紀元前238年――秦国においては嬴政が毐王である嫪毐の反乱を鎮め、それに通じて政敵であった呂不韋を倒し、真に王として実権を手にしたこの年。
なんと『毐国』とを利用して秦に侵攻していた楚においても驚天動地の出来事があった。
まず、その剛腕で大国の楚を支配していた
そして更に楚を取りまとめていた中華にも名を馳せていた大偉人である春申君も暗殺された。これにより、楚の状況が大きく揺らいだのだ。
故に秦はこれに乗じた。元から、準備は始めていたが考烈王が死んだ時点で秦に魏と韓と国境を隣接している楚の要地である『什虎』を攻めとる事にしたのだ。
無論、魏と韓の国力が疲弊しているという状況もあっての事だが……。
そして、これに味方するように春申君が暗殺されたが故に更に進軍を早める。
「ンフフフ、今が好機ですねぇ」
「ふっ、この前の借りを返してやるとしよう」
「バハハァッ!! 腕が鳴るのぅ」
「ああ、まったくだ」
「この戦力で挑めるのはこれ一回きり……絶対に勝つ」
『什虎』を攻めるのは王騎、蒙武、麃公に張唐、そして李信と秦が誇る大将軍たちの軍勢だ。もっとも他の国への防衛も考えてそれぞれ連れてきた兵数は数万程で合計、十万ぐらいであるがしかし、それでも侵攻する軍勢としてはこれぐらいは必要なのだ。
三国と隣接する重要拠点である『什虎』を今まで守ってきたのは楚に吸収された国々の大将軍たちなのだから……。
そして、秦が侵攻しようとしている『什虎』においては……。
「報告っ!! 太林を越えた秦軍は紀市をも通過、この什虎を目指し、進軍しています。その数、十万……率いているのは王騎、蒙武、麃公、張唐、李信と秦の大将軍たちですっ!!」
『え』
什虎城にて麻雀をしていた守将たちは一斉に声を出し……。
「え……」
髪を後ろに結いつつ、編み込んだ巨漢の男にして什虎城の城主である
「え……本当か、秦の名高い大将軍たちが……しかも最近、大将軍となった『信来来』の李信までもが此処に?」
髪が長めの男で将軍の
「そんな……う……嬉しいっ!!」
千斗雲は歓喜に打ち震えながら、涙すら流して言った。
「キヒ」
満羽はなにやら、笑い……。
「イーッヒヒヒ、戦争だ戦争だ……イヤッホーッ!!」
馬鹿みたいにはしゃぎながら飛び跳ねさえしながら喜び、叫んだ。
「落ち着け、満羽」
冷静に言うのは軍師である
「……」
そして、只々はしゃいでいる満羽と彼と一緒に喜んでいる千斗雲を見ているのは髪を短く刈り込んでいる男は将軍の
「相手にとって不足は無い……秦の大将軍たちを返り討ちに出るぞ」
今までこの地を攻めてきた敵を撃退してきた四人は今回も同じ様に撃退するため、進軍を開始したのであった……。