変異特異点MMXV:新霊長聖別世紀ネオンジェネシス   作:DUN.ネコノカンリニン

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筆者「『序』が終わったな」
筆者(自問)「『序』が終わるとどうなるんですか」
筆者(クルッ)「なんだ、知らんのか」
筆者(自答)「『破』が始まる」

というわけで、今回から『破』が始まります! 結構長続きしたんじゃないでしょうか。見てみろよ筆者の別の小説をよぉ! ほぼ六話とか、良くて十話ぐらいで更新止まってんだぜ?
オリ小説は別だけどね。

あと仮設五号機戦全カットです(唐突)
マリファンの方、申し訳ありません。一応、このあと結構活躍させる気なので、そこまで筆をためとこうと思いまして。


第十四節:「破章_序」/第二の赤、来たる。

 ―――思うに、記憶の奥底に残っているものがある。

    それには、安堵の感情なんて、ない。

    ただ、私が触れてきたもの。それは、どちらかと言うと。

    苛烈な、戦いの激しさに近かったかもしれない。

 

「……んぅ」

 

 少女は目を覚ました。作戦開始までの僅かな仮眠時間。それを終えて、少女はお世辞にも柔らかいとは言えない、白いベッドの上から身を起こす。

 横の時計は、作戦開始まで残り三十分を告げている。

 

「―――よし、やるか」

 

 少女はパチン、と自らの頬を叩き、プラグスーツに着替えてペットボトルに入っていた水を飲み、顔を洗う。

 これで、意識ははっきりとした。寝起き特有の頭の靄は、すでに取り払われた。

 コツコツ、とヒールを鳴らしながら廊下を歩いて渡る。金属質な音が響く。

 そして着いたケージの中に、ある一体の巨人は佇んでいる。

 

「うーんやっぱり良いわ! 私の専用機ってカンジ!」

「そうか。感嘆するのはいいが、早く搭乗を済ませてくれ。こちらはすでに、本部に”TASK―02”の発動を申告して、受理されている」

「わかってるわよ。私に命令しないで」

 

 少女はオペレーターの一人と会話を済ませると、後の用はない、といった感じにエントリープラグへ向かう。

 

『エントリースタート』

『了解。A-10神経システム、接続開始』

『神経パルス、安定確認。システムシークェンス、第二段階に移行します』

『シンクロ率観測確定。量子的不定確率、収束』

『パイロットの存在保障、完了。形状維持、確認。全行程終了しました。パイロットに告ぐ。任意のタイミングでエヴァを起動せよ』

「……。よし、行けるわ。エヴァンゲリオン2号機、起動!」

 

 キュイン! という音が鳴り響き、赤い巨人―――2号機の四つの複眼が緑に発光する。

 そして、エントリープラグの中で、少女は自分に言い聞かせる。

 

「やるしかないのよ、アスカ」

『目標着陸位置まで5、4、3、2、1……エヴァ2号機、投下!』

 

 オペレーターがそう告げる。すると、今まで2号機の身体を固定していたワイヤーが外され、自由落下を始めた。

 目下には、新たなる使徒―――『第7の使徒』がまるで振り子時計のような体を動かしながら日本列島本土へ進行している。

 あの細い黒い足が踏んだ海水が、一瞬にして氷結し、ひび割れて雪の結晶のような文様を編み上げる。また、対峙している戦艦の真下にエネルギーサークルを発生させ、伸びる炎の柱を作り出している。

 使徒は、2号機の存在に気付くと、そちらに注意を向けて様々な攻撃を仕掛ける。

 

「……! はっ!」

 

 アスカは、迫りくるそれらを避けつつ、戦闘機から補給されたクロスボウを回収しようとするが、失敗。またも回収に挑戦し、成功すると、その腹いせとばかりにクロスボウを射出する。それは見事使徒のコアを打ち抜いた。

 しかし、それがデコイであると気づくと、アスカは舌打ちをしてクロスボウを連射する。その矢のほとんどは本物のコアに当たることなく過ぎ去っていく。当たる軌道に合ったそれも、使徒のA.T.フィールドに阻まれてしまう。

 そして武器は意味がないと判断し、アスカはクロスボウを捨てる。そして飛び蹴りの姿勢を取ると―――

 

「どおりゃあああああああああああああああああああああああ!!」

 

 2号機の足から飛び出した針が、使徒のコアを貫く。デコイのコアまで用意した使徒は、あっけなくその形状を崩壊させた。

 2号機は回転し、着地する。

 すると、目の前には山吹色の巨人―――エヴァ零号機が遅れて到着していた。アスカは、その様子を見て煽るかのように手を腰に当てて、

 

「状況終了!」

 

 と言った。

 

                              ―――「破章_序」/了

 

 

 

 その日、藤丸は誰もミサト宅にいなくて暇だったので、ストーム・ボーダーにいた。久々にマイルームに帰ってきた藤丸は、これまでの戦いをレポートに書こうと思ったが、筆が進まない。

