変異特異点MMXV:新霊長聖別世紀ネオンジェネシス   作:DUN.ネコノカンリニン

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私は……見たいんですよ。評価バーが血のような赤で染まっている姿をォォォ!(豹変)



というわけで、評価お願いします。


あと今回謎なところでネタバレがあります(唐突)


第十五節:奇妙な同居人

 もう太陽も沈んでしまおうという夕暮れ。ジオフロントから自宅へ帰路を歩む二人の人影があった。その人影は、夕日に照らされて浮かび上がる。

 

「式波アスカ……エヴァに乗ってて嬉しい人もいるんだ……」

 

 シンジは今日の昼下がりに出会ったあの赤い少女を思い出していた。2号機のパイロット、式波アスカ・ラングレー。圧倒的な戦闘力をもって使徒を殲滅したあの光景が、彼の脳裏に焼き付いて離れない。

 

「世界は広いからね。そんな人もいるよ」

 

 シンジのつぶやきに応えるのは藤丸。彼女もまた、アスカを振り返ってみる。

 自分よりも年下である彼女。シンジの時と同じように、彼女も人類の未来を背負っている……。

 特異点の人間たちが、いつか消えるとも知らずに自分と同じ覚悟をもって任に就いている。その事実に、少し、感じたことのない感情を覚える。

 

(胸の奥が、ざわつく。なんだ、コレ……)

 

 自分の知らない感情。マシュも大概感情を知らないと思うことがあったが……人のことを言ってられないと思う。

 エレベーターから降りて、自分たちの部屋に向かう。

 ガチャリ、と部屋の鍵を開ける。

 

「ただいまーって、えぇ!?」

「な、なにコレ」

 

 そこには大量に積み上がった段ボールがあった。そしてそれがあるのは……

 

「ぼ、僕の部屋が……!」

「失礼ね。私の荷物よ」

 

 段ボールの奥から現れたのは式波アスカ・ラングレー。彼女は牛乳瓶に入った牛乳を飲みながら薄着姿で歩いてきた。

 

「じゃあ僕の―――あれ? なんで式波がここにいんの?!」

 

 シンジが驚嘆の声を上げると、アスカは呆れたようにため息を吐く。

 

「あんたバカぁ? 同性のリツカはともかく、あんたはお払い箱ってことよ。ま、どっちが優秀かを考えれば当然よね」

「マジ? シンジ出てくの?」

「そんな……」

 

 アスカはドアにかけていたひじをどかし、そのドアをガラガラと開閉し始める。そして、イラついた様子で文句を垂れる。

 

「それにしても、どうして日本の部屋ってこんなに狭いのかしら。私の荷物、半分も入りきらなかった! しかもドアに鍵かけてないなて、まったく、日本人って危機感がないのね」

 

 がらがら、がらがら、がらがら、がらがら

 ぬっ

 

「それは、日本人の心情は察しと思いやりだからよ」

『うわぁぁぁ!』

 

 ぬっ、と出てきたミサトに驚きながら、藤丸、シンジ、アスカの三人は壁へもたれかかる。その反応はさながら死人が歩いてきたかのようである。

 

「み、ミサトさん……!」

「シンジ、本当に出てっちゃうんですか?」

「ちっ、鬱陶しい。さっさとゴミと一緒に出ていきなさいよ」

 

 ミサトに藤丸とシンジがすがるように問いかけると、アスカは舌打ちをして忌々し気ににらみつける。

 そして、家の主の判断は―――

 

「あら、シンちゃんもここに残るのよ?」

「えぇえ!? ウソでしょ!? ミサト、コイツが獣になって私を襲ってきたらどうすんのよ!」

「そのときはリツカちゃんがなんとかしてくれるわよ♪」

「はい! 式波さん、そのときはシンジをローマ直伝のパンクラチオンで締め上げるから、安心して!」

「パンクラチオンってギリシャじゃなかったっけ……で、でも!」

 

 ミサトは「はい!」と言って手をたたく。すると、突然のことにびっくりしてアスカが言葉をのむ。

 

