祠を壊した理由   作:白夏緑自

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■■島豪雨・地震から12日後

■■島豪雨・地震から12日後 

東■■警察署内 第4会議室

 

 

 刑事さんと取り調べ室以外でお話しするのは初めてですね。前から思っていましたけど、やはりお綺麗ですね。失礼──明るい部屋ですと、よりはっきりお顔が見られるので、つい。よく言われませんか? 言われない? 周囲の方々に見る目が無いのでしょう。

 それで、今日はどうして会議室へ? 刑事さんとお話できるなら私はどこだって構いませんが。

 ──。見つかった……? 見つかったのですね⁉ それは本当ですね⁉ それで誰が⁉何人⁉ どのような姿で⁉ 

 ……。……そう、ですか……。みんな……。申し訳ございません、取り乱してしまいました……。

 それじゃあ今日は……? 私の知っている娘たちかどうかを確認するために……。大丈夫です、見せてください。どのような姿でも、再び会えるならば。覚悟はできています。

 写真、ですか。このモニターに……。いえ、謝罪していただく必要はございません。 むしろ、私は感謝を伝えたい。彼女たちはこの固い机の上に寝かせるようなことをせず、眠れる場所にそっとしておいていただけて。彼女たちに代って、お礼申し上げます。ありがとうございます。

 そして、彼女たちですね。ええ、みんな覚えていますよ。左から、■■ チヨちゃん、■■ 文子、■ 由美子さん、■■ 舞ちゃん、そして、■■■ 澪さん。

 どうしてわかるのか、ですか? たしかに、チヨちゃんや文子さんと過ごしたのはたいへん昔になりますから、もう肉体はほとんど残っていませんけど……。

 それでも、チヨちゃんの右手は中指が一番長くて、文子さんは右足の小指が少し外側に逸れていたり……、忘れたくても覚えているもの。懐かしいです。本人たちは少し気にしていましたが。私にとっては愛おしい身体の一部です。

 由美子さんの左手についている時計は一緒に買いに行ったもの。こんなにお顔が小さいのは舞ちゃんぐらいですし、澪さんは……お顔を見ればすぐわかりますね。少し、痩せていますが……。

 ありがとう、刑事さん。私の言葉を信じて、あの祠の近くを探してくださり。こうやって、彼女たちの姿を再び見ることが出来ました。

 でも、正直、とても嬉しい気持ちに偽りはありませんが、予想していたとはいえ、いざ直面すると堪えてしまいます……。すみません、少し、お胸を貸していただけませんか……? ありがとうございます……、橘花さんがいてくれて本当によかった、とても辛いですが……、乗り越えられそうです……。

 ──ああ、もう一体の遺体ですか? それも、私が良く知る人物ですよ。ただ、私の恋人ではございません。

 

 

■■島豪雨・地震から12日後

東■■警察署内 刑事課執務室

捜査2課 天見 橘花の発言

 

 あ……、ごめん、ボーッとしてた。

 身元の特定、できたの? 澪さんや舞さんはともかくチヨさんたちも⁉

 それで、本当に彼女──夕空さんの言う通りで……?

 もちろん、にわかには信じられない。あそこで見つかった遺体たちが一人を除いて彼女の恋人だなんて。だって、みんなバラバラの時代の人間だよ? 

 逆に、恋人じゃない遺体が一体だけ、どうして出てきたのか。そこも気にはなるけど。

 あそこで見つかった桶の数と遺体の数、合わないんだよね? しかも、遺体が入っていたものより新しい桶にも入っていないとか……。誰かガイコツ持っていった?

 

 

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