 困った彼女は、大図書館―――「偉大にして恐るべきされど可憐なる紫式部図書館」にて管理人である紫式部にアドバイスをもらおうと訪れた。しかし、その大図書館へ行くための通路で、ネルフから支給された携帯端末に連絡が入る。出てみると、シンジからであった。

 開いて応答ボタンを押す。

 

「はい、藤丸です。シンジ、どうしたの?」

『あ、リツカ。実は今、新しいエヴァがドイツから来たんだけど……興味ある?』

「え、むっちゃ興味ある。マシュも連れてって良い?」

『多分いいんじゃないかな。トウジとケンスケも来てるし。一応ミサトさんに確認しておくよ』

「ありがと、シンジ!」

『―――大丈夫だって』

「よし、それじゃあそっち行くから。どこらへん?」

『えーっと、第四地区』

 

 そして、藤丸はマシュを連れて箱根の海岸沿い、第四地区の堤防に訪れていた。周りには、政府関係車両やネルフの観測機器を積んだトラックなどが来ていて物々しい雰囲気を放っていた。そしてゲートキーパーをしていた黒服にネルフのIDカードを見せて通る。

 

「へー、2号機って赤いんだ」

「カラーリングが初号機や零号機とは違いますね」

「お、あそこで騒いでいるのが……」

 

 藤丸は、その現場に近づく。そこには、シンジ、ミサト、ケンスケ、トウジと見慣れた面々が集っていたが、一つ、聞きなれない声があった。

 

「? 誰だろ」

 

 その瞬間。

 

「ふーん。あんたバカァ? 肝心な時にいないなんて、なんて無自覚!」

「うわっ!」

「ちょ、シンジ?!」

 

 シンジが足払いされて、体勢を崩し倒れる。その先に、見慣れない赤い少女が一人。

 長い髪をツインテールにして、颯爽と歩く姿はまるでワルキューレの様。実際に見たことがある藤丸はそう思った。

 そして、それと同時に藤丸は小声でつぶやいた。

 

「え―――私のオルタ?」

「はぁ? あんた、誰だか知らないけど、人に向かって自分の別人(オルタ)って言うのはどうかと思うわよ……。って、ちょっと待って。あんたもしかして、不審者パイロット?」

「ふ、不審者?!」

「そう。こっちのネルフではそう呼ばれてるの。なんでも、初日の戦闘時に謎のビームぶっ放して使徒を撃退したって言う。こんなの、不審者の何者でもないじゃない」

「確かに……」

「認めるのね……。ま、良いわ。あんた、名前は?」

「藤丸リツカ。こっちは後輩のマシュ」

「リツカにマシュ……オーケー。把握したわ。私は式波アスカ・ラングレー。ネルフドイツ支部所属、ドイツ空軍の大尉よ」

 

 その言葉に、藤丸とマシュは驚きを隠せない。

 

「大尉?! 大尉って……」

「はい、軍隊において分隊長など将や佐には劣りますが、それでも大きな発言力を持っている階級です。そんな地位をあの年齢で……」

「お世辞はいいわ。私、本部に用があるの。失礼するわ」

 

 コツコツとプラグスーツのヒールをコンクリートに叩きながら颯爽と立ち去っていった。その姿はまるで―――

 

 

「なんか、嵐みたいな人だったね」

「ええ、なにか……イシュタルさんみたいでした」

「けどな! 何様やねん、あの女! あんなこと吐かして!」

 

 シンジ、ケンスケ、トウジ、リツカ、マシュの五人はエスカレーターに乗って駅の改札を目指していた。トウジは先のアスカの態度に腹を立てているらしく、一人苛立っていた。

 

「失礼」

 

 歩いていた五人は、ある男性に呼び止められる。無精髭を生やした、三十代ほどの男。ちょうどミサトらと同じぐらいの年齢である。

 

「ジオフロントのハブターミナル行きは、こっちで良いのかな?」

「あ、はい。四つ行った所に乗り換えがありますけど」

 

 シンジが答える。すると、その男はしみじみとした感じで言う。

 

「たった二年離れただけで浦島太郎の気分だ……ありがとう! ところで、葛城は一緒じゃないのかい?」

「え?」

「ミサトさん?」

 

 男の言葉に、シンジとリツカが反応する。

 

「古い友人さ。君たちだけが彼女の寝相の悪さを知っているわけじゃないぞ、碇シンジ君、藤丸リツカちゃん」

 

 男はキャリーケースを持って改札へ消えていった。そして、トウジは訝しむように、一言。

 

「なんやアイツ」

 

 リツカは感じ取れていなかったが、マシュは確かに感じていた。

 

(何か、大きな渦が、働いている感覚が……)

 

 マシュの中に眠る公平性が、そう告げていた。

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