秦は楚国が領しているが自国に魏、韓とも国境を隣接しているため、三国へと侵攻するための重要拠点ともなる『什虎』を獲るべく、王騎に蒙武、麃公と張唐、李信という最大最強の戦力にて侵攻を開始した。
それに『什虎』を守るかつては楚に対抗していた小国の大将軍と軍師の四人、満羽と千斗雲、玄右に寿胡王が防衛するために動き出した。
そうして、月知平原にてそれぞれ向かい合いながら布陣し、陣形を展開した。
『全軍、突撃っ!!』
少しして先陣を務める蒙武と麃公が突撃を開始した。二人はどちらとも攻めるのが圧倒的に優れている。
「さあ、こちらも始めますよぉっ!!」
「始めるぞ」
遊撃を務める王騎と張唐もまた、動き出した。
「さて、どう動く……」
この戦において総指揮と本陣の守備を務める李信は戦況を観察し始めた。
「突撃だっ!!」
「ですよねぇ」
「おおおおっ、俺達も行くぞー」
「いや、俺達は合図があってからだって……」
「な、こうなるって思ってた」
「俺も」
「勿論、俺も」
秦軍に対し、何と総大将である満羽は突撃を開始した。そして、本来は本陣からの合図で動くはずの千斗雲も勝手に突撃した。
それぞれの兵士たちは呆れたりしながらも続いていく。
「……あれが満羽か、討つぞ」
「……慌てるな、体を温めてからいく」
満羽と蒙武がそれぞれの敵となる兵を蹴散らしながら近づき、一騎打ちを始めようとする。
「死ね、爺さんっ!!」
「はっ、随分と血の気が多いわっ!!」
そして、千斗雲は麃公と一騎打ちを始める。
「やはり、向こうも大将軍だけはありますね」
「大国が故の戦力か」
「っ、やはり中々やる……」
遊撃に動く王騎と張唐に対し、巧く玄右が対抗していく。
「或る程度、想定はしていたがこうなるか……」
李信は本陣から戦況を眺めながら呟く。
「良し、俺達もやるぞ。戦車隊……」
そうして、李信は指示を出し、戦車隊から初めて自分の部隊や他の大将軍から任された予備兵力なども動かしていく。
「ははっ、中々にやるのぅ。李信っ!!」
寿胡王がそれに対し、指示を出していく。
この戦の戦況はなんと一進一退の激戦と化していた。
しかし……。
「羌瘣、任せたぞ」
「ああっ、必ずやり遂げる」
李信は羌瘣にとある指示を出すと……。
「行くぞ、突撃だっ!!」
李信は六百の麾下の騎馬隊と一つの巨大な獣と化した。
李信の馬である紅飛は超絶級の名馬であり、麾下の騎馬隊も十分な名馬で揃えているために『飛信隊』の李信とその麾下は最強の騎馬隊と化している。
よって……。
「ルアアッ!!」
瞬く間に一つの巨大な獣は楚軍を食い荒らすように切り伏せながら、疾走していく。
「じゃあなっ!!」
「……先に逝く……」
李信は紅飛の地面を跳ね飛ぶが如き、速度にて一瞬の間に玄右へと迫る。玄右は得物である剣を構えながらも終わりを悟りながら、呟く。
そして、大矛の一閃と剣の一閃を李信と玄右が軌跡を空間に刻みながら放ち……。
「死にたがりが」
李信の大矛が玄右の剣を断ち割りながら、玄右の身体をも切断したのであった……。