キングダム――大将軍を目指す男   作:自堕落無力

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九十六話

 

 始皇十一年のある日、秦国の王都である咸陽は多くの将軍を集めた。

 

 大将軍である李信にそれぞれ将軍である王翦、桓騎、王賁に蒙恬、将軍であるがその前に山の王でもある楊端和、そして北東部の曹波広に風范、黒修馬(こくしゅうば)田隼(でんしゅん)である。

 

 

 

「今より、趙侵略についての軍略を発表する。この事は極秘事項であるため心して聞くように」

 

 総司令である昌平君は皆へそう言うと今回の趙攻略における作戦を発表した。

 

 『黒羊丘』を拠点とした趙西部攻略――それを囮に趙の王都である『邯鄲(かんたん)』の喉元にある『(ぎょう)』を攻め落とす事が今回の趙侵略の主目的である事を……。

 

『……』

 

 全員が一様に驚いていた。

 

 

 

「そしてまず、趙西部を攻める軍だが曹波広将軍を総大将として、黒修馬将軍、田隼将軍に頼む」

 

 昌平君は曹波広達へと言う。風范は今、飛信隊の所属なので趙西部攻略の軍には入っていないのだ。

 

 

 

「今まで軍略を練ってきたとおりにやれば大丈夫だ。任せたぞ」

 

『……はっ!!』

 

 そして曹波広達は今の今まで鍛錬しつつも李信と趙西部での戦いにおいて十分に軍略を練っているので李信の言葉へ意識をすぐに切り替え、返事をしたのであった。

 

「そして、本命である鄴攻略だが総大将は李信将軍、副将を王翦将軍とし、桓騎将軍、楊端和将軍、王賁将軍、蒙恬将軍の大連合軍での侵攻となる」

 

『はっ!!』

 

 昌平君の言葉に李信達が応じた。

 

 

 

「皆、今回の攻略は中々に厳しく、激しいものになるだろうが力を尽くして戦い、勝ってほしい。よろしく頼んだぞ」

 

 

『御意!!』

 

 秦の大王である嬴政からの言葉に全員が包拳礼にて応じた。

 

 

 

 その数日後、四十万の軍が秦の王都へと集結して整列していく中……。

 

「李信将軍、よろしく頼むぞ」

 

「武運をお祈りしております、李信将軍」

 

 成蟜と彼の第一婦人である瑠衣と二人の子供で生まれたばかりの男児にして名前は二人にとっての命の恩人でもある信の名を借り、成信と名づけられた子が李信の前に現れ、そして声をかけた。

 

 

 

「ありがたきお言葉」

 

 李信は二人に対し、礼を取る。

 

 その後、四十万の軍勢の前で今回の趙西部(本来の目的である鄴攻略はまだ極秘)攻略は連合軍になる事を昌平君が伝えつつ、鼓舞をする。

 

 

 

 そして、今回の軍の総大将は李信である事が伝えられると……。

 

 

 

『李信将軍!! 李信将軍!! 李信将軍!!』

 

 そもそも李信は今まで数々の武勇伝を築き上げ、更には何度も秦国を破滅の危機から救った『救国の英雄』だ。

 

 故に喜びや期待、畏敬などそうした感情から声を秦国の兵たちは上げるし、王都を出るために歩く中でも人々から声が上がった。

 

 

 

「授けた鄴攻めの攻略は戦局の流れによっては捨てて良い。適宜、判断を将軍に任せる」

 

「分かっています」

 

 昌平君からの言葉に李信は頷いた。

 

 

 

「では頼んだぞ、李信将軍」

 

「李信、今こそがお前にとって大将軍としての始まりだ」

 

「はっ!!」

 

 そうして昌平君と嬴政からの言葉に応じ、李信は総大将として咸陽を出たのであった。

 

 こうして、李信は総大将となって趙へと戦いに行くが、それを気にする者たちがいる。

 

 

 

「ンフフフ、あの童が大将軍となり、一国との戦争における総大将ですか……李信、貴方の晴れ舞台は誰にも邪魔はさせません。思う存分、やりなさい!!」

 

「バハハハハ、趙をお前の炎で焼き尽くしてやれい、李信よっ!!」

 

「趙国も李牧も叩き潰してやれ、李信」

 

『什虎』から李信を育てた王騎は師としての視点から声を送り、麃公と蒙武もそれぞれ、自分たちが認めている李信へと声を送ったのだった。

 

 

 

 そして、更に……。

 

「来ますか、李信将軍……私の全てを持って、貴方を打ち砕いてみせますっ!!」

 

 趙国にて李牧は李信に対し、戦意を燃やしながら迎え撃とうと準備を始めるのであった……。

 

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