モンスターハンターライズ×ストーリーズ 作:新米ハンター
古龍。それは普通のモンスターと違い、自然災害が形を成した物だと思えば伝わるだろうか?正確な目撃例は少なく、その理由の1つに遭遇した場合の死亡率が非常に高いことが挙げられる。
基本的なモンスターは生物の進化の延長線であり、自然の生態系の1つだ。だからこそ、モンスターを狩り、その恩恵を受けるハンターなどの人々は乱獲により生態系の破綻を防ぐためにも、ハンターズギルドがしっかりと管理する生態系やモンスターの生息数のバランスなどを管理しているのだ。だが、古龍は別である。一般的に知られたモンスターと違い、適切な距離を保っての共存は先ず不可能。現れた土地では大規模な火山災害のように焼け野原に成ってしまったり、木々や大地さえ削る暴風によって全てが凪払われることになってしまったり、絶対零度の冷気によって全ての命が凍らされたりと様々だ。とは言え、ドンドルマやギルデガランなどの大きな街では事前に古龍の襲来を察知して、腕利きのハンターに討伐や撃退を要請することも出来る。しかし、小さな農村では駐在のハンターも不在なことが多く…ハンター達の中ではザコモンスターとも呼べるドスランポスやドスジャグラス…その子分であるランポス達でも家畜が殺されたりと、行方不明者が出たりする。そして、腕利きのハンター達が数日頑張って漸く捕獲や討伐出来るリオレウスやディアブロスが小さな農村にやってきたらそれこそ農村が崩壊してしまうような大惨事が起きてしまうのだ。
ただの興味本位だった。その子供が村の外にある森に無断で入り、大きな大木の上にある飛竜種の巣にやってきてモンスターの卵を見ようと思ったのは。だが、それが間違いだった。
「あわわわ…」
その子供は歳は12歳程だろうか?まだ小さく、これからも遊びたい年頃だった。しかし、小さな農村では人手不足のこともあり、歳が近い子供は他に居なかった。
大木の巣から森を見回せば、前方に広がる筈の豊かな森は真っ赤に燃えていき…恐ろしい速度で炎は子供が暮らしている小さな農村に迫りつつある。急いで農村に知らせようとしたが…熱波が顔にかかり、熱さで眼を一瞬瞑ってしまう。急いで眼を開けると…
「ガァァァゴォォォ!!」
ライオンのような顔を持つ赤いモンスター。一般人には知られることはない伝説の古龍の1つ、テオ・テスカトルがやって来たのだ。テオ・テスカトルは巣にあった卵を1つ潰す、もう片方をぐしゃと潰して食べる…孵化寸前だっのだろうか?卵からは鱗が生える前の素肌が見えている飛竜の赤ちゃんがビクビクと痙攣して動かなくなった。
残る卵は純白の卵が1つだけ残されており、その卵さえもテオ・テスカトルは潰そうとする。だが、その瞬間…
「やめろぉぉお!!」
子供は卵を守るように、多い被った。子供もどうしてこんなことをしたのだろうか?と思ってしまった。テオ・テスカトルが卵を食べている間に、逃げて農村の皆に危険を知らせるべきだと思っていた。
あっ、ここでテオ・テスカトルに食べられて死ぬんだ。死ななくても遺体すら残されずに燃やし尽くされる。そう思っていたが、いつまでも経っても熱さや衝撃はやってこない。恐る恐る、後ろを振り向くと…
白く輝くリオレウスが子供と卵を守るように立っており、白いリオレウスの視線の先では頭部の角を折られて倒れるテオ・テスカトルが居たのだ。
「………」
白いリオレウスは子供に、ここから動くなよ?と視線で合図するように振り向き、直ぐにテオ・テスカトルに視線を移す。だが、古龍は古の程度では死なない不死の生物。テオ・テスカトルは立ち上がり、飛び上がって白いリオレウスに襲いかかる。白いリオレウスは避けることが出来ない、避ければ子供と最後の卵は跡形もなく潰れてしまう。
「ギャァァアオオ!!」
「グゥゥギャ!?」
白いリオレウスはカウンターを行うように、テオ・テスカトルの動きに合わせて、突進してきたテオ・テスカトルを吹き飛ばし、テオ・テスカトルは空に逃げる。空に逃げたテオ・テスカトルは身体を丸めて…辺り一面に爆発性の粉塵が舞う…この粉塵と体内のエネルギーを爆発させて、ここら辺一帯を消し飛ばす、テオ・テスカトルの必殺技であるスーパーノヴァである。放たれれば、子供と卵はもちろんのこと、農村は跡形もなく消し飛ぶ。
