的な協力をしたのである。
そうして王都である咸陽を奪還した後、別れたのだが交流は続けており、楊端和は未だ制覇出来ていない山界にいる部族たちとの戦いに明け暮れている。
未だ、王都奪還の借りを返していないのもあって現在、苦戦している楊端和達の助けに 李信率いる『飛信隊』は向かったのである。
そうして……。
「久シブリダナ、信……イヤ、李信ダッタカ……将軍ヘノ就任オメデトウ」
「ああ、久しぶりだなバジオウ。別に俺の事は信で良い、それとありがとう……タジフも久しぶりだな」
「【久しぶり】」
迎えとしてバジオウとタジフの二人が現れたので、軽く抱擁したりなどして交流する。
「信はどういう交流を……」
深い交流関係にあるのが分かる李信とバジオウ達のやり取りに『飛信隊』の者たちは疑問に思う。
ともかく、その後はバジオウとタジフの案内と共に山を進み、崖道を突き進んだ果てにある王国へと辿り着く。
「こんな場所があったとは……」
羌瘣や『飛信隊』の者たちは山民族の王国を見て驚いた。
中へ入り……。
「久しぶりだな、信、河了貂……随分と大きくなった」
楊端和が歓迎をする。
「久しぶりだ、楊端和」
「久しぶり」
それに対し、李信と河了貂も応じた。
「本当に大きくなった。分かるぞ、信……あの時よりも強くなり続けているのが……援軍として来てくれた事、嬉しく思う」
李信の様子を改めて見て楊端和は言う。
「ともかく、まずは休んでくれ。戦いに出るのは明日からだからな」
「分かった」
まずは『飛信隊』の者たちと山民族が共に戦う事になるので軽くでも交流が出来るようにならなければならない。
そのため、まずは交流会的な物が開かれることになったのだ。
「アゥ」
「おお、ランカイ……あれからどうだ、今の生活は良いものになったか?」
「アア」
常人離れした遥かに巨大な肉体を有するが故に成蟜に自分の手足として働くよう、虐待されていたランカイは李信に対し、嬉しそうに近寄ると李信に対し頭を下げる。
「そうか、なら良かった」
李信はランカイにそう、声をかけてやった。
「李信、将軍になった祝いに贈りたいものがあるんだ」
楊端和に呼ばれたので応じれば……。
「この馬は……」
李信は毛並みの色は鮮血に塗れたが如き、紅の色であり、従来の馬よりも巨躯であり、逞しい筋骨を有する馬を目にする。
「山界のとある場所に主として君臨していた馬だ……乗りこなしてやろうと連れてきたが、駄目だった。お前なら乗りこなせるかもしれん」
「やってみよう」
馬と視線を交わし、李信はこの馬に乗りたいと思った。馬側も何かを感じたのだろうか、視線を李信から外さない。
軽く李信は馬の毛に触れつつ……。
「良いか?」
「ブルル」
李信の言葉に返事……そうして、李信はその馬へと乗った。
「ふっ、いくぞ」
そうして、馬を走らせてみる。資格を試しているのか暴れたりして来るが李信は上手く、上手く両腿で締め付けるなどして自分こそが主なのだと分からせる中……李信が乗る馬の速度は従来の馬の数倍であり、千里すら短い日数で駆けるほどのものである。
「今日から、お前は俺の馬だ。『
その馬に李信は『紅飛』と名付けたのである。
そうして……。
「ルアアアアッ!!」
山界制覇のために楊端和の援軍として向かった初戦、『紅飛』による壮絶なる速度で駆けながら、大矛を振るい踊らせながら、嵐の如き轟音を唸らせる。
すると瞬く間に李信の前にいる敵は矛の刃で切り裂かれ、矛の柄で粉砕される事で屍体の山が出来上がった。
「【降参だ】」
敵対した部族は李信の壮絶なる武威に降伏したのであった。
「ますます、李信が欲しくなるな」
「流石ダ」
「【ああ、あれでこそだ】」
楊端和にバジオウ、タジフらは李信の超絶なる武威に敬意を抱くし、心を滾らされる。
『ウオオオオオ』
初めて李信の武威を見た山民族は一気に李信の事を認め、讃える声を送った。
「これから、よろしく頼むぞ『紅飛』」
李信の言葉に紅飛は嘶きを上げて応じるのであった……。
裏設定として、『紅飛』は赤兎馬の先祖みたいなもんです。