秦において衝撃的な事態が発生した。
太后、つまりは秦王である嬴政の母が宦官であり、山陽長官となった嫪毐、後宮勢力と共に『太原』を拠点に『毐国』の建国を宣言したのだ。
王族身分の権力と財力を元に他国の有能な文官を集めるなど独立国家としての成長を続けている。
しかも秦の北に別の国が出来れば、北と南で秦を挟み込めるなど利点が多い事や元から手を組んでいたのだろう、『楚』が国境を侵してきた。
これに現在、対抗するのは蒙驁に蒙武、蒙恬、張唐である。
「これより、論功行賞を行う」
北の毐国や南の楚で揺らぐ秦は今、注力している『著雍』の要塞化含めて魏への侵攻準備のそれが揺らぐわけにはいかないと『著雍』にて簡易的ではあるが、正式な『論功行賞』が行われる事となった。
それにより、王賁は魏国において最強の槍使いである紫伯を討った功績により、『将軍』となった。
李信も『著雍』を守った功績や霊凰を討った功績により、爵位の昇進があった。
「では、私は楚に思い知らせてきますよ。隆国に鱗坊らを置いておきますので好きに使いなさい」
「ありがとうございます」
王騎は将軍となった王賁と共に楚に対する防衛へと向かう事になり、軍団長の幾つかを残してくれた。
そして、変わらず李信は『山陽』に『著雍』の守りを務める事になる。
「改めてよろしくお願いします、麃公将軍」
「うむ、どうやらまだ炎は此処で燻っているようじゃからのう」
同じく麃公は李信と共に『山陽』と『著雍』の守りを務める事となったのであった。
そして、李信は『毐国』の動向を探るために秘密部隊の多くを潜入させているがとんでもない情報が入った。
『屯留』での件により、処罰自体は免れた者のしばらく自粛せざるを得ない状態となった呂相国が単独で秘密裏に『毐国』を訪れたのだ。
「この件にも絡んでやがるのか……」
「李信将軍……実は」
元は呂陣営の刺客であり、また、利用されるだけ利用されて捨てられるような事にならないよう得ていた保険の情報を『朱凶』から聞く。
元々、呂相国は太后と男女の関係であったとの事だった。また、そもそもにして嫪毐を太后に送ったのも呂相国だと言う。
「打てるだけの手を打っておく必要があるな」
必ず、『毐国』を利用して秦の玉座を手に入れようと企んでいるいる呂相国を打倒するため、李信も策を練り始め、準備をする。
その一方で……。
「秦には誰がいるのか、改めて思い知らせてやる……来るなら来い、勝つのは俺達だ」
『毐国』の誕生、楚の侵攻に乗じて秦の力を削ぎつつ、魏に恩を売ろうというのだろう、『韓』と『趙』が『山陽』であり、『著雍』に向かっている情報が入ったのだった……。