七十四話
『山陽』と合わせて魏国侵攻における強固な双子軍事都市へとするため、要塞化を進めている『著雍』。
李信は様々な手を打つ事で魏を翻弄しながら、軍としての力を削る事で内政に力を入れなければならない程の状態に追いやった。
そうして、魏が『著雍』や『山陽』に手を出せないようにしたのである。
後はしっかりと要塞が出来上がるのを待つだけであり、もし、魏に対し『韓』やこれは『合従軍』での事を考えれば可能性は薄いが、『趙』が恩を売ったりなど様々な恩恵を条件に同盟やら持ち掛けて『著雍』や『山陽』に手を出してくる可能性がないでもない。
なので、どう状況が転んでも対応出来るように備えておく。
それを意識しながら、李信は行動していたのだが……。
「この状況で太后様含めた後宮勢力が動くだと……凄くきな臭いぞ政」
秘密部隊を使って情報収集をしていればなんと、秦国において急に秦王である嬴政の母親、つまりは太后率いる後宮勢力が動き出した。
そもそもにして、山陽一帯では後宮勢力の手の者が多い状態ではあったが、その後宮勢力の者であり、宦官である
「軍配備も弄って来たか……」
長官が新しくなったからと軍配備の一新として『著雍』から『山陽』へ一万もの再配備。それから短い期間でなんとまた一万を今度は『
『太原』とは山陽と著雍から遥か北であり、少し前に成蟜が危うく反乱者にされるところであった『屯留』よりも更に北に位置する秦極北の都市である。
最北の国境を守る要ではあるが、僻地ではある。
そんなところへ嫪毐は『著雍』もであるが、
更に『太原』へと嫪毐と太后は移動までしたのだ。
『ああ、くそ……国か』
李信は秘密部隊を送り、太原での動きを探らせたがすぐに国を創ろうとしているのだという事に思い至った。
実際、李信の考えは当たっており、太后と嫪毐による後宮勢力は『太原』一帯を『
「考えたと言えば、考えたな……王族身分と金があれば一応の建国と経営は出来る」
結局は力量などにもよるが王族の権力に財力があれば、土地を買う事で人を集め、物資を集め、そうやって国を造る事は可能ではある。作ってからどう繁栄、維持するかは別の問題ではあるが……。
「ややこしい事をしてくれやがって」
李信は『毐国』を建国し、秦国を乱している太后含む後宮勢力に毒づくのであった……。