白いリオレウスにとっては農村は別にどうでも良い。強いて言うなら自分達の縄張りの近くに集団で暮らしている、二足歩行の生き物の群れ程度にしか思っていない。だが、最後の卵、そしてその卵を守ってくれた二足歩行の子供を死なせる訳にはいかない。
白いリオレウスの口から青い炎と光が混ざったエネルギーが漏れだす。エネルギーと炎はどんどん熱量を上げていき、テオ・テスカトルに向けて口を開ける。その瞬間、閃光と共に白いリオレウスの口から最大までエネルギーの溜まったブレスが解き放たれ…そのブレスは一撃で…不死の存在であるテオ・テスカトルの生命活動を停止させる程の爆発を引き起こし、テオ・テスカトルは動かなくなり…燃え尽きた大地に落下した。
本来、テオ・テスカトルに炎は効かない。だが、この白いリオレウスは本来の炎属性だけでなく…光属性と呼ばれる唯一無二の炎と雷が混ざった攻撃を行うことが可能であり、その事もあってかテオ・テスカトルにダメージを与えることが出来たのだ。
「えっ?」
そのとき、最後の卵に皹が入り…眩い光と共に…一匹のリオレウスが誕生した。幼体ということもあり、子供と変わらぬ大きさなのリオレウスだ。しかし、他の幼体と異なり、最初から鱗が全て生えており…空も少しなら飛べるようだ。
「ピー!」
そのリオレウスの誕生を見届けた白いリオレウスは、優しそうに子供とリオレウスを見下ろし…寿命か、それともテオ・テスカトルを倒すのに全ての力を使い果たしたのか、その場に力無く倒れてしまい…心臓の鼓動が停まった。
「ピー」
本来、モンスターと人間は相容れない。しかし、そのリオレウスは子供には心を開いたのか、側から離れようとしない。
それにテオ・テスカトルが死んだこともあり、先程までの火災は嘘のように炎は消えており、仕方なく…子供はリオレウスの幼体を農村に連れ帰ることにした。
(別に…家族は居ないし、いっか)
子供に家族は居ない。父親は畑仕事の最中に、ドスランポスに殺された。なに、ハンターが居ない村では良くあることだ。母親は天然痘という伝染病で亡くなり、子供は農村では村八分という扱いだ。だから、今さらリオレウスの幼体を連れ帰っても今更だった。
数日後。
「ギルドから来ました。筆頭ハンターのジュリアスです」
「同じくナディアよ」
古龍が襲来寸前だったこともあり、農村には調査も兼ねてギルドから2人のハンターが派遣された。1人は金髪の偉丈夫であり双剣を扱うジュリアスという青年、もう1人は褐色肌でライトボウガンを扱う女性のナディアであった。
2人の筆頭ハンターは村長や村人と会話を行い、古龍の調査を行った。だが、調べてみると…農村の近くで炎属性に近い攻撃で死んだテオ・テスカトル、大樹の上ではぐちゃぐちゃに潰されたレウス種の孵化寸前の赤子、そして安らかに眠る白いリオレウスだった。
「ジュリアス…これ、本当にリオレウスかしら?希少種じゃない」
「いや、これは希少種ではない。ギルドに解剖して貰えば、わかるかもな。まさかと思うが…文献だけに伝わる絶滅種ゼルレウスか?」
何年もハンター生活を行うエリートである筆頭ハンターでさえ、白いリオレウスの正体は分からない。
再び村に戻ると、村の角でリオレウスの幼体に生肉を与える子供が居たのだ。
「珍しいな。ライダーでもない子供に、モンスターが心を開くとはな」
「そうね。でも、どうして村人達はあの子に話しかけないのかしら?完全に無視してるわね」
リオレウスの幼体と子供のやり取りを見守っていた筆頭ハンターのジュリアスとナディアであったが、その子供とリオレウスに話しかける。
「失礼。少し、話を良いかな?私はジュリアスだ。良く懐いてるね、そのリオレウス」
「うん。数日前、森で卵を見付けたんだ。赤い良く分からない森を燃やすモンスターから、俺たちを守った白いリオレウスが遺した物だから」
「その話し、詳しく聞かせてくれ」
子供はジュリアスとナディアに、このリオレウスを拾ったことを話した。興味本位で森に入ったこと、既に村八分になっており、誰も停めなかったこと、大樹のてっぺんまで登り、そこでリオレウスの卵を見つけたことと、火災が迫ってたこと、テオ・テスカトルに襲われたこと、白いリオレウスに助けられたこと。
「ふむ…ありがとう。ならば、この村から出ないかい?孵化した直後とはいえ、モンスターが心を許すとは凄いことだ。
それに親である白いリオレウスさえも君を守った。これは有り得ないことだ、本来ならね。君は…ライダーの素質が有るのかも知れない」
