| ソルサンクトゥム(競走馬) | け |
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世界全てが我が領域だ
ソルサンクトゥムとは、2015年生まれの競走馬。牡馬・種牡馬。2018年クラシック世代を代表する馬であり、岳隆に三冠ジョッキーの栄誉をもたらした「聖帝」。
馬名は「太陽+聖域」から。
11戦11勝
主な勝ち鞍
2017年:デイリー杯2歳S(GⅡ)
2018年:牡馬クラシック三冠[皐月賞(GⅠ)、日本ダービー(GⅠ)、菊花賞(GⅠ)]、ジャパンカップ(GⅠ)セントライト記念(GⅡ)
2019年:ドバイシーマクラシック(GⅠ)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(GⅠ)、インターナショナルステークス(GⅠ)、英チャンピオンステークス(GⅠ)
2018年最優秀3歳牡馬、年度代表馬
2019年カルティエ賞最優秀古馬、年度代表馬
■誕生と期待
2015年2月27日に誕生。父はハレヒノカイザー、母はラインクラフト母父エンドスウィープという血統。ハレヒノカイザーは日本競馬界を照らした「太陽の皇帝」、母は短距離とマイルで結果を残した電撃戦の女王。中々の良血だ。ちなみに2番仔であり、1番仔はすでに現役を引退。重賞は未勝利だった。
父のハレヒノカイザーはコンスタントに結果を残す種牡馬であり、リーディングサイアーにはなっていないもののディープがヤバすぎるだけかもしれんが、走ることが予想されていた。
海外ではすでにカイザー産駒であるイギリスのヴァンキッシュウォリアーやアメリカのロードライトガーネットが活躍。日本もこれに続け!とド派手な戦績を残す馬が期待されていた相変わらず人の業!に巻き込まれるカイザーである。
当歳馬の頃から非凡な才能を見せており、コイツは走るぞとスタッフも太鼓判。セレクトセールでも1億2000万で春陽誠一が落札。ハレヒノカイザーのオーナーだった春陽幸光の息子であり、彼もまたこの業界に参入した。
調教師は世界の八萩こと八萩厩舎。「少しばかり(?)我の強いところが目立つが能力は本物、いずれは海外で走らせたい」と八萩は語っていた。なお、少しと言ってるがお世話をしている厩務員に蹴りを入れるのを少しに含めていいのかは微妙なところである(ケガはしてないみたいだけど)。
気性は中々に荒いものの、素直に聞くときは聞く。利口な面も目立っていた。
■大注目のデビュー戦、後のライバル?
ラインクラフトの2015はソルサンクトゥムと名付けられ、八萩厩舎で調教が進められるが……ソルサンクトゥム、なんとゲート試験に2度落ちている。
その理由は単純。超がつくほどスタートがへたくそだったからだ。お前舎代にいる親父にスタートの仕方習ってこい。
利口なところはあるのに、なぜかスタートだけはへたくそなソルサンクトゥム。結局最後の最後までゲート難が治ることはなかった。
3度目の試験でようやく合格。すでに前途多難な道のりにも思えたが、8月13日に1番人気で出走した新潟競馬場の新馬戦を快勝。後方から一気に撫で切る豪快な差し切り勝ちを見せた。
このレースでしっかりと父親のスピードを持ち合わせていることを認識。続くレースに11月のデイリー杯を選択。2着のジャンダルムに3馬身差をつけての勝利を飾り、早くも重賞を勝ち取ったただしスタートはへたくそ。
2走の内容が完勝に近く、また余裕を持った勝利であることから次走にホープフルステークスを選択。出走が予定されていたが……直前に熱発。ホープフルステークスは出走取り消しとなった。朝日杯出走できなかったハレヒノカイザーといい、2歳シーズンに縁がないのかもしれない。
気を取り直して年が明けてのシンザン記念に出走。ここには後の9冠馬アーモンドアイが出走していた。早くもここで因縁の対決が始まるのである向こうが勝手に因縁つけてるだけというのはNG。
レースは1番人気にソルサンクトゥム、2番人気のアーモンドアイと二強対決の様相。結果は、ソルサンクトゥムがアーモンドアイをクビ差で下して勝利した。
ただ、鞭を使っていないソルサンクトゥムと鞭を使っていたアーモンドアイ。これをどう捉えるかは想像にお任せする。
3戦3勝でクラシックに乗り込むソルサンクトゥム。すでに「クラシックの一つは固い」と言われるほど期待をかけられていた。
■圧倒的強さで戴冠!これが最強の三冠馬!
