TMR(of ephraim) プロトタイプ 作:バクネツ02
TMR(of ephraim)♯A02【Tiamo’s Maniacal Romance 】
《注意》
今回は現在主流となっている年齢設定の三年前ぐらい、ティアモ視点のエピソードとなっています。
私、ティアモは高二のクリスマスの夜に運命の人と出逢い、
初恋と失恋を体験しました。
しかし運命の人…クロム様のことが諦めきれず、
私自身の変革を決意したのです。
~私は変わる…変わらなければ私はクロム様とは向き合えないから~
とはいっても…今まで学校と家の往復でプライベートは全部同人につぎ込んでいた私、
どう変わればいいかわかりませんでした。
知り合いに助言を頂くことにしました。
とりあえず電話を…
PiPiPiPi………
『は~い、あらティアモじゃない。どうしたのよ、
こんな時間に…優等生のティアモが私に電話するなんてよっぽどのことね…』
電話に出たのはセーラ、自分の容姿に自信がありツンデレでツインテールの
唯我独尊我が道を行く破戒僧、いえシスター。
あのFETVに勤務しています。
彼女と接点があるのは以外と思われますか?
私のマンガがメディア化された時に商談の際、
彼女も孤児院出身であることを聞き親近感が生まれ、そこから知り合いになりました。
しかしなぜ彼女かと?彼女は自分自身に変革を起こした人物であり、
人生の先輩であるからです。
彼女は昔の自分、孤児である過去を封印し、一人身で社会に立ち向かいました。
画面の中では放送中止ワードを言ったり無茶なことしたりと…
性格的には問題がありますが、自らの意思を貫いて生きています。
『別に迷惑じゃないわ、私達親友だもの!
それに“ダチが危ないときは助けるのが親友だろ”
ってあのメタボですら言ってることだし』
誰かを歴然と小馬鹿にしているそんな彼女ですが、
本当は人の痛みを感じられる優しい人であり、
現に遅い時間、明日も仕事で早いにもかかわらず相談に乗ってくれます。
それにしても数回しか会っていないのに親友扱いですか…
その後、こちらの経緯をセーラに話しました。
『事情はだいたいわかったわ…ティアモは私みたいに変わりたいの?
あんたのような物解かりが速い子ならまあ遅かれ早かれそう思うのも当然よね…
孤児院って鎖国されたような所だから、
そこが全てと洗脳されているようなものだし、
結局保護っていう名の下の信者の確保でしかないのよね…』
彼女が漏らした感想は、狂信者が聞いたら激昂するような発言でありますが、
これが彼女が世界と向き合った答えであり、今のアイデンティティなのです。
『恋がしたいっても、同人で名が通っていて稼ぎがあるんだったら、
普通はあんたの方に男が寄って来るんじゃない?
まあ、キモオタ…ウチの同僚にもいるけど
そんなやつらは告白する勇気なんてありゃしないけどね。
そのチキンっぷりを端から見るのは楽しいけど…』
また誰かを蔑む発言を…それは流してクロム様との運命の出逢い、そして失恋。
彼の事を忘れられず、願わくばもう一度愛を育みたいと気持ちをセーラに伝えました。
『運命の人に出会ったのはいいけど、緊張して酷い有様なことを言って…
相手にドン引きされてしまったわけ…まあ当然の結果ね。
訓練もせずにいきなり実践で成功させるなんて天才ぐらいでしょ…
ま、私は天才なんか認めないけどね!』
セーラが私に対しダメ出しを吐きますが、私は感銘を受けました。
失恋したこと、それは私が天才でも才媛ないことを裏付ける事実だということに。
『うん、わかったわ!任しといて!私の言うことさえ聞いていれば、
ティアモのすぐに私のようになれるわよ!
今から私の言うことを実践すればいいのよ!』
誰かとの支援会話と同じ内容を言い、私は彼女に従いました。
思い返すと、この時完全にセーラの信者であり、
それ故今後の運命を大きく変えることになったと思います。
セーラの言葉を受けた影響が未来から来た娘、
セレナの性格に反映されているのだと。
★
セーラ様の有り難い?助言 の始まりです。
『私が考えるにはね。ティアモがその運命の人の前で緊張したのは、謙遜しすぎなの!
