『魏』を助けつつ、『秦』の国力を削ろうと東郡こと『山陽』と『著雍』に侵攻してきた『韓』と『趙』の両軍を李信は撃退した事で守り抜きつつ、新年を迎えた。
そして……。
「さて、邪魔者はいなくなったし守るだけというのは性に合わない。攻めよう。『
『垣』を李信が担当し、『蒲陽』を麃公が担当する異にして軍を分けて侵攻を開始する。
「ルアアアッ!!」
無論、城を攻め落とすとなれば魏も援軍を送る等、必死の抵抗をするものの……李信が麾下の騎馬隊を始め、野戦を担当する部隊と井蘭車に大梯子、床弩を使って攻城戦をする部隊に分けながら戦うそれに対抗できない。
そもそも攻めが特に苛烈なのだから……それに……。
『こ、降伏する』
『飛信隊』もそうだが李信はこの乱世では珍しく、捕虜や民の殺害、略奪を一切しないし、そうした者を厳しく処罰する態度なのだ。
捕虜や民たちに対してある程度、丁寧な対応もしてくれる。
こうした行動は少なくとも相手する敵としては命を奪われる事が無い安心もあり、だからこそ降伏という選択が取れる。
実際、李信と『飛信隊』が魏軍を勝ち続けて威明を広めているのもあるのだが、『飛信隊』と少し戦った後、降伏する者や降伏を城に進める捕虜も出てきたりするので早々と侵攻が進んでいき、そうして本来は万の軍で攻める『垣』ですら少し攻めると降伏したのだ。
「良し、麃公将軍の援軍に……ん?」
「河了貂、河了貂はいるか?」
余裕が出来たので『蒲陽』を攻め落としに行っている麃公軍の援軍に行こうとしていると咸陽の総司令、つまりは昌平君から伝令だと
「先生から……ってちょっと、封が割れちゃってんじゃん、どういう事?」
「す、すまん。途中で一頭、足を折って落馬した……きっとその時……」
「(どう見たって手で開けただろ……という事はこいつは呂不韋の……)」
孫築は何故か伝令の中身が気になるようで河了貂が中身を開くのを気にしているようだ。昌平君が暗号を使っていないかどうかを気にしているのだろうと判断し、李信は孫築が呂不韋の手の者だと判断した。
呂氏四柱の一人である昌平君を疑うなにがしかの事があったのだろう。一枚岩では無くなっているようだ。
「もう、しっかりしてよね……んーっと」
「(やっぱり、気にしているな)どれ、俺も見よう」
河了貂が中を見る中、孫築はやはり、監視するように見ていた。李信はさりげなく河了貂に近づく。
「垣攻めには黒道を選べだって……もう攻め落としたけどね」
「俺達が総司令の予測を上回ったって事だな」
「え……『垣』を」
「向こうが降伏したのもあるが、確かに落としたぞ。今は蒲陽を落としに行っている麃公将軍の援軍に行こうとしていたところだったんだ」
驚く孫築に言いつつ……。
「後は天候に気をつけろだって……垣の次は共、曹、最後に
「(これは驚いた……まさかな)」
李信は昌平君の伝令が暗号であるのを確信しつつ、その意図に驚いた。
孫築が咸陽へと戻るため、去った後……。
「河了貂、これは暗号だぞ」
「やっぱり、そうなんだね。絳は魏の前身、『晋』の旧王都で秦で言う『
「『毐国』も今、何やら物々しくなったと情報もあった。反乱があるのは間違いないな」
「これを先生が教えてくれたって事は……」
「政の側に来るという事だ。まあ、反乱についてはもう、大分準備はしているがな」
李信と河了貂はそうした会話を交わすのであった……。