迎えた皐月賞。ダントツの1番人気で迎えたソルサンクトゥムだが、ま~出遅れ癖が酷い。当たり前のように出遅れる姿にファンはもはや安心感すら覚えていたマジでお前親父からスタートの仕方を習ってこい。
道中を11番手で追走する後方策。最後の直線を向いた段階ではまだ8番手付近にいたが、他馬よりも1秒早い上がりを記録して大外からぶち抜いた。上がり3ハロンのタイム33.8秒と文句なしの最速である。2着のエポカドーロに3馬身差をつけていた。
エポカドーロに騎乗していた戸咲曰く、「気づいたら横に並んでてそのまま抜き去られた」とのこと。いかにソルサンクトゥムが速いかがよく分かる。
まずは一冠目。結果だけ見れば楽勝で皐月賞を戴冠した。
その後は少しの休養を挟んだ後日本ダービーに向けて調整。皐月賞のダメージは少なく、万全に整えた状態で日本ダービーへ。シンボリルドルフから続く4代ダービー制覇の偉業に向けて視界は良好。文句なしの仕上がりで本番に臨んだ。
東京競馬場は15万人の大観衆。単勝支持率69.2%という圧倒的1番人気で出走したソルサンクトゥムは、なんと出遅れしなかった←!?
道中5番手の好位置につけてレースを展開。じっくりと機会を窺い、掛かることもないまま最後の直線を迎える。
ここからはもうソルサンクトゥムの独擅場だった。
さぁここから来た!ここから来たぞソルサンクトゥム一気に先頭へ!ダノンプレミアムをあっという間に抜き去った!
ソルサンクトゥム先頭!ソルサンクトゥム先頭!並ぶものなし!並ぶものなし!独走独走圧倒的独走!これがソルサンクトゥム!太陽が再び、このダービーを支配する!
これがソルサンクトゥムだ!この聖域を侵すこと何人たりとも許さず!これが!ソルサンクトゥムだ圧倒的強さで無敗の二冠たっせぇぇぇい!
最後の直線でダノンプレミアムを早々に捕まえると、そのまま後続を突き放しての7馬身差勝利。文句なしの上がり最速を記録していた。できるなら最初からやってほしいものである。
これで二冠。残りは距離不安が残る長距離レース、菊花賞のみとなった。
日本ダービー後は放牧に出され、秋の初戦にセントライト記念を選択。これには願掛けの意味もあったそう(無敗の三冠馬であるシンボリルドルフが勝利しているため)。
当日は単勝1.2倍の1番人気でありその期待に応えるように快勝。シンボリルドルフ以来となる無敗の三冠に期待がかけられる内容となった。
菊花賞前最後の追い切りで抜群のパフォーマンスを発揮し、距離も問題なくこなせると八萩が発言。「もとより距離が長いほど強い」とまで豪語し、期待が込められていることが分かる。
前週にはアーモンドアイが牝馬三冠を達成。こちらも負けていられないと、より気合いを入れて臨んでいたそう。
迎えた菊花賞本番。1.1倍の1番人気に推される。4枠8番からの出走となった。
スタートは……出遅れ。また下手になってんじゃねーかお前えー!