漫画の才能にしたって、その容姿だって光るものがあるのに!
要は自分にもっと自信を持つことね。どんな相手でも、その運命の相手にも。
自分の方が上なんだって思うようにするといいわ!』
クロム様より上!?どうして同じではだめなのか?
そう男女平等ではないの!!
『男女平等?あんた覚醒のキャラなのにそんなこと言ってるの?
時代は男卑女尊!男は“疾風迅雷”を習得できないじゃない。
はっきり言って攻略のお荷物よ!
だから寧ろ相手を見下すくらい…あんたが私の運命の人だと思わせるようにね!』
見下す…ってクロム様を!?
そんなことできないわ!
『スイーツ脳は筋金入りね!
ティアモは運命の人と恋人になることを終着点としか考えていないの…
でもね、もっと先のこと結婚して子供が生まれることも…
その時にいくら耐久無制限の専用武器があるからって“武器節約”が無いのは、
凡庸性、人生設計に欠けるのよ!
そんな男を立てていたら家庭の経済事情は“蝶サイコー”、あんたも男も共倒れよ!』
ふと気付いた、私でさえ知らなかったクロム様の情報を持っているなんて…
これが革新者も力?
それに、け…けっ…結婚!?子供!
じゃあ…私とクロム様がキ…キスそしてチョメチョメまで!?
私は頭がショートした。電話越しのセーラにもそれに感づくほどでした。
『ティアモ…あんたがいかにお子ちゃまだということがよくわかったわ…
その状態…自分を謙遜した状態で結婚まで至ったとしてもね、
男というものは“あいつは俺にべた惚れしているから何も言わない”
と図に乗って外で女を作る。まあ、浮気されている時点で
あんたには魅力がないって言われているようなものだけど…
だから相手より上だと思うってことは結婚生活での主導権を得る他に、
浮気防止にも繋がるの!いい、わかった!!』
こうしてセーラの講習が続くのでした。
一段落着いたところで恋の先人に現在の恋愛事情を聞いてみました。
『私は…今のところフリーよ…狙っているとしたら、
アラサー手前の仕事一筋で家族想いで色沙汰との無縁のリーマンかしらね。
“俺にはお前しかいない、お前がいなかったら俺は一生一人身だろう”
っていう人間かしら…』
拍子が抜けた。彼女は元貴族発言する程に贅沢な暮しを求めると思いましたが…
理由を問い詰めすることにしました。
『何でって?その極意に至った理由?
昔は玉の輿でセレブを狙ってたんだけど、
よくよく考えると御曹司との結婚って家庭内の揉め事(KINSIN)が面倒だし、
こいつらの私利私欲せいで私たちみたいな孤児が絶えないんだと思うと、
胸糞悪くなっちゃって逆にこちらから願い下げだわって…
だから、セレブでなくてそれなりの生活ができたらいいかなーって
思うようになったの。
って何私の事聞くのよ!まあ親友のティアモだからこそ話たんだけど』
なんだかんだ言ってセーラも温かい家庭を望んでいるんだと微笑ましく感じました。
それから具体的にどうして行くのかと尋ねてみると…
『それじゃ…まず第一に髪型がダサい。
本当にダサい…つーかそんなんで“好きです”って言われてもまず無理だわ…
武器を持たずに戦場の最前線に向かうくらいの愚行だわ
まず大人の髪型にすることね!』
画面でおなじみの毒舌を容赦なく放ってくる。
確かにそうよね…自分でも気づいているほどだから。
大人の髪型しろと言うが、
自分はツインテール…少女がするような髪型をしていると返すと…
『わかってないわね…ティアモ、
ツインテールって髪型は選ばれた人間しか似合わないのよ!
並の人間がしたって失笑を買うだけ、どう私は似合ってるでしょ!』
あくまで自分のスタイルを貫くセーラ。
よほど自分に自信がなければ言えないことをあっさり言い切ります。
『私のことはいいから!あんたのそのダサい髪型、年末までになんとかしなさい!
