六十九話
二年前の『合従軍』の侵攻を防ぎつつ、返り討ちにした『秦』は侵攻されていた地を取り返しつつ、徐々に『斉』を除く各国の地を獲っていき、国境を広げていた。
当然、各国の抵抗は激しくなるし小競り合いは盛んであったりもする。
二年後の今、とある地で秦と魏の争いが過熱化していた。
その地とは『山陽』の先にある『著雍』であり、秦は此処に塁を張り巡らし天然地形を活かした大要塞を築く事で中華統一の重要拠点にしようとしている。
それが故に秦の中華統一を妨害しようと魏軍は『著雍』へと盛んに攻めてきていた。
「返り討ちにしろっ!!」
『はあああっ!!』
それに対し、防衛しているのは李信率いる『飛信隊』だ。
「なっ、あれは我らのっ!?」
「おのれぇぇぇっ!!」
魏軍はかつて李信の伏兵戦法によって撃退され、大量に獲られた戦車で構成された『飛信隊』の中の『戦車部隊』に驚愕しながら、撃退されたり……。
「な、何だあの巨大な床弩は!?」
元は魏軍の巨大な床弩による攻撃で撃退する。
更に……。
「行くぞ、紅飛っ!!」
超速で縦横無尽に戦場を紅の閃光が如くとなって駆け回りながら、李信が大矛から嵐の如き唸りを上げさせると共に絶技による舞いを踊らせて武威を放つ。
『うぐああああっ!?』
その武威の威力によって魏軍の将兵は肉塊となり、鮮血をばら撒きながら、散りゆく。
「私達も続くぞ」
無論、副官で現在は千人将の羌瘣も李信によって生まれた間隙を衝いて魏軍を更に討ち取っていくのであった。
「呉鳳明は随分と小賢しいな」
「お前だから、そう言えるだけだろう」
「まあ、そうかもな」
今回、魏軍においては『合従軍』での汚名を晴らす事、李信へ逆襲しようという目的を果たすために呉鳳明が来ているという。
もっとも他にも秦軍も魏軍も続々と集結しているのだが……。
そして、今回李信は呉鳳明の戦術を凌駕し、撃退。
序戦は見事な勝利を収めたのである。
「くっ、李信……まさか、これ程の戦術を使えるとは」
呉鳳明は李信が山や川、地形に合わせて軍を広げる事で全ての地が互いにかばい合い、中央からも即座に全方位に援軍を送れるよう配置しているという布陣図を見てうめき声を上げる。
まるで一つの要塞のような堅陣を築いていたのだ。
「だが、必ず破って見せるぞ。必ずだっ!!」
呉鳳明は李信を倒すため、怒りに憎悪を燃やしながらこの地に呼び寄せた魏におけるとある存在らが来るのを待つ。
「良いぞ、打てるだけの手を打ってみろ。俺はその全てを凌駕しお前たちを倒そう。勝つのは俺達だ」
李信は本陣にて集結している部隊を待ちつつ、此処から遠く離れた地点に設けられた魏軍本陣の方へと視線を向けながら、言い放つのだった……。