後方待機策でレースを進めると道中は13番手でレースを展開。前を狙いつつ、外に持ち出す機会を虎視眈々と狙っていた。
ソルサンクトゥム、当たり前だがかなりのマークを受けていた。最大の武器である末脚を封じ込めるため、容易な抜け出しができないようにされていた。
だが、そんなものソルサンクトゥムには関係ない。第3コーナーで大外に持ち出し、包囲されないように外へ外へと駆けていく。結果的に先頭との差はかなり開いていくが、まるで問題ないとばかりに外へ持ち出していた。
最後の直線を向いた段階で先頭エタリオウらとの差は10馬身。もう無理だろ……と誰もが思っていたその時!
これはもう無理か?これはもう無理か!?さすがにこれは届かないかソルサンクトゥム!
エタリオウが真ん中突き抜ける、内からフィエールマン外からブラストワンピース!そしておぉ外ソルサンクトゥゥゥム!
ソルサンクトゥム来た、ソルサンクトゥム来た!大外から電撃一閃、ソルサンクトゥムが追い込んできた!瞬く間に差を詰めていく!
10馬身の差があってないようなもの!?これほどまでに強い、これほどまでに強くなければ三冠など取れない!
さぁ残り100mでエタリオウを捉えた!フィエールマンを躱す!これがソルサンクトゥムだ、これこそがソルサンクトゥム!
ソルサンクトゥムが勝ったルドルフ以来の無敗の三冠!これが新時代の幕開けソルサンクトゥムだぁぁぁ!
大外から剛脚でまとめて撫で切って上がってきた!他馬が止まって見えたと称されるほどのスピードを記録し、一頭、また一頭と躱していく。
残り100mで先頭を走るエタリオウとフィエールマンを捕まえると、そのまま抜き去ってゴールした。ルドルフ以来、実に34年ぶりの快挙を成し遂げた。
これには岳隆も「凄い馬ですよ、本当に」と褒めていた。相棒を称賛し、ご満悦そうに笑っている姿は写真に収められている。
無敗の三冠を達成したソルサンクトゥム。次走にジャパンカップを選んだ。
■ジャパンカップで二度目の対決
菊花賞とジャパンカップを同一年に制した馬はいない。シンボリルドルフもまた、カツラギエースの前に敗れ去ってしまった。
しかし八萩はそんなジンクス関係ねぇ!とばかりに出走を表明。これにより、三冠牝馬アーモンドアイと無敗の三冠馬ソルサンクトゥムの対戦が実現することになる。
それはもう大盛況だった。復調しつつあるサトノダイヤモンドと前年度ジャパンカップ優勝馬シュヴァルグランも出走を表明していた上に、時の三冠牝馬と三冠馬がマッチアップするなど夢のような光景だったからだ。
17万を超える大観衆が東京競馬場に足を運び、世紀の一戦をこの目で見ようと押しかける。グッズなども飛ぶように売れていたとか。
1番人気はソルサンクトゥム。今度こそジンクスを破ってくれる、シンボリルドルフの仇をとってくれ!と期待の声がかけられていた。
2番人気にアーモンドアイ。シンザン記念のリベンジを狙う陣営は、ソルサンクトゥムにだけは負けないと意気込んでいた。
迎えたレース本番。ソルサンクトゥムは後方待機策まーた出遅れた。後から2番目でレースを進める。
レースはキセキがペースを支配。アーモンドアイは前から2番目の好位置につけていた。
序盤は普通のペース。前半の1000mを59.9秒で通過と平均のペースだったが、ここからキセキは11秒台のラップタイムを連発。落ちることなくハイペースの逃げを敢行した。
アーモンドアイは、なんと手綱を持ったままでついていく。キセキの後ろをキープし続け、道中はずっと2番手の位置をキープしていた。
レースが動いたのは第3コーナー。早めの上がりで大外からソルサンクトゥムが上がっていく。いつものペースだと間に合わないと察したのだろう。15馬身は先にいる先頭集団へ追いつこうとペースを上げ始めた。
