Fate/red judgement 作:アルフォート派
いつか世界を
それは
燃えるものもなく、虚空に炎を出す、など、
「
・・・少年は、それを操る
それも、ただの魔術師ではない。
ほら、今も華麗にトランプを切り、その
「んじゃまあ、とりあえず好きなトランプを一枚、選んでくれ」
「じゃあ・・・これ!」
俺は、近所の小学生相手にマジックを披露していた。
「・・・何してるの?」
背中から聞き慣れた声が聞こえる。
「何って、マジックだよ、マジック。
見ればわかるだろう?」
「詐欺に改名しなさい」
・・・まあ、そうといえばそうなのだろう。
この
「はは、耳が痛い。
さて、選んだカードは覚えたかな?」
「うん!」
とにこやかな笑顔で答える少年(7)と真っ黒い笑顔でそれに答える少年(16)。
・・・7歳の少年は、そのトランプが自分で選んだもの、と思っているのだろう。
もっとも、それはご覧の通り、♧の7しかないトランプなのだが。
これはまあ、最初に見せて、即座にすり替えた普通のトランプが効いているのだろう。うん。
・・・だが、なんともまあ・・・
背中が!痛い!
とんでもなくチクチクとした視線が背中にぶっ刺さってくる。
許せよ少年。
いつか君以外も
許してくださいお
「・・・と、まあ、こんな感じになるわけで・・・」
「えー!すご〜〜〜い!!」
少年は純然無垢な笑顔で俺を褒め称える。
そのたびに、
どうしよう。このままじゃ俺、本当に死んでしまうぞ・・・?
「さ、もう暗いから気をつけて家に帰りな、
おっと、これはプレゼントだ」
と、手作りの赤猫のミニぬいぐるみを手渡し、
去っていく少年を見送った後。
「・・・それで、
「・・・先程の詐欺まがいのマジックでしょうか・・・?」
「いいえ?あれはあの子が笑顔だったので不問にします。
腹が立った、といえばそうですが。
「・・・じゃあ、勝手にバニラアイスを食べたことでしょうか・・・?」
あっ、殺気が増えた。余罪を増やしてしまったようだ。
「私が怒っているのは、今が何時だと思っているんだ、ということです。」
「へ・・・?」
眼の前の少女は、パッと自分のスマホを少年に掲げてみせた。
そこには、6:24と書かれている。
「・・・あれ?」
「何時だと思っていたの?」
「マダ4:00クライカト」
「さて、それでは今はなんの時間でしょうか?」
「晩御飯ノ時間デス」
「ええ。帰りましょう?」
と、
少年の服の、首根っこを掴んで帰ろうとする少女に。
その爆音は轟いた。
「・・・!?」
紛れもない爆発音。
そして、ガラガラと崩れ落ちていく家々の音だと、それを知っている彼らにはよくわかった。
「──────────ッ!」
その勢いのまま正面に右足を振り上げて走り出す。
あれは,先の少年の帰っていった方角からだ。
「悪い、ここで待っててくれ!」
と、少女に言い残し、
それは
燃えるものもなく、虚空に炎を出す、など、
「
「
虚空に炎。
薪も無しに空にわずかに浮くそれ
氷の結晶のようなもので覆われて、プカプカと
その、即席の爆弾を。
少年は両の足で踏み抜いて、爆発させる。
そう。少年は、魔術師だった。
「あなたは!どうするの!?」
半ば悲鳴のような少女の声に少年は、
「ちょっと人助けに行ってくる!」
と、家々の影に消えていった。
「っと、とと・・・」
あまりの急な加速を抑えきれず、転びかけつつも少年は目的の場所にたどり着いた。
崩れかけの工事現場で、酷い有様だったが、
なんとか、先程の少年が、倒れているのを確認する。
大丈夫だ、まだ胸が上下しているし、外傷もない。
「・・・無事だった、か───。」
少年が、その言葉を取りやめたのは、恐怖からだった。
そこは、凍りつくように静かだった。
いや。凍りついていた。
雪も霜もない。ましてや季節は5月の始め、まだ葉桜が残る季節だった。
・・・だと、いうのに時が止まったように、世界は凍りついていた。
その、視線の先の、骸骨の真っ白な
ゆっくりと、こちらを見やった。
ゾワッと、全身を羽虫がこすりながら通り過ぎて行くような、
気持ち悪さと恐怖を覚える。
殺気だ。
そう判断するのに、時間はかからなかった。
・・・いや。今は違う。
そんな事を考えている暇はない。
今、やるべきことは───
動かない両足に構いもせず、思いっきり右手を伸ばし、