「リツカちゃんはともかく、アスカとシンちゃんに足りないのは適切なコミュニケーション。同じパイロット同士、同じ釜の飯を食って仲良くしないとね」

 

 アスカとシンジは互いに気まずそうに顔を見る。そして「ふん!」とアスカがそっぽを向き、その様子を見てミサトは言う。

 

「これは命令よ♪」

 

 

 数十分後、シンジが作った晩御飯を全員が食べ終わると、ミサトが言う。

 

「はい、みんなで一緒に! ごちそーさまでした!」

「ごちそうさまでした! シンジ、美味しかったよ」

「そう? 良かった。……式波はどうだった?」

「ま、個人の手料理じゃこんなレベルよね」

「素直においしいって言えばいいのに、アスカ」

「うるっさいわね! ……おいしかったわよ、ちゃんと」

 

 他愛のない時間を過ごす。

 そして、ミサトが風呂から上がってきてリビングでくつろいでいた時、事件は起きた。

 

「ぷっはーーーーー!!! くぅぅぅぅぅぅぅぅ! やっぱひとっ風呂浴びた後に飲むビールは最高ね!」

 

 そう一人で享楽に身を浸していると、自室でカルデアとの通信をしていた藤丸が、通信を終えて出てくる。

 

「はー、終わった。ミサトさん、今お風呂上り? 入っていい?」

「んいや、今アスカが入ってるわよ」

「へー、アスカが。アスカ……が……」

 

 そこで藤丸の脳内を駆け巡るのは、自分がミサト宅へ居候を始めた初日の事。……その日も、こんな月の夜だった。赤い水に驚愕して……そして。

 

「ミサトさん、アスカにペンペンのこと言った?」

「いってないわよ」

 

 藤丸の表情が、険しい顔(ORT戦の最後らへんみたいな)に変わる。

 そして―――試練の喇叭は鳴り響く。

 

「クワッ」

 

 風呂場から、バタバタと羽根を振るわせて水気を飛ばす鳥っぽい謎生物―――温泉ペンギンのペンペンが出てくる。すると同時に「きゃあああああああああああああああああああ!」という結構事件性のある悲鳴が聞こえた。

 ドタバタという音とともに、アスカがバンッと音を立ててリビングへ姿を現す。

 

「な、なんか変な生き物がお風呂にいるー!」

「ペンギンっていう鳥だよ。名前はペンペン……」

 

 食器を片付けながらアスカの方へと振り向くシンジ。悲しいかな、運命は変えられない。藤丸は、これを止めることができなかった。

 ……アスカを直視したシンジは顔を赤く染めていく。

 

(私は、彼を救えなかった。多分次はないだろう。だって彼女が二回同じ反応をするはずがないのだから。―――さらば、碇シンジ。二度女の裸体を見たその罪は許されるわけではないが、その境遇には同情の意を示そう)

 

 やけに詩的な憐憫の情を表した言葉を独白すると、藤丸は合掌した。

 

「ん? 何よ……ッッッッッッッッ!!!」

 

 シンジの視線に訝しむと、アスカはその天才的な頭脳を用いて圧倒的な速度で自らの状況を把握していく。―――そして、赤面。

 アスカは、その軍隊仕込みの体術を駆使してシンジに飛び蹴りを食らわせた。

 

「てやーッ!」

「ぐへぇっ!」

「このエッチ! バカ、変態! 信じらんない!」

 

 そしてアスカはリビングに来た時と同じように、ドタドタと足音を鳴らして脱衣所へと逃げ込むように去っていった。

 

「二人とも素直になって、いい傾向じゃない。ねーペンペン」

「くぇぇ!」

 

 この騒動の諸悪の根源となった白黒の鳥はストローでミサトと同じ銘柄の缶ビールを飲みながら、そう答えたのである。

 そして、この騒動を止められなかった責任を感じている藤丸はというと、

 

「……やっぱり、加減したほうがよかったかな」

 

 以前の自分の行動を少し後悔していた。

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