最後の直線を向いた段階でその差は10馬身あるかないか。残り400mでロメールの鞭が入りアーモンドアイは加速。とてもじゃないか届かない位置にいたソルサンクトゥムはここまでか!?と落胆する声が聞こえそうなほど。
しかし、観客が次の瞬間目撃したのは……大外をぶち抜いて上がってくるソルサンクトゥムである。
あっという間に差を詰める。あれほどあった差は気づけばあってないような差となり、残り200mの段階で半分も縮めていた。
アーモンドアイも必死に走る。しかしソルサンクトゥムの末脚は群を抜いており、アーモンドアイとの差をあっという間になくす。
最終的に残り100m地点でアーモンドアイを捕まえ、抜き去る。またも女王を置き去りにしジャパンカップを制した。
勝ちタイムは……2:20:5。父が記録したワールドレコードを更新する形での決着に、観客は沸いた。
アーモンドアイに騎乗したロメールは「これで負けたらどうしようもない。やっぱり凄い脚」とコメントを残している。そら(完璧なレースプランニングをしてたのに最終的にぶち抜くんだから)そう(なにもかも諦めたような表情になる)よ。
これにて菊花賞とジャパンカップを同一年で初めて制した競走馬として君臨。ルドルフも成しえなかったことを、ソルサンクトゥムは成し遂げたのだ。
その後は有馬記念で投票数1位を獲得していたものの、疲労が見えるとのことから出走は見送り。来年度に向けて放牧に出されることになった。
■国内に敵はいない、待っていろ海外馬!
年が明けて1月。八萩は今後のレースを発表する。
「海外戦に集中します」
日本での格付けは終わった。国内でソルサンクトゥムに勝てる馬はない!と豪語し、視線を海外に向ける。とりわけまだ日本馬が取れていないキングジョージに目を向けていた。
なお、この裏で闘志を燃やしていたアーモンドアイ陣営が勝ち逃げすんじゃねぇ!と声をあげていたとかいなかったとか。仕方ないね。
海外ではシュヴァルグランと一緒に遠征。この2頭は仲が良く、シュヴァルグランにはソルサンクトゥムも心を開いていたようだ。
海外初戦はドバイシーマクラシック。レイデオロがハナを切る展開にどよめきがあったものの、本馬は当たり前のように出遅れていたので関係ない。いい加減スタートを何とかしろお前は。
シュヴァルグランの後ろでレースを進め、第4コーナーで一気に外へ持ち出す。
直線を向けば後はもうソルサンクトゥムの独擅場だ。大外一気の末脚で前を走る馬を次々と躱し、最後にオールドペルシアンを残り200mで捕まえると置き去りに。2馬身差をつけての快勝をマークした。
後方からの豪快な競馬に観客は沸く。この段階ですでに海外の馬産家から目を向けられていたらしい。海外で種牡馬入りするオファーもあったのだとか最終的に日本で種牡馬になったけど。
海外戦次のレースはかねてより目標に定めていたキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス。なんだかんだ長距離もこなせてたしいけるやろ!みたいな感じで行くなお前な。
さてこのキングジョージ。開催されるアスコット競馬場はま~凄い形状をしている。というか欧州の競馬場は日本では考えられないような設計をしているので全部ヤバいのだが、このアスコットはその中でもかなり特徴的だ。
序盤はずっと下り坂。だが向こう正面を過ぎると全部上り坂というわけ分からんコース設計をしている。この辺はあちらの競馬事情と絡んでくるので説明は割愛。後なんかコースがおにぎりに似てる。