眼の前の倒れ込んだ子どもを後ろに引きずり込む。
と、瞬間。
その骸骨の声もまた、引きずり込まれてきた。
「少年。」
「──────!?」
「・・・そう構えずとも
「今生の最後くらい、ってことは──────」
やっぱり殺すんだな、と目線で問いかける。
・・・そうとなれば、と腰のベルトに金具で取り付けた
その中の、紺色に、金で装飾した衣服を、バサリと上着のように
今度は同じ色のシルクハットを身に
・・・怪盗呼ばわりされても文句は言えない格好である。
・・・それでも、これが少年の魔術師としての、そしてマジシャンとしての正装だった。
その、相手の戦闘準備をただただ待っていた鎧は、
・・・そう。現代で例えるのなら、
やりたくもない仕事を押し付けられたサラリーマンのような────
「優しいんだな、アンタ。
敵の準備をわざわざ待つなんて────」
「おう。もちろんだとも。
死に
「────なるほど。」
「・・・ときに少年。
君に願いはあるか?」
「そうだな、今はこいつをどうやって逃がすか、だが────」
と、親指で背中の少年を指差すと、鎧の男は苦笑して、
「違う、もっと、大義や、いずれ絶対に
と言った。
・・・首を
「どうした、無いのか、それとも────」
「・・・いや。あんまり言ってることがおかしくてさ。
なら、目指すべきものは同じなはずだ。」
と、今度は俺が笑っていった。
「魔術ってのは、ありえないことを起こすものだろう?
それで、ありえないってことを極めていけば、いつか『絶対に』ありえないことにたどり着く。
そして、この世界で一番ありえないことは、
すべての『ありえないこと』を『ありえること』にする
・・・それを使えるくらいの魔術師になって、いつか、俺は。
────世界を、救ってみせる。」
「世界を?」
「・・・ああ、世界中の人を笑顔にしたい。
それが俺の夢だ。」
「ハハ、なるほど、そうか・・・」
・・・なるほど、それは。
随分と青臭い理想だ。
随分とくだらない夢だ。
それでも。
それでも、男は。
高笑いをする他に、なかった。
「ハハハハハ!ハハハハハハハ!
見事だ少年、今!お前は!
この世界に笑顔を一つ増やしたぞ!
いやはや、そうだ、そうさな、
ガハハハ、と天に笑う
やがて生気に満ち
顔を
「そのうえで一つ教えよう、少年!
お前の語った、一番の奇跡には
この世界で、一番の奇跡が、
すべての『ありえないこと』を『ありえること』にする
すべての『ありえること』を『ありえないこと』にする
最もありえぬことに成るからだ────!」
瞬間。
地面が無くなった。
「な────!?」
否。置き
無限の、荒野に。
「
『
一瞬の落ちる感覚の後、ふわりと荒れ果てた地平の見える荒野に移動する。
・・・いや、これは────
「魔術?」
「
世界、という『当たり前』をルールの違う、別の世界に置き換える魔術だ。」
「・・・なるほど、ようは────」
鎧の男が、大きく天に右手を振り上げると、
わらわらと、地面から、無数の骸骨が溢れ出てきた。
「自分のためだけの世界を作れる魔術、ってことだな────!」
「その通り!
と、少年────
・・・恐らく、君の求めるものは、『ありえないこと』を『ありえること』にする魔術ではない。
もっと大きなものだ。
かく言う
君も。
未来も。
過ぎ去ってしまった過去ですら、その一部だ。
そう!全てだ、全て。
────それを。魔術世界では、
「・・・根源の、渦────」
「そうだ。────そして、喜べ少年。君の願いはようやく叶う。」
「え?」
「『
紅い血のような閃光が、視界の全てを焼き焦がした。
「な!?」
一瞬。一瞬のことだが、それは
「
だが、何も守れずに終わりになんてできない。
かつて、焼け焦げた家の中から、自分を助けてくれた魔術師に誓って。
少年の、この魔術の効果は
それで、とっさに後ろの子どもを紅い死から遠ざける。
が。それまで。
まもなく
・・・反射的に腕を十字にクロスさせ、顔をかばう。
意味はない。
が────
今度は、少年の左の手の甲から、
直後、紅は黄金に変わる。
九つの首を持つ大蛇となって、迫る死を食い破った。
いや。それだけではない。
一直線の放射状に放たれた黄金は、廃れた
やがて、バキリ、と終わりの音が鳴って、
少年たちは、元の世界に戻された。
(今のは────!?)
