彼は“お父様”に恋をした   作:─────

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「旅人、今すぐ歌劇場に向かってほしい。もうじき、フリーナがそこで召使に会う。どうかフリーナを守ってくれ。そうでなくては、フリーナは召使と側近の男の二人に同時に囲まれることになる」

 

その言葉を聞いて旅人とパイモンはできる限りの全力で歌劇場へと走った。

 

「……何かと縁があるな」

 

セルジオは静かに旅人へ告げる。

すると、召使が

 

「おや、君が自分から話すとは珍しい」

「……出過ぎた真似をいたしました。お許しを」

「その程度の会話で咎めることはしない。……ただ、知り合いかどうかに関わらず、セルジオが自ら話しかける相手は本当に珍しい。壁炉の家の家族にさえ話しかけられなければ話さないというのに」

「俺のことはいい、本題に入りましょう。お父様」

「……そうしようか」

 

旅人は普段とは違うセルジオの畏まった態度に驚きつつも、召使とフリーナの仲裁役のような立場として会話に参加した。

その最中、背後の彼は身動きひとつせずに旅人を見つめていた。

彼は水神であるフリーナよりも旅人を警戒していたようで、話し合いの途中、その視線が旅人から離れることはなかった。

 

────────────

 

「旅人、よければ私をそこまで送ってくれないだろうか?最後の数分間で、少し「公子」の話がしたい」

 

召使はそう言うと、セルジオに視線を送る。

 

「君は私の前を歩いてくれ。君が後ろにいては旅人も安心できないだろうからね」

 

セルジオはここで初めて召使の言葉に対して躊躇うような素振りを見せ、少しの逡巡の後に首を縦に振って歩き出した。

そうしてパレ・メルモニアから出てすぐに、召使は水神を襲ったことと、彼女が神の心を持っていなかったことを明かした。

 

「それでは私たちはこれで失礼したいところだが、まだヌヴィレット殿は未だ戻らないようだな。後一つや二つの質問に答える時間はあるだろう。……私はここを離れるが、彼に質問をするといい」

 

召使はセルジオに、しっかりと答えるようにと言いつけるとその場を離れた。

 

「行っちゃったぞ……いいのか?」

「機動力のみならば俺はお父様にも迫る。少し出発が遅れたとしても大事はない」

「よし、じゃあ質問……」

 

早速質問をしようとするが何も思いつかなかったパイモンが、もしやそれを見越して譲歩したと見せかける作戦だったのでは?と思い始めたその時、旅人が口を開いた。

 

「……どうして二つ目の神の目を持っているの?」

「神の目じゃない。邪眼だ」

「じ、邪眼!?」

 

彼の返答にパイモンが大声を上げる。

すると、彼は懐からもう一つ神の目──に見える邪眼──を取り出してその縁を取り外してみせた。

彼の邪眼を神の眼のように見せていた金色の縁は後から取り付けられた模造品だったらしい。

 

「邪眼は命を削るんだぞ!……そんなものを子供たちに持たせるなんて──」

「これはお父様の命ではない!……元々、邪眼の負の作用を受けづらい体質だそうでな。それを増強するために「博士」の実験を受け、そのおかげでいくつもの邪眼を同時に扱えるようになった。全て俺の意思だ」

 

稲妻で見た光景を思い出して焦ったようにそれの使用をやめさせようとしたパイモン。

しかし、パイモンが召使に言及した途端、彼は少し声を荒げ、その後軽く咳払いをしてこれが自らの意思であることを説明した。

 

「「博士」?そんなやつの研究……大丈夫なのか?」

「あぁ、今のところ不調はない。それでは失礼する」

 

近寄ってくるヌヴィレットを視界に収めると、セルジオは凄まじいスピードで去っていった。

 

「あいつ、本当に召使が大事なんだな」

 

召使が誤解されそうになった途端に声を荒げた彼に、パイモンはそんな感想を抱いたのだった。




寝ぼけて買いてるので誤字あったらすいません
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