本番を迎えたレースでソルサンクトゥムは1番人気での出走。日本の無敗馬が欧州にやってくる!ということで大盛り上がりだったただしフランスてめーはダメだ。枠自体は大外枠だったものの、あまり関係ないのかもしれない。
相手となるのは女王エネイブルに世界ランク2位のクリスタルオーシャン。三強対決と目されていた。
もはや当たり前のように出遅れ、最後尾からのレースでスタート。下り坂ではあまりスピードを出さずに持ったままで追走。エネイブルの後ろで走っていた。
特に動きはなかった道中。最後の直線を向くと一気に動き始める。
女王エネイブルが後方から先頭へスパート。追従するようにソルサンクトゥムも上がっていった。
ただ、この日のアスコットは稍重馬場開催。タフなレースになると予想されていたが……その予想を裏切るように、ソルサンクトゥムは前を走っていたエネイブルをあっという間に躱してクリスタルオーシャンに襲い掛かる。
逃げるクリスタルオーシャンに並んだかと思えばあっという間に躱し、勢いのままに差をつけていく。後ではクリスタルオーシャンとエネイブルが熾烈な叩き合いをしているのに、先頭を走るソルサンクトゥムは全く寄せ付けないままに駆け抜けているのだ。
アスコット競馬場は大興奮。最終的に3馬身差をつけてクリスタルオーシャンとエネイブルを下した。
初のアスコットで、しかも稍重でタフなレースになるはずだったのに、気づけばこいつが軽やかに駆け抜けていた。何とも恐ろしい馬である。
現地メディアはこの強さを称賛。エネイブルのキングジョージ2勝目を阻まれたにもかかわらず、どの紙も「彼に負けるのであれば仕方ない」と大絶賛していたのだ。
規格外の強さを見せつけ、中にはシーバードの様だとまで言うファンもいたそうな。勝ち方はどっちかというとダンシングブレーヴだけど。
エネイブルの調教師も「一頭だけ格が違う」と称賛。
このレース結果を受けて、ソルサンクトゥムはレーティング135を獲得。父親であるハレヒノカイザーにレーティングで追いつこうとしていた。
■ラストランも最強、有終の美
海外での大躍進が止まらないソルサンクトゥム。次走にはインターナショナルステークスを選択。親友であるシュヴァルグランと一緒にレースに臨む。
対抗馬はキングジョージにも出走していたクリスタルオーシャン。だが、ソルサンクトゥムはそんなの関係ねぇ!とばかりの大激走を披露。ヨーク競馬場の直線で瞬く間に後続を突き放しての5馬身差圧勝を叩き出した。うーん強い。
その後は凱旋門賞を予定……されていたが、運が悪いことに調教中にケガをしてしまう。軽度ではあったものの、大事を取って凱旋門賞は回避。父親に続く形での2代制覇は実現しなかった。その凱旋門賞は女王エネイブルがヴァルトガイストに敗れる形で3連覇を逃している。
そして次走に決めたのは英国のチャンピオンステークス。陣営はこの戦いをラストランに定め調整を進めていた。ちなみにシュヴァルグランは日本のレースに出走するため帰っていった。親友が帰ったソルサンクトゥムは厩務員に蹴りを入れていたらしい。
迎えた本番では圧倒的1番人気に支持される。現状無敗でG1・7勝と文句なしの最強馬。そりゃあ人気も出ますわ。
レースでは珍しく出遅れをしなかった。前から3番手の好位置につけてレースを展開する。ここにはディアドラやマジカルと強い牝馬が出走してきている。そんな相手にどのようなレースを展開するのか、注目が集まっていた。
逃げ馬を見る形で進めていたソルサンクトゥム。アスコット競馬場をキングジョージの再現と言わんばかりに軽やかに駆け抜ける。最後の直線を向く頃には先頭に立っていた。
後方からマジカルが迫りくるが、ソルサンクトゥムは全く寄せ付けない。それどころかどんどん差を開いていく←!?
