W-B-X キヴォトスに吹く風と運命の切り札   作:蘇る覇王

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ここまでのBeginsNightは…
鳴海荘吉と共に研究施設に忍び込む左翔太郎は、囚われた運命の子、フィリップを救出する事となる。
その途中で警報が鳴り響き、浮遊する怪物とマスク怪人達が2人を探す。
壮吉は、翔太郎に待機を命じ、敵の目の前に姿を表す。
そしてロストドライバーとSkullメモリで、仮面ライダーSkullに変身し、敵を次々と蹴散らしていく。
命令され待機していた翔太郎だったが、運命の子を見つけ、1人前に認めて貰いたく命令を破り追いかけてしまう。
そのせいで、フィリップは転送され、依頼が困難になってしまう。
それでも何とか救出し、脱出を試みるが…
背後から撃たれた凶弾によって壮吉は倒れる。
死を悟った壮吉は、翔太郎に白いソフト帽を被せ、息を引き取る。
悲しむ間もなく、空飛ぶ怪物が現れ、壮吉を奈落の底へ落とす。
怪物とヘリの猛攻に追い詰められ絶体絶命。
その時、ジュラルミンケースの中にあったドライバーを見せてフィリップが問う。
「悪魔と相乗りする勇気… あるかな?」
仮面ライダーWに変身し、人間とは思えない異形の姿に。
困惑する中、建物が崩れ落ち、穴の底へ落下。
施設から脱出する為、恐竜型ガジェットFangの力を使い、FangJokerに変身。
しかし、フィリップはFangメモリの強烈な闘争衝動に駆られてしまうのだった…


Begins Night(後編)

…ここからは、僕が記していこうと思う。

この変身形態は、仮面ライダーW FangJoker。

本来のWは左翔太郎の身体をベースに変身するものだ。

しかしこの形態は、僕の身体をベースとしている。

今でこそ、この変身も難なくこなせるようになった。

だが当時は、Fangの闘争本能に完全に支配されていた。

僕を守ろうとする強すぎる防衛本能が、己の闘争本能をも暴走させてしまうのだ。

だからこそ、初めてFangJokerに変身したあの日の事を、今でも鮮明に思い返す。

叫び声を上げながら、次から次へと現れるマスカレイド・ドーパント達を切り裂いていく。

変身の余波で気絶した翔太郎を横目に、僕はただ獣のように暴れ続けた。

建物の崩落と爆発の混乱に乗じ、翔太郎を担いで施設から脱出するまでの間。

その間の記憶は、僕の中でハッキリとはしていない。

気がついた時には変身は解除され、僕らは鳴海探偵事務所のガレージに倒れ込んでいたのだから。

 

そして最後に、僕らが決して忘れ去らない様に、これも書き記しておこう。

鳴海荘吉が凶弾に倒れる前。

僕が鳴海荘吉と交わした最後の会話の記録を。

 

彼と対話したのは、僕の脳内にある「星の本棚」での事だった。

何故彼が星の本棚に干渉できたのかは、今でも不可解な点が多い。

分かっているのは、彼が変身に用いるSkullメモリの力によるものだという事だけだ。

だから当時の僕も、流石に驚きを隠せなかった。

そんな僕をお構い無しに、鳴海荘吉はこちらへ近づき声をかけてきた。

壮吉「お前は今まで1つでも自分で決めて何かをした事はあるか?」

僕は首を振って否定した。

壮吉「じゃあ今日が最初だ。」

「自分自身の決断でこの暗闇の牢獄を出ろ。」

「そして自由になってから… お前の罪を数えろ。」

彼はそう淡々と言い放った。

怒りや叱責でもなく、かと言って褒めるような明るいトーンでもない。

ただ、鳴海荘吉の渋く重い声が、僕の胸に深く突き刺さってきた。

「僕の罪…?」

その瞬間、先程の翔太郎の姿がフラッシュバックした。

彼に掴みかかられた時の、あの悲痛な叫びが。

「お前達の作ったメモリのせいで…」

「この街がどんだけ泣いてるか分かってるのか!!」

僕が何も決断せず流されていたから、組織に利用され、メモリを大量に作ってしまった?

僕が決断しなかったから、そのメモリがこの街を泣かせる事態を生んだ?

…そこで初めて気が付いたんだ。

自分が決断を放棄していた事で、これほど多くの悲しみを生んでいた事に。

翔太郎の叫んでいた言葉の重みも、この時ようやく理解できた。

そんな僕の顔を見て、鳴海荘吉は静かに問う。

壮吉「お前さん名前は?」

だが、当時の僕には名前がなかった。

組織に利用されるただの「モルモット」という呼称が、精々お似合いだろうか。

壮吉「じゃあこう呼ぼう… フィリップ。」

「フィリップ…?」

壮吉「フィリップ・マーロウ、俺の大好きな男の中の男の名前さ。」

「奴は… 自分の決断で全てを解決する。」

この日、僕は新しく生まれ変わったのだと思う。

鳴海荘吉から名前を与えられ、僕に足りなかった「決断する事」の重さを教えてもらった。

だからこそあの時…

「悪魔と相乗りする勇気… あるかな?」

あの瞬間、自らの決断を迷わなかったのかも知れない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ページはここで終わっている。

気がつけば、周りのメンバーから笑顔は消えていた。

2人が背負った罪は、とても消えるものではない。

これからも彼等は罪を償い続けるのかしら…




だいぶさっぱりとした終わり方ではありますが、ひとまずBeginsNightはこれにて終了となります。
多分小説版等読めばもうちょっと深堀り出来たとは思うのですが、私自身が見ていないので憶測で書くのは止めようとなりました。
故に、Movie対戦2010と風都探偵Skullの肖像で描かれたBeginsNightを足して割った内容とさせて頂きました。
では、また次回。



































とある男は、今日も珈琲豆を煎る。
いつものマスターから仕入れた豆をただ真剣に煎り続ける。
???「おはようございます、先生。 また焦げてますよ。」
だが、彼は豆を煎るのがとことん下手くそで、今日も豆を泣かせてしまう。
あまりの惨劇に、彼女は彼に呆れた顔をして語る。
???「いい加減、私の珈琲を煎るデータを使いませんか?」
彼女からの提案。
普通なら、ありがとう等の感謝が当然だろう。
だが彼はそれを容易く否定する。
「断る。 珈琲はお前と出会う前からの人生の相棒だからな。」
指図は受けないとハッキリ断りながら、珈琲豆だった物をゴミ箱へと葬る。
その瞬間、突然彼は頭を押さえ始めた。
(今の会話を何処かでしたような…)
(あれは何処だ? 誰だ? …確か男だったか?)
???「もう、意地張らないで。 僕が調べ上げたこの資料を読んで作ってみれば? 一発ですから。」
アイツは… 誰だ…
???「…生、先生!! 大丈夫ですか!!」
「…あぁ、大丈夫だ。 ありがとなArona。」
彼のこの物語が、彼等の物語と繋がるのは…
そう遠くない未来かも知れない…

活動報告に13話に出てきた人達を乗せたのですがどうでしょう?

  • 良い
  • 後書きのページに書いてくれた方が楽
  • 解説用のページに書いてくれた方が楽
  • 解説要らない(自分で調べる人もこちら)
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