続きは年明け、私の休みの日に付き合ってあげるから!』
とその日の相談は幕を閉じました。
★
年が明ける前、セーラに言われるがまま私は髪型を変えることにしました。
向かった先は『ヘヤサロン“ダイディライオン” 』という美容室、
チーフのパーンさんを中心に奇抜な髪形をした人達が経営しています。
凸出しワカメヘヤー(セーラ談)のパーンさんに私は“大人っぽく!”と一言、
つまりお任せしますと頼みました。
さすがに戸惑ったパーンさんに別の従業員、
ステキカット(セーラ談)のトルードさんが提案しました。
“君、だったらこのトルードカットはいかがかな?”
いいえ、結構ですと丁寧にお断りしました。
おかっぱに加えてロン毛なんて笑いの的です。
私はもっと小悪魔系?GAL系!縦ロールみたいなのがいいかな…
だったらそう言えよとツッコミは勘弁してください。
すると別の人、前髪を縦ロールにしたセイラムさんが提案…即却下しました。
この人たちのセンスはついて行けません。
よってチーフのお任せしてもらいました。
パーンさんはしばらく頭の中でイメージを膨らませ出来上がりをシミュレートし、
何か閃いたと同時に、腰にかけてある革製の収納ケースに手を伸ばしました。
カッコいいです。
短刀をはさみに持ち替えただけで、元もイメージを崩さずとても様になっています。
パーンさんのお任せの結果、
両方にある三つ編みのお下げを解いて、ストレートパーマをあてました。
その時、編み込んだ時にくせになった部分を完全に伸ばしきらずに
跳ねる形で躍動感をつけてくれました。
作業が終わり、鏡越しに自分自身を見ると、
まだ肩にかかるぐらいの長さでありましたが
現在の髪型の原形した私が映っていました。
また事の間、私が自分の身だしなみを疎かにしていることも露わにしてしまい、
パーンさんはラーラさんにお化粧の仕方を指南するよう言い、私は教えを頂きました。
美容室を出る頃には、まったく別人の私でした。
ダイディライオンのみなさん本当にありがとうございます。
年明け…テレビ局に勤めているが故、
多忙のセーラがやっととれた休日に一緒にショッピングに行く約束をしました。
その間私は女子力を高めるために料理に裁縫、編み物、音楽に力を注ぎました。
特に編み物は頑張りました。
また逢うのが寒い時期であればこの手編みのマフラーをプレゼントしたい。
そう…“この気持ちまさしく愛”だということを込めて。
★
セーラとの約束の当日、その日は世間も休日でした。
私の方が待ち合わせ場所に先に着き、しばらくしてセーラがやってきます。
「やっほー、ティアモ!その髪型似合ってるわね…
敢て真っ直ぐに伸ばしきらずに跳ねている所が
“私は薔薇のように棘がある女よ” という雰囲気出しているじゃない。
なかなかセンスいいわね!」
似合っていると言われると正直に嬉しいです。
でも棘があるという表現はなんだか悪女という捉え兼ねませんが…
「そんなんじゃなくて、
“私は一筋縄ではいかないわ、それでもいいならかかってらっしゃい♪”
ってことよ」
そう言われると納得しました。
しかし…彼女は変化球を投げられる(言い周し)のに
ジャイロストレート(毒舌)を吐くのでしょう?
それはさておき、今日の目的を聞いたのですが、驚く答えが返って来たのです。
「そうね、髪の次は身だしなみね…、下着を買いに行きましょ!」
普通は服とかアクセサリとか化粧品ではないかと聞いてみましたが、
あっさりと一蹴されました。
「いい!大人の女性はいつも妖艶な雰囲気を出さなくちゃいけないし、
ティアモ!あんたは運命の人の連絡先聞いてないんでしょ!
だったらまた何時何処で出遭うかわからないんだから!
いつでも戦えるように常に勝負下着を着用すべきなのよ!