最終的に9馬身差。マジカルを9馬身差で下し圧倒的な強さで有終の美を飾った。ついでに八萩の脳も焼け焦げた。そりゃこんなのいたら焼け焦げるわ。
この英チャンピオンステークスで引退。早々に日本に帰国して検疫を済ませた後は舎代で種牡馬入りすることが発表された。
かつて日本を照らした「太陽の皇帝」の息子が、国内・海外問わずに大活躍。圧倒的強さでその威光を知らしめたのだ。
■競走馬としての評価
父がもっていたスピードを余すことなく受け継いだ快速馬。特に末脚が凄まじく、人によってはディープインパクトを思い出す人もいたそう。
レースは基本的に後方で進め、第4コーナーから一気に進出するスタイル。ただ、決して前でレースができないわけではなく、むしろ前で進めるレースの方が強い。日本ダービーや英チャンピオンステークスが良い例だろう。
ハレヒノカイザーは瞬発力に優れていたが、こちらは末脚の持続力が凄い。上がり3ハロンのタイムは全てのレースで最速を記録しており、能力の高さを証明している。
どんなに離されていようが、最後の直線で捲るだけの末脚を発揮することができる。あまりの無法っぷりにハレヒノカイザーを思い出す人も少なくなかったそう。
反面、度々触れているようにスタートが悪い。出遅れ癖が酷く、ほぼ全てのレースで出遅れていた。現役時代は「舎代にいる親父からスタートの仕方を習ってこい」とさんざん言われ続けてたりするもはや一つの愛嬌。
ただ、出遅れても掛かったことは一度もなく、終始冷静にレースを進めていたので賢さは健在。本当に出遅れさえなければ、と思うのがソルサンクトゥムだ。
……しかし、主戦騎手を務めた岳隆からは「ハレヒノカイザーの方が強い」と言われている。
ま、まぁあんたほどの騎手が言うなら案件だが、これは実際に騎乗してみて感じたそう。「潜在的な速さはハレヒノカイザーの方が上だし、あっちはスタートが上手いからいろんな選択肢が取れる。それに、規格外の賢さだったからね。あっちの方が強いんじゃないかなぁ?」とコメントされていた。なんで主戦騎手直々にけなされているのか。憐れソルサンクトゥム。
なんてコメントもあったが、岳は「ただソルサンクトゥムはカイザーにはない末脚の持続力がある。その点はカイザーよりも明確に上だし、スタミナもあるからね。一概にどっちが上かは決められないよ」とも言っている。良かったなソルサンクトゥム。
調教師の八萩からは「携わってきた馬の中でも文句なしのトップ。これほど強い馬は見たことがない」と大絶賛。こっちはこっちで脳が焼け焦げている。
ハレヒノカイザーの主戦騎手を務めた岡邉からは「末脚に関しては目を見張るものがある」とコメントしたうえで、「出遅れ癖を改善出来ればもっと楽勝できたレースがたくさんあったと思う。出遅れさえなければねぇ」と苦笑いしていた。本当に出遅れだけはどうにかならんのかコイツは。
海外からの評価もかなり高い。引退レースとなった英チャンピオンステークスは向こうでもソルサンクトゥムの強さが一目でわかるレースと評価が高く、調教師たちも「ハレヒノカイザーを思い出した」と大絶賛していた。
最終的なレーティングも日本勢トップの138。無敗なんだし140にでもしろとは誰もが思ってそうである。
ソルサンクトゥムの産駒には早くも注目が集まっている。果たしてどんな名馬が飛び出すのか、気になるところだ。
■アーモンドアイとの関係
現役時代はよくライバルとして見られていた2頭。無敗の三冠馬と三冠牝馬が同時に出た年であり、なおかつシンザン記念とジャパンカップで2度対決している。
この2頭をピックする記事は多く、ライバル関係がよく話題となっていた。
で、現実はというと……2戦2勝とソルサンクトゥムが勝ち越している。2回の対決を、どちらも完勝に近い内容で制しているのだ。ライバル?と思わず首をかしげるファンも少なくない。
一応、アーモンドアイ陣営はソルサンクトゥムをライバル視していたし、ソルサンクトゥムもアーモンドアイには負けないと意識はしていた。だが、最終的にはソルサンクトゥム陣営が「もう国内に敵はいないから海外に集中するわ」と海外戦へ。アーモンドアイ陣営はリベンジを果たすことなく、現役を終えてしまった。
ライバル関係でもハレヒノカイザーとディープインパクトのように仲の良い事例は存在している。ならこの2頭はどうか?
