復讐少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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ハンター

 間違いなく『地獄へと堕ちる』……そう語るクリス。

 クリスの眼には見えている……白雲朧の霊魂に絡みつく様に刻まれている呪いが。

 しかし……当然ながら一般人たる相澤先生とプレゼントマイクには見えない。

 故に……クリスは立ち上がって2人に許可を取って……2人の肩へと触れる。

 すると……2人にもクリスが見ている視界が共有され白雲の霊魂に纏わりつく鎖の様な呪いが認識できた。

 

「見えましたね? アレを解かないとそのまま地獄行きです……一応言っておきますが……地獄とはまさに地獄です……行かない方が良い」

 

 そう語るクリス。

 まるで行った事があるかのような口振りで語るが相澤とマイクはそれを気に掛けられる状態ではなかった。

 無理もない……親友の遺体が玩具みたいに弄くり回されて……人形になってるのを知れば誰でもそうなる、クリスも痛い程味わったからその痛みは理解できる。

 

「それはさて置き……覗き見と盗み聞きとは褒められた趣味じゃないですね?」

 

 クリスがパチンっと指を打ち鳴らすと突如として現れたのはビジネススーツを着込んだ女性。

 何もない筈の場所から……唐突に現れた部外者。

 侵入者用センサーなども設置してある筈が一切機能していなかった、教師4人は眼前の不審者に対して身構えるがその女性は一切気にも留めない様子であった。

 

「何の用事だ? テッサ……軽々しく触れるな、私はまだお迎えが来る時間でも時期でもねえだろうが」

 

 テッサと呼ばれたその女性はまるで10年来の友人の如く肩に手を回した後ろからハグをしつつ口を開く。

 

「あらやだ、死神をそんな簡単に振れると思ってるの? それに、今は仕事でこっちにきたの……面白そうな話をしてるからちょっとだけ見にきただけよ、じゃあねバイバイ」

 

 一方的にそう言ってテッサと呼ばれた女性はたちまちその姿を消した。

 まるでそもそも存在自体がなかったかのように。

 霧が消え失せるかの様にあっさりと。

 それを確認して……クリスはため息一つ吐いて語る。

 

「とりあえず……全部事細かに説明致しますので座って下さい、お願いします」

 

 そう告げるクリス。

 その時、オールマイトが遅れて入室してきた、元々最初から同席する予定ではあったのだが残務処理で手間取ったらしい。

 1時間後。

 全てを語り終える。

 クリスの過去、吸血鬼や悪魔、天使、狼男……それらの事全てを。

 語り合えてから天井を見上げて呟く。

 

「私はあの時に決めたんですよ、必ず家族の仇をこの手で殺すって……」

 

 力なく……天井を見上げてそう語るクリス。

 オールマイトが口を挟むが……知った事ではない。

 クリスはオールマイトを見据えながら口を開く。

 

「貴方も家族を殺されたとお聞きしました、ならばこそ少しは私の気持ちは理解できるのではないでしょうか? 家族をゴミの様に殺された……今でも眠ったら酷い悪夢と共に思い出しますし……忘れられる訳がない、細部まで鮮明に憶えています、あの時の家族の叫び声、襲撃してきた2人、そして1人無力に……隠れて怯えているしかなかった絶望感は言葉に出来ない、だからこそ家族の仇である黄色い眼とAFOは私が殺す、たとえオールマイトだろうと邪魔立てしたら絶対に赦さない」

 

 そう語るクリス。

 復讐に文字通り人生全てを捧げてきた……。

 それを聞き……相澤先生が椅子に座ったまま、ゆっくりと口を開く。

 

「……ヒーローの精神性ではないな」

 

 そう語る相澤先生に対してクリスは言葉を返す。

 

「えぇ、そんな事分かってますよ? あぁ、オールマイト……言いたい事は分かっていますが先に言わせてくださいませ、AFOは生きていますよ……昨日確認の為にAFOに殺された者の霊を呼び出して確認したので間違いない……呼び出した相手は……そう、志村奈々と言いましたか……」

 

 その言葉に愕然とするオールマイト。

 確か、志村奈々とオールマイトは師弟関係であったと聞いた。

 

「日本では遺体を火葬にするそうですが……先程の白雲朧の霊魂と同様に志村奈々の霊はまだ現世に留まっている……それは後でオールマイト先生に個人的にお教えします……さて、ハンターに関しては知れたのではないかと思いますが何か聞きたいことがあればお答えいたします」

 


 

 そうして……クリスへの疑念と猜疑……轟焦凍から噴出した黒い煙の理由を聞き終えた教師陣はクリスを帰すとオールマイト以外の教師はそのまま会議へと移行する。

 

「ハンター……ね、俺は俄には信じられませんがさっき語った白雲は間違いなく白雲だった……、マイクもわかるだろう?」

 

 そう語るのは相澤。

 隣に座っていたマイクも首を縦に振り肯定の意を示す。

 クリスの口から語られたのがとても本当の事だとは信じられなかった。

 この個性溢るる超人社会と言えども想像上の存在までは実在しない。

 その筈だった。

 しかし幽霊や吸血鬼(ヴァンパイア)、ウェンディゴや人喰い鬼やシェイプシフター、人狼やルーガルー、悪魔は本当に存在しており……それらを狩るハンターがいるという。

 挙げ句の果てには死神や神や天使が実在するときたものだ。

 到底信じられるものではなかったが……白雲の霊を自分達は確かに見た。

 言葉も交わし、思い出話も交わし……自分達3人しか知らない事も知っていた。

 到底嘘とは思えない。

 半信半疑……だが信じる他ない。

 

「しかしながら……復讐か……まだ若いのに家族を喪う辛さは理解できる、なんて口が裂けても言えたもんじゃないが……どうにか引き戻せないものか」

 

 そう語る相澤だが……クリスのあの眼をみてほぼ不可能だろうと悟る。

 なんせ自身も過去その眼をしていたから分かる、毎朝鏡に映る過去の自分がそうだった。

 白雲を殺した奴を殺すまで……そう考えていた時期も無いとは言えなかった。

 ただ……相澤は親友と先輩に諭され……諭されたとは言い難い。

 思い切り乱闘の末にボコボコに殴られ怒鳴られた、2人がかりで。

 

「そこら辺は……彼女自身が立ち直らないと如何ともし難い……引き続き宜しく頼むよ、相澤君……」

 

 そう告げられた相澤であった。

 


 

 クリスとオールマイトは別室へと移動して話を再開する。

 

「さて、何処から話しましょうか? OFA? それともAFO? それとも貴方の不満足な肉体からですか?」

 

 そう口を開くクリスであった。

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