どうせ色気のないものしかもっていないでしょうからね!」
勝負下着/////!?そのくらい私でも意味は知っています。
まったくセーラの発想は私の二三歩先を行っていています。
ここで異を唱えようとしても、焼け石に水。
仕方なく私は彼女に従うのでした。
「ここらで大きなランジェリーショップはデパートね!さっ行くわよ!」
★
セーラに案内されてやって来たのは紋章町商店街アンナのデパートでした。
従業員はみんな同じ顔です。もしかして彼女達は生体端末のイノベイドでしょうか?
建物に入り、2階にある婦人服売り場に向かいました。
そこは服以外にも化粧品にバックに靴に小物に装飾品と
女の子に必要な物が揃っていて、私は目を輝かせました。
しかしセーラは見物させてくれず、真っ直ぐに下着売り場に連れられました。
「あんたは時間があるかもしれないけど、
私は忙しいのよ!見たいなら一人の時にしなさい!」
時間がある?…私も漫画を描いている頃はもっと忙しかったわ!
と反論しようとしましたが…
セーラはもう売り物に目を配っていました。まったく、もう!…
話題を変えてどういう物がいいか聞いてみました。
「大人の女性の魅力的な下着、
そうね…デザインは個人の価値観もあるし…絞り易いのは色かしら!
暖色系やパステルカラーではどうしても幼さが出てしまうし、
白系なら汚れの無い清純なお嬢様って感じなのよね…
大人っぽさ出したいならやっぱり赤、紫、黒の濃い色ね!」
そうなんだ…では試しにセーラ自身が合う色を聞いてみる。
「私?やっぱり紫かな…そうアメシストのような気高い色ね!」
アメシスト…たしか紫色の水晶で『愛の守護石』、『真実の愛を守り抜く石』
と呼ばれていますね。
さすが先人!改めて思いました。
なら私も愛が欲しいので紫(アジメスト)にしようと言おうとしたのですが…
「ティアモは髪が赤いからね…黒とかいいんじゃない?
赤と黒のコントラスト…ガーネットみたいで神秘的でしょ?」
ガーネット…それは『実りの象徴』とされ、目標に向かい、
地を固め、努力を実らせ、成功に導くと言われている石。
『実り』の効果は、恋の成就に手を貸し、
古い伝承において大切な人との別れに再会の誓いとしてのこの石を贈りあいや、
友情の印などと深い『絆』として表現されていた…
それ故に、大切な人との愛情を深める『一途な愛』を象徴する石。
ガーネットを自分自身で表現すること、
それは愛を成就させることに繋がる、今の私に打ってつけね。
しかしセーラはこれを踏まえて言ったのかしら?
おそらく勘ね…彼女はもしかしてイノベーター?
とにかく私は黒色に絞ることにした。
後はデザインか…悩みながら売り場内を探索していると、
そして他の客、三人の少女がいることに気がつきました。
彼女達はそれぞれ碧色、翠色、緋色と鮮やかな髪の色で、
某三姉妹?と思いましたが人違いでした。
遠目から見ていると、セーラがその一人に声をかけにやってきました。
「あらリンディスじゃない!」
どうやら三人にうち翠色の人と知り合いのようです。
本来ならここでセーラお馴染の毒舌台詞を発するはずですが、
何故か言いませんでした。
ここはランジェリーショップ…つまり下着売り場。
ここにいることは大方新調するために来たことのでしょう。
また胸が大きくなったの?というのは自虐でしかありませんから…
それにしてもリンディスさんは胸が大きくて、羨ましい。
私もあれくらい欲しいです。
しばらく会話を盗み聞きいていた所をセーラに見つかり、
呼ばれ、その方に近づきました。
とりあえず自己紹介を…初めましてリンディスさんと…
リンに対して敬語で話してしまったのは初対面だということと、
その容姿あと胸から年上にみえたからです。
すると彼女の返事を耳を疑いました。
「さんって、私は年下ですし、それにまだ小学生ですよ…」
しょ…小、小学生!?ホントですか…私はに負けたの…
高校生の私が?胸囲が…小学生に!?