「ぬ?
どういうことだ、
男は、それに心当たりがあるようだったが、それとは別の点に疑問を口にしているようだった。
(────キャスター)
「・・・!?」
何か、くぐもった声のようなものが聞こえたような気がした。
(
・・・その、命令と
大きくため息をつくと、静かに構えを取り直した。
「すまんな少年。
君が────いや君たちが生き残るには、今一度、その価値を示す必要があるようだ。」
再び、虫が全身を這いずり回るような殺気。
それを、一心に浴びながら、少年は、
「────
と、恐怖を振り払うような笑顔でそう言った。
それを合図に、
キャスターは剣を振り上げ、
少年は、
「
魔術を唱える。
両者の激突、それを待つことはなく。
戦いは、終わりを迎えた。
「───
思わず振り向く。
聞き慣れた声、それに思いがけず反応してしまった。
そして、それは。
この男の前では、あまりに
右に向いた視線をもとに戻せば、かがみ込んだキャスターが、逆袈裟に切り上げる瞬間だった。
少年は躱せない、がために反応したのは声の主。
思いっきり突き飛ばされて、なんとか振られる刃の範囲からは出る。
「───
少女は刃からは逃れられない。
もうキャスターは、引き絞った弓のごとく、その両刃を構えている。
・・・足元に
少年は、少女をかばえない。
自分が振り向いたのも。
キャスターの固有結界の中で、自分のいた場所がズレて、元の公園の中に戻ってきてしまったことも。
そこに少女が言いつけどおり、待機していたことも。
全て、間が悪かったとしか言いようがない。
「──────野郎・・・!」
何もできずに少年は、少女の胴体が泣き別れするのを見ているしかなかった。
──────はずだった。
もう一度、紅い閃光が大地を覆い尽くす。
今度はもっと強く。
キャスターは弾き飛ばされ、10mほど後退、そこでガリガリと剣を地面に突き立てて、
ようやくその勢いを止めた。
「さて、問おうかニャ、
光の中から現れた赤猫は、堂々とその銀の剣を振りかざし、
少年のそれとよく似た、赤の色違いの服装で立っていた。
それを、少年は少々離れた所から見ていた。
・・・無論、セイバーは少年の方向を向いていない。
先ほどキャスターの斬撃を受けそうになった人物から見て、彼の召喚主は明らかだ。
土ぼこりが晴れていくと、その中からは
「あれ?」
赤猫は、
今度は、少年の方を見て、また「あれ?」と首を
・・・同じく呆気にとられた様子のキャスターが、少年にこう告げた。
「すまない少年。君の願いは、叶わないかもしれない。」
「なーんーでーニャー!?」
と、赤猫の悲鳴のような声が、もう太陽のない空に
何やら思ったよりカオスになった第一話。
魔術、というのは精一杯調べたことによると、
恐らく人為的にありえないこと(=奇跡)を発生させることのようで、
それのレベルを上げていくことで根源にたどり着くのが、
魔術師の目標なのかなー、と考えました。
とは言っても根源とは恐らくレベル∞。
一、中、百、千・・・と上げていってもたどり着くのは無量大数、
∞にはたどり着けません。
それに緋狼くんはどうやってたどり着くのかなー、と
応援しながら見ていただけると幸いです。
さて、それじゃあ緋狼くんについての解説をしていきますね、
かなりふざけてるので、閲覧にはご注意を。
古海 緋狼
ド級のキラキラネームとともに爆誕した爆弾男。
一応今作の主人公の片割れ、なのだが、
もう片方がセイバー召喚して終わったので
ほぼこいつ一人で話を進めている。
次回辺りからは、こいつの視点で進むことは少なくなるが、
内面が
・理解しづらい
・物語の核心に触れている
ので、ほぼ描写できない悲しき男。
一応、とある大英雄を召喚するのが確約されているのだが、
彼が来るのはいつになるのか、そういう意味でも悲しき男。
ビジュアルはほぼ頭身の低い怪盗◯ッドの色違い・・・
なのだが、どうしてこうなった・・・と作者も頭を抱えていたら、
どうやら元ネタの元ネタだった事が判明。
つまり孫。認知しろ。
と、かなりの問題発言をかました上で、
真面目に言うと、魔術師=マジシャンじゃん!
という一発ネタで生み出されたやはり悲しき男。
しかし、作者個人としては一番大好きなキャラだったりする。
どうやらアンリミテッドなブレイドをワークスする人に、
過去に助けられたらしいが、
それはまた今度。ではさらば。