戦況を見極めた李信は麾下の騎馬隊と共に本陣より出陣し、玄右を討ち取ったまま駆けていく。
「合図を鳴らせ、場所はあそこだ」
『はっ!!』
李信はそう指示を飛ばす、それが意味するところはすなわち『大炎』を巻き起こす事であり、大乱戦開始の合図だ。
「ルアアアアっ!!」
『うおおおおっ!!』
大乱戦を巻き起こすと決めた場所へ全軍が集結していき、そうして怒涛の勢いで楚軍を屠っていく。
「くそ、奴ら何かを考えて……ぐっ!?」
「此処の前線が……ぎっ!?」
「ルアアアアっ!!」
「っ、強すぎ……があ」
急に秦軍が集まってきた事、そして率いる李信の武威に次々と楚軍は討ち取られていった。
「ヒャハハハ、あっちの方が面白そうじゃねえかぁっ!!」
「ぬっ、ちい……つれない奴じゃのう」
千斗雲は麃公を押しのけるとそのまま、大乱戦が起こっている場所へと向かう。
「お前が李信か、勝負だぁぁぁっ!!」
「良いだろう……ふんっ!!」
「うぐっ!!」
千斗雲は李信へと迫り、矛の一閃を振るうも弾き返される。
そうして……。
「しいっ!!」
「おおっ!!」
数度の激しい剣戟を繰り広げ……。
「ルアアアッ!!」
「ガハ……あぁ、最高だった……」
千斗雲は自らの一閃を弾かれ、李信の返した一閃により、身体を切り裂かれながら満足そうに呟き、倒れるのであった。
「何が最高だ……敵将千斗雲、この李信が討ち取ったぁぁぁっ!!」
千斗雲を討ち取った事を高らかに叫びながらも大乱戦となっている場を制すべく、矛を振るい続けた。
そして、敵本陣では……。
「はああっ!!」
「参ったのぅ……これ、無理だわ」
大乱戦の発生により、間隙が生じた本陣へと一気に駆け出しながら、剣にて守備兵を屠る羌瘣の存在に寿胡王はぼんやりと呟いた。
そうして、瞬く間に自分の目前へと迫られたのである。
「うん、もう本陣が落とされたのか……」
「ああ、そしてお前も此処で討たれるっ!!」
『楚』の旗が本陣から消え、『秦』の旗が立ったことで蒙武と激戦を繰り広げていた満羽は言い、李信が動き、活躍した事で不甲斐ないところは見せられないと気合が入った蒙武は叫び……。
「おおおおおっ!!」
「はは、良いなぁ……」
蒙武が猛りながら武威を大錘に込めて振るう勇姿に懐かしがりながら、賞賛しながら満羽は矛を振るい……。
「敵将満羽、この蒙武が討ち取ったぁぁぁっ!!」
そうして、『什虎』の敵将は羌瘣が捕らえた軍師の寿胡王のみが生きる結果になり、しかも月知平原で戦っている部隊とは別に『什虎城』に河了貂を指揮官として攻城部隊を送っており、これによって城も見事に陥落させ、目的通りに『什虎』の地を秦は得たのであった……。