気を取り直して…い…いますよね、
たまに育ちのよい子供って…はははっ…
いや、もしかして彼女も革新者?
胸が00?だぶるおーっ?だぶる○っぱい?
リンさんの他二人は姉である碧色の髪をしたエイリークさん、
緋色の髪の子が妹のセリカさんだそうです。
てっきりこの姉妹の中でリンさんが年長者と思ったのは私だけじゃないですよね!
それにしてもエイリークさんとは仲良くなれそうと思いました。
末女のセリカさん、外伝小説版の絵を見る限り結構胸があります。
神官戦士がそんな露出しているのはいささか問題があると思うのですが…、
しかし異界の魔符ではぺったんこです。
胸が膨らむかどうかはこれから次第でしょう…
できれば膨らまない方向で…革新を起こさないで欲しいです。
それにしてもリンさんより年下の彼女はブラをつける年齢なんでしょうか…?
と口を滑らせてしまいましたが、年に合わないほど透かした様子で、
「アルムも異性に興味を示す年頃、
いつ求められてくられてもいいように今から準備しなくちゃいけないの」
この子マセています。この姉妹の中で一番大人ぶっています。
いくら彼女も一途だとしても…なんだか性に合いません。
私の中にある何かが訴えて来きます。
そう…生まれて来る前から因縁めいたモノを。
その後、姉妹達と別れ、私は再び黒色…目標の物を探すことにしました。
半刻後でしょうか、セーラが私に呼び止めました。
「ティアモ!あんたにピッタリのあったわ!私の一押しね、間違いないわ!」
セーラが探し出してきたのはドラクエ、
とりわけⅥでいう『とてもいえないもの』つまり『えっちな下着』、
黒基調とした上下、ガーターベルトに付属したもの。
モンスターでさえ見とれさせてしまう程の代物だったような…
しかしそんなものどこから見つけてきたの!
一体何でそんなものがここにあるのよ!!
「だって~珍しかったし~♪
それに私行商人だし他所から仕入れてもおかしくないでしょ」
近くにいた店員のアンナさんが答える。
それは百歩譲って小さなメダル100枚集めたのだろうか?
試着をせがむセーラに渋々従い、着替えることにした。
これから着ようとする物を改めて確認すると、これって上級者向けではないか…
一応着替えたところにセーラが覗きこんできた。
「やっぱり私の見立ては正しかったわね、似合ってるわ!胸以外ね!」
胸元が寂しいのはどうしよもないじゃない!
そしてセーラはまたとんでもないことを言ってくる。
「じゃあ、その上から服を着なさい。
それで家まで帰るの!嫌なら服なしでもいいけど」
それは慎んでお断りします。
これ着ながら帰れとか…でないとセーラのようになれないと…
これもクロム様に振り向いてもらうための試練と捉え、要請に応える私でした。
私が装着を終え、戻って来るに頃には兄弟家の姉妹も買い物を済ませていたようです。
何を買ったかどうかは聞きませんでしたが…
私が会計を済ましている間に、セーラがまた無茶な提案をします。
「リン!せっかくだからどこかでお茶しない?」
姉妹たちは買い物分しか持ち合わせていないらしく…
お小遣いが限られていますからね。
辞退を願ってきたのですが…
「大丈夫、大丈夫!ティアモが奢ってくれるから、ねっいいでしょ!」
私が払うの!?セーラじゃないの?
