趙との戦争に向けて自分が有する領地で募集し、選抜した新兵もそうだが、秦国北東部の将兵たちも含めて李信は過酷な軍事訓練によって、余さず精兵にすべく鍛え上げている中……。
「おお、お主たちが
「あ、ありがとうございます。麃公将軍」
「ありがとうございます」
飛信隊の新兵であるが、弓においては既に凄まじい能力を有している蒼仁と蒼淡の兄弟へ麃公が会いに来ていた。
何故なら、二人の父親である蒼源は麃公の部下であり、魏との戦争において『中華十弓』と呼ばれていた
蒼仁兄弟の話によれば、蒼源は『中華十弓』の中で上位三人の中の一人に入る
ともかく、白公との戦いでその実力を証明した蒼源は麃公の許可もあって、弓騎兵だけで構成された遊撃隊である『
しかし、ある戦場で窮地に陥った隊を助けようとした『蒼弓隊』は敵の多大なる伏兵によって敗れ、蒼源も戦死したとの事だった。
「兄弟二人、父に負けぬ弓兵となれい。そして、共に戦える日を待っておるぞ。ブハハハ」
『は、はい!!』
麃公将軍からの言葉に蒼兄弟はしっかりと姿勢を正しつつ、返事をして頭を下げた。
そして、更に……。
「蒼源様は俺がいた隊を救うために亡くなってしまった。だからこそ、その恩を返させてほしい」
「
麃公将軍の許可を得て、麃公の軍よりそれぞれ騎馬隊を率いる一人は禿頭で筋骨逞しい巨漢の武人である岳雷、もう一人は髪を短く後ろで結っており、顔には戦傷もある男で岳雷を慕っている
そうして、李信は激しい軍事訓練をする中、鄴攻略の提案者として咸陽に呼ばれ……。
「これが黒羊を拠点とした秦北東部軍による趙西部攻略における軍略です」
「…確かにこれならば……」
「なんと李信将軍の戦略眼はこれ程の……」
「李信はこんなにも……」
「さ、流石です」
「ますます実力を上げているな、李信」
咸陽に呼ばれた李信は今も戦略を練っている総司令である昌平君や彼の家臣で黒髪を二つに分け、顎髭の長い男の
そして、そのあまりの実現性の高さに昌平君達は驚き、蒙毅は尊敬するし昌文君や政は感慨深い物を感じたりする。
ともかく、李信の軍略と合わせれば秦は……。
「これならば可能だ、趙西部のある程度を攻略しつつ鄴を取ってしまう事が……趙を滅ぼす大きな痛手を与える事が」
趙西部と鄴攻略の二面作戦を開始する事が決まるのであった。
「(だが、もう一手……)」
李信は実はとある国の者へ贈り物をしており……。
「ふははははっ、李信めなんと大胆な……良いぞ、乗ってやろうではないか」
李信から贈り物と共に送られた『趙東部を攻める際は【