取り合えず出回っている画像を見てほしい。めちゃくちゃガンつけられてるソルサンクトゥムとガンつけてるアーモンドアイの画像が出てくるから。牝馬なのにとんでもない顔をしていることで有名である。
ただ、別に仲が悪いとかそういうわけではなく、ドバイ遠征の際には調整相手を務めてたりもした。「負けたのがよほど悔しかったとかそういうのじゃないかな」と、アーモンドアイの主戦騎手であるロメールはコメントを残している。
ちなみにこの画像。もっと面白いところがあってソルサンクトゥムがどこ吹く風なところだろう。アーモンドアイから睨みつけられてもコイツは別に気にした様子を見せていない。なんなら勝ち誇っているようにも見えた絶対に気のせいだけど。
この2頭の間には産駒もいる。果たしてどんな結果を残すのかが楽しみなところだ。
■カイザーの後継として
今もなぜか現役種牡馬として働いているハレヒノカイザー。日本の後継にはあまり恵まれておらず、そろそろ休ませてやりたいが後継が、と度々話題となっていた。
そこに登場したのがこのソルサンクトゥムである。文句なしの実績に舎代は大喜び。これは後継者が生まれたぞ!と盛り上がっていた。
そんなソルサンクトゥムの初年度種付け料は2000万円。この種付け料は年々上がっており、そろそろ4000万の大台に乗りそうなところ。
初年度産駒からぼちぼち走る馬がおり、ディープインパクトとも良い対決をしている。これからも頑張ってほしいものだ。そして親父に楽させてやれ。本当にさせてくれ。頑張りすぎだから。
■親友シュヴァルグラン
実はシュヴァルグランとは厩舎の垣根を越えて仲が良かった。割と激しめの気性をしているソルサンクトゥムが懐く数少ない馬であり、シュヴァルグランもまた気を許している。
ただ、対戦においては別。一緒のレースで走ると大抵シュヴァルグランがボコられている悲しい光景……。
それでも2頭の仲の良さは健在。シュヴァルグランが日本に戻る時、ソルサンクトゥムは寂しさで鳴いていたほどとのことだ。ソルサンクトゥムの海外遠征陰の立役者とまで言われている。
■関連エピソード
・賢さはカイザーからしっかりと受け継いでいたようで、ダメなものはダメと認識していたそう。なので一概に気性難とは言えないんだとか。
・舎代で種牡馬をやっている中で父親であるハレヒノカイザーと邂逅。なぜかは知らないがビビり散らかしている。本能的にヤバいやつだと察しているのだろうか…。ただ、親子仲は良好であり、度々一緒に走っている動画がアップされている。
・誰とでも仲良くなる父親とは違い、特定の相手と仲良くなるタイプ。平たく言えば仲良くしたい相手にはグイグイ詰め寄る系だとか。
・結構王様気質なところがあり、譲らないところは決して譲らない。大好物のリンゴもお気に入りのものしか食さず、それ以外のものは決して口にしなかった。
・↑のこともあってか、海外遠征では水にとにかく苦労したとのこと。なんせ気に入った水しか飲まないので、いつも日本から取り寄せていたようだ。
・牝馬でお気に入りの相手は特にいない模様(ハレヒノカイザーにおけるラインクラフトみたいな。どっちかというとラインクラフトがぐいぐい詰め寄る側だけど)。
・放牧地ではボーっとしていることが多いらしい。この辺は常に走り回っているハレヒノカイザーとは対称的だろう。
・意外にもレース前に激しい気性を見せることはなかった。尻っぱねもしたことがないし入れ込むこともない。本当に出遅れ以外は完璧な馬だった。
・フランスはカイザーの反省点を活かしてか、ソルサンクトゥムが来ると分かった時は猛プッシュしていたそうだ。これで罪が許されたのかどうかは知らん。
・異名は馬名にもある聖域になぞらえて「聖帝」と呼ばれていた。断じて南〇鳳凰拳を伝承した男が由来ではない。
■血統表
| ハレヒノカイザー | トウカイテイオー | シンボリルドルフ | パーソロン |
| スイートルナ | |||
| トウカイナチュラル | ナイスダンサー | ||
| トウカイミドリ | |||
| ブランシュテル | ダイタクヘリオス | ビゼンニシキ | |
| ネヴアーイチバン | |||
| ブランウラノス | タイテエム | ||
| プリテイキャスト | |||
| ラインクラフト | エンドスウィープ | フォーティナイナー | Mr.Prospector |
| File | |||
| Broom Dance | Dance Spell | ||
| Witching Hour | |||
| マストビーラヴド | サンデーサイレンス | Halo | |
| Wishing Well | |||
| ダイナシュート | ノーザンテースト | ||
| シャダイマイン |
■その他
随時更新予定です
我(おれ)は強いという自覚があった。
誰よりも速く、誰よりも強い。だからこそ、対戦相手には一度たりとも負けなかった。
同期のフィエールマンにワグネリアン、先輩のシュヴァルグランさんにキセキ、生意気なアーモンドアイも、欧州の女王さえも屈服させた。
だからこそ、誰よりも理解している。我は強いのだと。
そんな我が。
『おー、新入りさんだ! 私はハレヒノカイザー、よろしくね!』
今初めて、自分よりも明確に上だと、自分よりも速い相手に出会ったと思わされている……!
