入学当日。
雄英指定の制服に身を包みヘルメットを装着して愛車であるBMWに跨り雄英の駐輪場までバイク走らせるクリス。
駐輪場へバイクを停めて教室まで歩いていく。
そして1-Aのクラスを探して練り歩くが……迷いに迷って職員室と書かれた所に着いてしまった。
ノックをして中にいる教員を呼ぶ。
出てきたのは金髪をトサカのようにしてサングラスをかけた強面の教員であった。
クリスはその教員に対して母国語で語りかける。
「I'm Christina Winchester, a new student. I'm terribly sorry to bother you on such a busy day as the entrance ceremony.
I'm sorry, I got lost. I need to get to Classroom 1-A. How do I get there from here?」
言い終えてからハッと気付くクリス。
此処はアメリカではない……日本だと。
しかし出てきた教員から返されたのはネイティブにも負けない綺麗な発音の英語であった。
「Whoa, this place is huge. No wonder I got lost.
Nice English pronunciation, huh? You're the second American exchange student here, aren't you. Wait a sec?」
そう告げられて少し待っているとその男性教師は一度職員室の中へと戻り少し離れるぜとそう告げてからクリスの所にきた。
「Sorry to keep you waiting.
Since we're here anyway, let's go together—it'll be faster that way.
How well do you speak Japanese?」
そう問われたクリスは歩きながらその問いかけに対して口を開く。
「I studied Japanese while living in America, so I can speak a little.
I haven't quite mastered the intonation or subtle nuances yet. but I can manage everyday conversation」
日本語はある程度勉強しているがまだまだイントネーションや発音の高低で意味が変化するのには未だに慣れない。
まだラテン語や古語の方が簡単である。
その他、アメリカに住んでいた頃の事を色々と聞かれて齟齬の無いように答えるクリス、6分ほどして1-Aに到着したのでサングラスをかけた強面の教員、プレゼントマイクは職員室へと戻っていった。
中へ入ると見知った顔が……八百万百であった。
席は名前順の為に離れていたが僅かでも知っている人がいて助かった。
手を振って身振りを示すと向こうも気付いたようで挨拶をしてきた。
「クリスティーナさん、よかったですわ……クリスティーナさんも雄英を合格していたのですね‼︎ あの時の御恩は一生忘れませんわ」
クリスの手を握りブンブンと上下させる八百万百。
あまりの勢いにクリスも、そして周囲のクラスメイト達も驚いている中でそれとは別の声が響く。
「お友達ごっこしたいならた他所へ行け……はい、君達が静かになるまで10秒かかりました、担任の相澤消太だ、さて各自机の中に体操服が入ってるからそれに着替えてグラウンドに集合」
唐突にそう告げられてクラス中が一気にどよめきたつ。
入学式やガイダンスなどは行わないらしい。
とりあえず女子更衣室で着替える為に更衣室に向かう事となったのだが問題が1つ。
……クリスは他人に見せれるような綺麗な身体をしていないのだ、生傷や古傷、酷い火傷やゾンビによる咬傷などが絶えない生活をしていた為に戦いの痕が残っている。
更に言えば悪魔除けとして入れているタトゥーもある為に絶対に肌を見せれない。
女子陣が更衣室に入っていく中でクリスは語る。
「私は最後に着替えるよ、ちょっと肌を見せれない理由があってね……」
そう告げて皆が着替え終わって出てきた所で更衣室へと入室して着替え終わるとグラウンドへと向かう。
其処で告げられたのは個性把握テストと言うもの。
「あぁ、お前らも中学の頃にやっただろう? ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力測定、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……爆豪、コイツを投げてみろ」
それを聴いてもピンと来ないクリス、アメリカではそんなものは無かった。
大量にテストをやるのは軍に入隊する者くらいで一般の学校では行われていない、クリスの知る限りでは。
まぁ今からデモンストレーションで見せてくれるのだから丁度いいだろう。
爆風が球威に乗り凄まじいエネルギーと共にボールが放物線を描いて飛んでった。
記録は705.2m。
流石に素晴らしい記録と言わざるを得ない。
そしてその結果を見てクラスメイト達が沸き立つ。
曰く、面白そう、と。
ソレを聞いた相澤先生は復唱してゆっくりと言葉を紡ぐ。
「面白そう……か、ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい? よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断して『除籍処分』としよう」
あまりにも唐突な宣告にクラスメイト達が抗議するが相澤先生の言葉は変わらない。
そして……個性把握テストが始まったものの、クリスにとっては己が個性を発揮出来る種目など1つたりとも有りはしない。
第1種目、50m走。
これはまぁ素の身体能力で補う事が出来た、体力はハンターの基礎故に。
記録・5秒97。
第2種目、握力。
こちらもまぁ……日々の命のやり取りで鍛え上げられたのか。
54.9kgw。
第3種目、立ち幅跳び。
5m87cm。
第4種目、反復横跳び。
敏捷性を何より求められる為この種目は得意である、ほぼ無個性にしてはだが。
84回。
第5種目、持久走。
最下位にはならなかったモノの18位。
第6種目、上体起こし。
67回。
第7種目、長座体前屈。
これは単純に自前の身体の柔らかさしか無いクリスは普通に取り組む他なかった。
普通の結果に終わる。
8種目ソフトボール投げ。
1投目、2投目。
共に53m。
これで全種目終了して結果が発表される。
クリス……18位。