まあ私がこの中で年長だから…仕方ないか…
★
私達はデパートの飲食街に向かい、喫茶店へ入りお茶とお喋りを楽しみました。
「あのもしかして、ティアモさんって
あのルネス女学院高等部のティアモさんですか?」
そう、私は実はルネス女学院に通っています。
そこは保育部から大学まで一貫のお嬢様学校でありますが、
どうして私のような孤児が通えるかというと、
学園では名家の御息女…所謂お嬢様組と市井出…実力組に分けられているからです。
悪い言い方すればお嬢様組はお金を積めば入れます。
それに対して実力組は熾烈な編入試験を勝ち抜いた人間です。
私は中学からこの学園に編入しました。
学費免除の待遇があるという安直な理由なのは内緒ということで。
エイリークによれば実力組の倍率は盗賊が天使の指輪を落とすぐらいだそうです。
そして彼女もまた熾烈極まる編入試験を勝ち抜いて学園通う学生であり、
私の後輩です。
「ティアモはさんは生徒会長候補に挙げられている程の秀才です。
しかし、自ら辞退されました。
それでも市井出の間では名誉あることですよ」
そうだったの?私は漫画描く時間を削るなど言語道断だから断っただけだけど…
私を持ち上げてくれる彼女も数年後その生徒会長の地位に就いています。
「そんなに凄い人だったんですか…」
実はリンさんはルネス女学院の試験を受け落ちた経緯がありました。
リンさんの呟きにセーラは
「リンはそんな凄い人から小学生なのに
“さん” づけで呼ばれている方がよっぽど凄いと思うけど…」
私もそう思います。
確かに彼女は凄いでね。特に胸が!!
素性を明かし合った後、
ここからがガールズトークの本題。もちろん内容は恋色沙汰です。
セリカは心に留めた人がいて、その相手はどうも兄弟らしいです。
これがKINSINというやつですか…
兄弟が多いならその可能性は無きにしも非ず。
しかし長兄は大の嫌いであり、なんとしても阻止しようとしています。
孤児であり天涯孤独の私にはどう足掻いてもできないこと。
そのKINSINを望む彼女に私は嫌悪感を抱いてしまうのでした。
ここからは私のターン。セーラによるとっておきのおはなし 新説恋愛進化論。
「(女の)武器も揃えたことだし…
じゃあティアモ、今度は実地よね!恋の経験値を積むことだわ!
異性と会話すること、つまらない女じゃすぐ捨てられるわ!」
姉妹達はセーラが私に指導を自分事と捉え、皆真剣にメモを取っている。
異性と会話するといっても、女子高の上、
自慢じゃないですが異性の知り合いっていないんですよね…
「ホントにいないの!?あんた今まで何して生きてきたのよ!?
普通いるでしょ同年代の男子が」
セーラのダメだしです。
ずっと漫画描いてましたから出会いなんてあるわけありません。
まあ…友達ではありませんが、思い当たる節と言ってもあの少年しか…
その時セリカが口を開いた。
「同年代っていったら、エフラム兄さんでいいんじゃない。
ちょうどデパートにいるはずだから…」
兄さん…?彼女達の兄も一緒に来ていたのか尋ねると、
「私の双子の兄上です」
「私達だけじゃ危ないから付き添いで来てくれるのはいいんだけどね。
いくらなんでも、女性の下着売り場にいられると困るから
時間を潰しといてって言ったんだけど…」
「なにそれ、新手のセクハラ?…つーか逮捕でしょ!」
「そういえば…兄上のことすっかり忘れていました!」
「エフラム兄さんなら、
おおかたデパートの屋上でヒーローショーを見ているんじゃない?」
「違うわね!…迷子になって、
児童預かり所の世話になっているとか?とんだ恥晒しね!」
「いくら兄上でもそれはないでしょう…」
彼女達の会話から私は考えていた。
エイリークの双子、おそらく髪の色も同じ。
それにシスコンで児童向けにも興味を示し、逮捕。
となれば、エフラムという少年は私が知っている彼に酷似している。
そう確信したと同時に…
「こんな所にいたのか、探したぞ。
まったく…終わったなら声をかけてくれ、おかげで建物全体を歩き回った…」
私達がいるテーブルに近づいて来た少年、
そう私の見覚えがある孤児院で会った少年だった。
私の気持ちは一気に昂った。
……会いたかった、会いたかったわ…ガンダム!!
……まさかね。
よもや君に出遭うとはセンチメンタリズムな運命を感じられずにいられないわ!
