秦国は中華進出において重要な地である『著雍』を守るべく、魏国は秦国の中華進出を阻むべく、『著雍』を獲るべく小競り合いを繰り広げていた。
そうして、とうとう周辺の軍勢も互いに集め出し本格的な戦争を始めたのである。
魏国はこの戦争において十数年もの間、幽閉していた『魏火龍』の三人を解放し、動員しているほどだ。
『魏火龍』は秦国における六大将軍、趙国における三大天に並べるだけの実力を有した英傑たちの事である。
本来は蛇甘平原での戦で麃公の一騎打ちの果てに敗れ、討ち取られた鳳明の父である呉慶も含めて七人いたのだが、六人はとある理由から同士討ちを行い、鳳明の軍略の師である霊凰にあげた武将の首は百を超すと言われている
今回の魏国は李信によって、潰走させられた事で立場を降格させられた鳳明、幽閉されていた魏火龍を使ってでも必ず勝ってみせるという決意と覚悟に溢れている。
そして、李信が築いている要塞の如き布陣だが深い森や川など遮蔽物で僅かに他のところより伝達、援軍に遅れが出る南西、北西と川の先にある三点を同日同刻に撃破し突破するという強攻策をとる事とした。
そうして、川の先にある一点を攻略するのは霊凰と鳳明の師弟二人であったが、彼らの前に立ちはだかったのは王騎であった。
霊凰はその王騎に対し、自身の強力なる鉞にして魏国においても最強に近い実力を有する狂戦士である乱美迫を放ったが、それを読んでいた李信により、防がれ更に討ち取られてしまった。
「よくも乱美迫様をぉぉぉっ、あの男を討ち取るぞぉっ!!」
『うおおおおっ!!』
目と口以外を覆う兜を被った乱美迫の副将である
「やれるものならやってみろ」
李信はそれに対し、言い放つと麾下の騎馬隊と一つの巨大な獣と化して突撃を開始する。
『うぐああああっ!!』
そうして、瞬く間に乱美迫軍を喰らい尽くしてしまった。
「私達も攻めますよぉっ!!」
無論、王騎軍は李信が乱美迫軍と戦っている間に霊凰と鳳明軍と戦いを開始する。
「ぐっ、だが我が軍略を舐めるなよ。行け」
「お前達もだ」
霊凰と鳳明は強力な采配であり、指揮を披露するものの……。
「向こうを潰すぞ」
『おおっ!!』
王騎軍と連携しながら縦横無尽、自由自在に動いて翻弄しながら機先を制する遊撃軍と化して動く李信の軍により、数々の軍略を潰され追いやられていく。
「お、おのれぇぇっ!!」
「くそおっ!!」
そうして、霊凰と鳳明は追い詰められたのもあって陣へと撤退したのであった。
「ふう、では俺は一旦本陣へと戻ります」
「ええ、お疲れ様でした李信」
「王騎将軍も」
そうして、李信は総本陣へと帰還を始め、王騎も自分の陣へと帰還を始める。
他の二点、南西においては凱孟の猛撃を麃公が抑え込み、北西においては紫伯の侵攻に対し、苦戦しつつも王賁が持ちこたえていたのだった……。