「ライダー?」
「ライダーとはモンスターと絆を結んだ人間のことだ。私も最近知ったんだがね。今ではライダーの子供達の活躍もあり、集落から出てハンターのように活躍するライダー達も増えてきている。君達が良ければ、ギルドまで案内しよう…ライダーになるためにライダーの集落に行くための手続きをしてくれる筈だ」
元々、この農村からは村八分にされていた。その上、リオレウスの赤子といれば何時の日かは村人から危害を加えられる恐れもある。
だったら、ジュリアスからの誘いを受けて正式にライダーになって、合法的にリオレウスと居れるようにすれば良いのだ。
「行くよ。元々、俺…母さんが病気で死んでから村に居場所ないし」
「決まりだな、早速行こう。勿論、君もな」
「ギャウ!」
それから時は流れて4年後。
カムラの里。ここは数十年に1度の周期で百竜夜行と呼ばれる、数多のモンスターの群れに集落が襲われる災害が起こる場所であり、その里長であるフゲンという元凄腕のハンターはギルデカランからの手紙を読んでいた。
「里長フゲン殿、カムラの里のギルドマスターであるゴコク殿。ギルドより、1人のライダーとオトモンである若きリオレウスを派遣する……追伸 手紙を読み終えた頃に来るかも知れないよ。ふむ。ライダーか」
カムラの里は百竜夜行のこともあり、住民全員に特例でモンスターと戦うための武具の所有が許可されており、更に一定ランク以上のハンターの資格を持つ者と一緒なら、ハンターの資格の無い者でもモンスターの狩猟が許可されている特別な場所でもある。
「賑やかになるな!」
ギルドで活躍するライダーはまだ少数であり、ライダーを受け入れる村はまだ少ないだろう。しかし、ここカムラの里は違って大歓迎であった。
と言うのも、カムラの里の人々は他のギルドや集落ではあまり広まっていないガルクと呼ばれる大型犬のようなモンスターをオトモンとして共存しており、言うならほぼ全員が有る意味ライダーとも言える。なんなら里の長老とも言えるギルドマスターのゴコクなんてテツカブラの幼体を手懐けており、若いライダーとリオレウスが増えた所で賑やかになる程度だ。
「里長」
「そろそろです」
と、フゲンの前に若い竜人の美女の双子がやって来た。姉の方が里クエ担当のヒノエ、妹が集会所クエ担当のミノトである。
「うむ。さてと、アレだな…ハッハハハ!!本当に手紙を読んで直ぐに来るとはな!!」
空から白い鞍を着けた赤い飛竜リオレウスが此方に向かって飛んでくる。リオレウスの背には10代半ば程の少年が跨がっており、少年の左手にはライダー特有の絆石が装備されていた。
「ギャァァア!!」
リオレウスが咆哮を上げて高度を下げていく。カムラの里で円を描くように高度を下げて、リオレウスはフゲン達の前に降り立った。リオレウスの大きさは4年の歳月もあり、野生化での個体のミニチュア金ぐらいの大きさまで成長しており、かつての子供も10代半ばの少年まで大きくなっていた。顔立ちは女の子ともとれる中性的な顔立ちだが、多くの冒険を重ねたのだろうか?自信が顔についている。
少年はリオレウスから降りて…フゲンとヒノエ、ミノトを見てから自己紹介を始める。
「はじめまして。ギルドから来ました、ライダーのホムラです。此方はオトモンのレウスです」
「グゥォン」
かつての子供…ライダーの名前はホムラ。白いリオレウスの子供であるオトモンのリオレウス レウスと共に、このカムラの里にやって来たのだ。
「良く来た!ここを故郷のように思ってくれて構わない!
オトモンはレウスだけか?レウスだけなら、大丈夫だが…これからオトモンが増えると考えると…厩舎も新たに作らないとな!それは此方で用意するから安心しなさい!」
フゲンは優しく、豪快にホムラの背中を叩き、レウスの頭を撫でる。
「マイハウスは…そうだな。よし、アソコにするか。アイツも弟分が増えて喜ぶだろう」
案内されたマイハウスには…
「ヤマト!喜べ、お前さんに家族が増えるぞ!!」
「はぁい!?爺さん、なに言って……てっ!?リオレウス!?」
後に猛き炎と呼ばれるカムラの里出身カムラの里育ちの青年ハンターが亡き両親から受け継いだ家に暮らしていた。
猛き炎は全部の武器使えます。ウツシ教官の弟子だから、当たり前だね!!
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