※以降、ティアモにはグラハム。エーカー上級大尉が武力介入し、
ガンダム=エフラムという解釈でお願いします。
★
エフラムを交え私達一行は移動を開始することになりました。
その途中、またもセーラの思いつきで私とエフラムを二人きりにし、
残りの四人は私達を尾行することになるのでした。
要はエフラムで恋愛家経験値を積ということ。
私は合流するふりをして、しばらくエフラムと二人で歩きまわりました。
……ガンダム、次はどんな君を見せてくれるの?
食品売り場を横断中、店舗内に展開中の屋台の前を通った時、
彼の腹の音が鳴らせました。
私達がお茶をしている間、ずっと歩き回っていたようだから無理もない。
目の前にある屋台で食べ物を買ったのですが、
彼はそんな暇などないような顔つきをしていたのを、
無理強いに近くのベンチに座わり一緒に食べることにしました。
胃に物を入ることで彼の表情は少し穏やかに変わり、
よほど空腹で急いで食べたせいか、口周りに食べカスがついていた。
いつも子供たちを相手にしてるがゆえに、
気を張っている彼の可愛い一面を見ることができました。
……抱きしめたいなガンダム!!
完食後、未だ彼は髪型を変えた私の事を分かっていない。
まあイメチェンとしては成功だけど。
ガンダムの反応が鈍い、
いや何かの作戦?多少強引でなければ口説けないということかしら
よって、大人の女の仕草で彼の目線を釘づけにし、
変わった私だと気づかせようとしました。
私の貧しい、いえ可愛い胸では魅力が足りず、
黒のガーターベルト一式と短めのタイトスカートを履いた脚で挑む。
足を組んで見えそうで見えないスカートの中を意識さましたが
…効果が無いようでした。
身持ちが固いわね、ガンダム!!
しかしその堅牢な装甲、私の想いで貫いて見せる!
次は手で髪を流して流し目で彼を見つめますが、スルーされました。
一度ならず二度までも、この口惜しさたまらないわ、ガンダム!!
だが、私をカスタム化したプロフェッサー(セーラ)の為にも
引くわけにはいかないわ!!
その後、色々アクションを起こしましたが、全て流されました。
何度私の顔に泥を塗れば気が済むのよ!!
堪忍袋の緒が切れた、許さんぞ、ガンダム!!
★
煮えをきらした私は正体を明らかにしました。
「あの時の…君だったのか…気づかなくてすまない。今もマンガを描いているのか?」
彼は謝りつつ、私の現状を尋ねた。
私は表情を曇らせ、恋をするために描くのを止めたと返す。
すると彼は解せん顔つきをして答えた。
この時私は緋、貴方は碧のオーラを放ち、後ろにそれぞれ誰かが憑いていたと感じた。
「何故止めたんだ?」
やはり貴方はその反応を示すわね、おそらく考え直せと言うだろう。
悪いけどその意見は却下させてもらうわ、そうするだけの理由が私にはあるの。
『なぜ神はこうも無慈悲なのだろう…すべての人に愛を与えてくれなのか?
なぜ世界はこうも残酷なのだろう…どうして全ての人間に肉親がいないのか?
愛をくれる人まで淘汰していくのか?
なら愛というものがあるのだろう…自己欲求を満たすだけのモノ?
与えてもらうのでなく掴むモノなの?
だから私は愛を追求するのだろう…いや貪欲なまでに求める、果てしないほどに!』
以前貴方と私は求めているモノ、
違う道筋でも終着点が同じであれば良いと言った。
でもそれは私がクロム様と出逢ったことにより交わらなくなる。
そしてすれ違うどころか私はあなたと反対に進み、
その結果、対峙してしまった。
「私と貴方は運命の赤い糸で結ばれていた…戦う運命にあったのよ!
そう、ようやく理解したわ。私は貴方の圧倒的な性能に心奪われた」
私は感服した、貴方の魂の気高さに。
貴方への気持ち、これは愛。その身を引き裂きたい程の!
そう、愛が重すぎれば憎しみに変わる。
だから貴方は私の恋愛経験値の糧になりなさい…
「この気持ち、まさしく愛よ!」
「愛…だと?」
周りの人間がドン引きしている中、貴方はわりと平然としている。
そうだ、それでこそ私が追い求めるガンダムね。
なら、さらなるアプローチを試みる。
大人の女性なら言葉巧みに相手を手玉に取るくらい話術がないといけないから。
「しかし愛を超越すればそれは憎しみとなる!
