九十四話
李信は桓騎と協力して趙との『黒羊丘の戦い』に勝利した。
その後、必要な事をこなしていくと勝ち取った黒羊丘での鎮圧や防備を整えるためなどそうした引継ぎのために来た蒙恬へ戦にて仲間にした紀彗達、『離眼』の事を伝えるなどして交代し、『什虎』へと戻った。
「ココココ、貴方が戻ってくるとやはり違いますねぇ、李信」
「バハハハ、一気に敵の勢いが無くなったのう」
「腰抜けだな」
李信がいなくなったのを知った楚に韓と魏の三国はそれぞれ、『什虎』を攻めていたが王騎に麃公、蒙武たちが全て返り討ちとしていた。
そして李信が戻り、撃退に加わると一気に三国、それぞれの勢いが無くなってしまったのである。
「それならそれで今のうちに防備を整えておきましょう」
三国の攻めが消極的になったので李信はしっかりと什虎を守る準備を整えた。什虎の状況も安定したのもあり、少しすると『咸陽』より、李信達は一カ月程、秦国での休暇が与えられると共に新兵募集から秦の北東部での練兵を言い渡された。
無論、その練兵は趙の目を西部に引き付ける狙いもある。
ともかく、そうして李信達飛信隊は一度、自分が持つ領地に戻り少し休暇をすると徴兵を開始しつつ、選抜していった。
その中で……。
「っしゃあ、飛信隊に入れたぞぉっ!!」
厳しい選抜試験を勝ち抜く事が出来たのを飛信隊の中でも剣の腕に優れた歩兵長の
「まずはおめでとう。だがここからだからな」
左眼に眼帯をした崇原が苦笑を交えつつ、干斗へしっかりと釘を刺した。
彼以外にも勿論、将来有望な者達が入隊しつつ、しかして特に活躍が期待できる新兵の二人がいた。その二人とは……。
「素晴らしい弓の才能だ……これから体力は付けてもらうが、特別合格だ」
「っ、はい。俺達頑張ります。いずれ、李信将軍にも勝てるくらい弓の腕も磨いて……」
「やったね、兄ちゃん」
小柄で童顔な若者である
しかし、弓の腕に自信があると言い、五百歩離れたところにある的へ複数、命中させられると言ったので試す事に……。
そうして、二人は山の中での狩人生活で磨いた弓の腕を披露し、それは十分に合格レベルであった。
その後、李信も特注の剛弓により、十射中十射的を射抜く弓の腕を見せ、蒼兄弟からの敬意を得たりしていたが……ともかく、李信はある程度の新兵を迎え入れつつ、秦の北東部へ……。
「李信大将軍、英傑である貴方と共に戦える日が来る事を願っておりました」
「それは光栄だ。よろしく頼むぞ
北東部において大将を務められる地位に実力を持つ曹波広と握手を交わしつつ、太原の地にて趙西部攻略に備えた過酷にして大々的な軍事訓練を開始する。
「お前、名は?」
「はっ、
「朱角、お前は中々、見所がある。俺の隊に入ってくれ」
「っ、ありがとうございます!!」
「
「はっ、喜んで」
李信は軍事訓練中に北東部の隊長や将軍の中で才能あるものは自分の隊に勧誘したりもしつつ、しっかりと戦力を蓄えるのであった。
その日々の中で趙西部において次々に砦や城が築かれていく報告が諜報部隊から届けられる。
「(良いぞ、しっかりと西部の守りを固めておけ李牧。それは全て無駄に終わるがな)」
最近、色々と手を尽くしたのが再び、趙での立場をある程度、取り戻した李牧が西部の守りを固めている事で間違いなく、西の守りに意識を向けているのを確信した李信は内心で李牧を嘲笑うのであった……。