クリスはキャスに頭部の裂傷や打撲を治癒してもらう。
呪いをかけていた悪魔は地獄へと送り返した為に地獄の門が開かない限りは向こう数100年間は出て来られない。
八百万百も今度こそ呪いから解放された。
壁に磔にされた両親もキャスに治癒してもらい、ほっと一息つくクリス。
肝心のバトラーはと言うと客人に対してとんでもない暴挙を働いたがそれは悪魔が憑依したからであって彼の本心からではない。
故にクリスが彼の暴挙を不問にしてもらう様に口添えしたのだ、やったのは悪魔でバトラー本人には何の罪もない。
そうして、時間も程よい時間となったので晩餐会はお開きとなる。
別れ際にクリスは八百万百へとある物を手渡す。
「八百万さん……肌身離さずコレを持っていて下さい」
そう言ってクリスが手提げバックより取り出して手渡したのは手の中に収まる程度の大きさで作られた巾着袋の様な物。
巾着袋と違うのは口が開けられない様に紐で固く縛ってあるところか。
「これは?」
首を傾げながら問いかけて来た八百万百。
それに対してクリスは語る。
「私が編んだ
そう告げて……クリスはバイクへと跨り会釈をして八百万家を後にした。
クリスは家へとバイクを走らせて自宅へと到着するやいなやスマホを取り出してとある人物へと電話をかける。
その人物はクリスと懇意にしている……と言うよりも過去にクリスを殺しに来た為に少し立場と身の程を『分からせてやった』UKの賢人の1人、ケッチ。
賢人とはハンターとは違い武力ではなく何百年、何千年と継承されてきた智慧で怪物や魔物に立ち向かう者達の総称である。
その智慧は凄まじい物であり凡ゆる
クリスはUKの賢人達から襲撃を受けそれを退けたその直後、返す刀でUKの賢人達のアジトを逆に襲撃、UKの賢人のトップに当たる人物からその地位を簒奪し賢人達のトップに立っている。
「やぁケッチ……調べて欲しい事があるんだよ、データを送るから急ぎで頼む」
そう告げてPCでデータを送り通話を終えるクリス。
しかし、まだまだやる事はある。
クリスがプライベートで使用するスマホとは別に持っている10個のスマホからはひっきりなしに電話やメール、トークアプリの新着トークが入っておりそれらに対応するクリス。
用件の詳細に差はあれど全部がクリスの智慧を借りたいハンターからである……クリスは養父であるボビーと同等の知識を持つからか他のハンターから頼られる事が多い。
日本は今夜中であるがクリスの故郷であるアメリカは違う。
アメリカは昼間なのでクリスのスマホにはガンガン電話やメール、トークアプリでのトークがかかってくる。
「Yeah, Agent Legard is my direct subordinate and the most trusted and talented agent I have. . If he wants to dig up that grave, go ahead and do it」
自身の狩りに加えて他のハンターから助言や情報を求められる事が多いクリス。
幽霊を退治する為の墓を掘り返す許可や怪物の退治法、果ては怪物の正体を暴く為の情報収集やハンターとハンターの橋渡しまで幅広く活動しているクリス。
クリスはジョーやボビーと似た様な活動を行っている。
そもそも日本のハンターから助言や情報を求められて渡航してきたのだ。
クリスに求められたのはその叡智と実力である。
数千年前の極少数の民族が使用していた紋章、今では話者の居なくなった古語のリサーチ、悪魔の予兆や民間伝承の調査など様々だ。
雄英高校ヒーロー科の留学生としても試験を受けないと行けないために此処数日は狩りには出ずに調べ物に専念しているが。
「Of the two puzzling cases you mention, in one of them the trace is a werewolf. The other case would be a shapeshifter . but this hunt is uncomfortable.
I will contact you again from this side after the information is confirmed.
You will definitely hear from me before you go in.
And then you're going to go in there well-equipped, and you're going to go in there with the nest, okay? Absolutely」
そう告げて一旦電話を切り書斎に行き調べ物を続けるクリス。
グイッと伸びをして時計を見ると既に23時を回っている、帰宅後からぶっ通しで調べ物や電話の繋ぎをしていたのでだいぶ疲れた。
シャワーを浴びて眠気を飛ばそうとしたその時……インターホンが連続で鳴り響く。
ドアホンを確認すると見てくれの良い好青年。
「私は此処をパトロールしているヒーローです……少し伺いたい事があって……今よろしいですか?」
「……全く」
自身の格好を確認する。
少なくとも人前には出れない、ブラとパンツのみなのだ……ため息を吐いて着直すとドアホンを取りカメラに映された来客者に対して語る。
「証明書を見せて下さい……インゲニウム? 知らないヒーローですね……ま、それはさておきドアに鍵は掛けてないのでいいどうぞ入って来てください……」
そう語るも入ってくる様子はない。
ドアホンを覗きながら続けて語る。
「あぁ……言い忘れてた、ドアの下と窓の下には岩塩で境界線を引いてある、普通の人間ならばなんの苦もなく通過できるさ……君が本当に人間ならね」
挑発する様にそう語る。
その瞬間……インゲニウムと名乗ったプロヒーローの眼は漆黒に染まる。
「クソアマが……良いからさっさと此処を開けやがれ‼︎」