彼は“お父様”に恋をした 作:─────
真夜中のフォンテーヌの燦然とした街並みのその裏側、路地裏で
「……来たか。さすがは殺し屋の旦那、時間ぴったりだな」
「モラだけが全てってヤツは、しっかり話を聞くし時間を守る。……扱いやすくて助かるぜ。お互いにそうだろ?」
路地裏に入って来たフード付きのローブの男に、二人のごろつきのような男が出迎え、彼を旦那と呼んで口々に彼に褒めているのか貶しているのか分かりづらい言葉を口にする。
「旦那、今は壁炉の家にいるんだってな?……なぁ、ソイツは新しい商品だろ?いくらだ?〝名無しの殺し屋〟としてフォンテーヌの裏側に名前を轟かせる旦那の商品だ、言い値で買うぜ」
「……その呼び名はやめてくれ、もう捨てることにしたんだ」
「お?今の名前じゃ有名すぎて足が付くって話かい?」
ローブの男は答えず、少しの間考えるような仕草をした。
「過去ってのは、あんまり簡単に許しちゃくれないモノだよな」
「は?」
「……別の生き方をしたいって思っても、過去は足枷にぶら下がった鉄塊みたいに引き摺られて喧しい音を立てる」
「何の話してんだよ、旦那」
「なに、ただの世間話だよ。俺たちも長い付き合いだ、そうだろう?」
意味不明な言葉に苛立ちを隠さなくなり始める二人の目の前で、男はローブの内側から剣を引き抜く。
「……だ、旦那?」
「……足枷の話だ、足にぶら下がって喧しい音を立てる鉄の塊は囚人がその場から逃げられないようにもするが、その音が周囲に囚人の存在を伝えることもある。……逃げ出したい囚人が居場所を隠すには、どうすればいい?」
「──そんなもん、どうにかして煩い足枷を取っちまえばいい」
「そうだ。そうだよな」
ローブの男の口元に笑みが浮かんだ。
それと同時に、彼が握りしめていた剣が炎に包まれる。
「旦那……?──ッ、このクソガ─────」
ぼとり、と鈍い音がして一人のごろつきだったものが倒れ伏す。
倒れ伏した人型には首がなく、あったはずのソレは切り落とされた勢いで少し遠くまで飛んでいってしまった。
「……ひ──ッ!く、来るな!そ、そうだ、いくら必要だ!?」
「……?」
「お前を雇った奴の倍出す!足りないなら、お前が欲しいものを欲しいだけ報酬にしてやる!」
「……欲しいもの、か」
「あぁ、そうだ!なんだって──」
「なら、その命を貰う」
心臓を刺し貫かれて二人目の男も倒れ伏した。
下手人の男のフード付きのローブ、その背中側の両肩に存在する
その後、その場所に残ったものは一つもなかった。
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「旧友との密会は済んだ様だね。彼らは元気だったか?セルジオ」
「……見ていたのでしょう?あまり意地悪なことを言わないでください、お父様」
「見ていたけれど……君がどう感じたかを、君自身から聞きたいんだ」
「俺の家族は
澱みなくに言い切ったセルジオ。
アルレッキーノはそれに何かを言おうとして
「
そう言った彼の言葉にそれを飲み込んで、ただ彼の頭を撫でた。
月に照らされたアルレッキーノの姿に、彼は自らが彼女に救われたその日を思い出していた。