ハレヒノカイザー。その名前には聞き覚えがあった。我に騎乗していた人間が度々口にしていた名前だ。
「んー、カイザーの方が強いかな?」
何度も思った。その強い奴に会ってみたいと。あの人間が言う、我より強い相手と戦いたいと。
いざ会ってみれば、あぁなるほど。
(これは確かに、強い……!)
オーラが凄い。コイツは強いぞと、我の本能に訴えかけてくる。
本気を出せば勝てるか? いや、そもそも引退して長いはずなのに、どうして我と互角に渡り合えそうなんだ? と疑問はいくらでも出てくる。
だが、それ以上に。
『あれ? 緊張しているのかな。おーい?』
勝てる気がしない。そう思わされたのは、初めてだった。
後で分かったことだが、このハレヒノカイザーというのが我の父親らしい。かつて世界の大舞台を制したと。そう人間が言っていた。
カイザーさんは、一言で表すなら天真爛漫。疑うことを知らなそうな、毎日楽しそうに生きている。そんなお方だった。
『へー、君はリンゴにも拘るんだね。私は食べられればなんでもいいや』
『……味が違うと、戸惑うので。同じものを食べるのが好きなんです』
『ふーん。それもまた乙なもの。今度同じの食べてみよっと』
だからこそ、分からない。底がどこにあるのか、今何を考えているのか。全然理解が及ばない。
常に楽しそうにしている。怒られてシュンとしたと思ったら、次の瞬間には楽しそうに走り回る。
同族が、仲の良かった相手が突然いなくなっても。カイザーさんはいつも楽しそうに走っていた。普段となんら変わらないとばかりに。
これでも他と比べて賢い自覚はある。そんな我でさえも、カイザーさんを理解することは難しい。
たまに一緒に走ったりする。
『アハハ! 楽しいね!』
さすがに衰えというべきか、我の方が勝ることが多い。それでも互角だ。いや、下手したら手加減されている可能性もある。それほどの強さを、我は感じた。
結論から言うと。我はカイザーさんを理解することはできないのだろう。
(いなくなった同族は、別の場所に移動したか。または、天に上ったか)
聞けば、カイザーさんは親友と呼べる馬がいなくなっても元気に走り回っていたらしい。
きっと、我にとってシュヴァルグランさんのような方がいなくなったのだろう。それでもカイザーさんは、走ることができる。
我はきっと、同じことはできない。一日中泣き続ける。
カイザーさんが薄情? それともまた、違う気がする。
寂しそうな顔は絶対に見せない。いつも笑って、皆を楽しませている。その気持ちを理解することは……我には無理だ。
『よーし、みんなで走ろー!』
カイザーさんは、今日も元気に走っている。我はその後ろを走る。
(恐ろしい方だ)
恐怖はある。けれども、どこか楽しい気持ちもある。
理解できずとも、近くに。それがきっと、我の最適解だ。
強いけどスタートがドへたくそ。それがこの子。