行き過ぎた豊かさ(ソフィア)が心の貧しさ(リゲル)を誘発し、
理解を拒み、憎しみ合うように!! 」
そう行き過ぎたシスコンがロリコンに変わり、冤罪を誘発するように。
「それを知っていながら、なぜそうまでして恋に焦がれ、愛を求める! 」
「乙女に恋をする理由を問うのは…ナンセンスなのよ!」
なら敢て言わせてもらわ!『Ti amo』であると、心の中でね。
「恋を…自分のための愛を求めるなら…
孤児院の子供たちの生活はどうなるというんだ…
見捨てるというのか…同胞のそれも子供達を!」
今の私は恋に生きる女性に変わると決めた。
そんな道理私の無理でこじ開ける!と自分を正当化する言葉を返す。
「そうやって自分を犠牲にしたら…それで救われる、幸せになれるとでもいうの? 」
「君は歪んでいる!以前の君はそうではなかった…何故だ!?」
私が歪んでいる?失恋するまではそう思うだろう…
でも!失恋を期に私は世界と向き合い、考えた。
この世界の歪みを壊さない限り私と貴方がしていることは無駄な徒労、
ただの骨折り損。こんな私は心身共に限界に迎え、廃人になるだろう。
私が恋をすることは自分が生きること。
「そうしたのは神と世間と貴方よ!」
そう、全ての人間が平等に愛されていると説いているという神と
豊かさを飽満したいがため私利私欲に走る浅ましい人間。
そして圧倒的な性能の貴方と巡り逢った運命。
「神の業だから心ない人間せいだとしてとして、自分は悪くないというのか、君は!」
「貴方も思わないの?両親がいなく兄弟だけで育った自分の家が他と違うと!
それに貴方が善として行っている行為は社会からは
罪の目で見られているということを気づいてないの!?」
「知っているさ、だから負の連鎖を止めるために俺は諦めない! 」
貴方は気づいていない、親がいなくても愛を与えてくれた存在がいたことを。
自分一人で足の着いた生活もできないのに、愛を与えようとしている。
このことが憎しみを助長させる。
「だから私は愛を求める!孤児などどうでもいい自分の意思で!」
本当はどうでもいいとは思っていないわ…でも愛が欲しいの!
私も人と生きている、存在している、だから手に入れる権利がある。
「君も孤児の一人だろうに…そう思うなら自分と同じ境遇をさせないはずだ!」
「ならばそれは私の意思…そして児の声!生きる力なのよ!”」
私も孤児であり、愛に飢えている。
「違う!!君は自分のエゴを押し通しているだけだ!
なら君のその歪み!この俺が断ち切る!」
エフラムは背中に潜ませていた、槍…ジークムントの矛先を私に向けた。
だがその行為は矛盾している。弱き者を守ろうとする彼が弱き者に刃を立てる。
なぜそういう結論に至ったのかはわからない。だけど…
「良く言った…ガンダム!!」”
そう、貴方が正しいというのならその槍で私を好きにすればいい。
でも貴方は私を貫くことができないでしょうね…
今の貴方は私が陥った歪んだジレンマの中にいるのだから。
★
緊迫した状況が続き、その威圧の空気に近くにいた子供が泣き出す。
その泣き声に私も彼も我に返った。
彼は槍を下ろし、今すぐにでもどこかにぶつけたいやるせなさを
抑え無言で立ち去った。
無理もない、同志に真っ向から否定され、突き放なされたからだ。
私は悪くない。私の進む道は私であり孤児が生きる道。
そう思うとするが彼が離れて行くたび大切な何かを失っていくようだった。
どこかで様子を見ていたリンとセリカが彼の後ろ姿を追い駆けて行き、
セーラとエイリークは私に向かって来た。
「ごめん、エイリーク。あなたのお兄さんと…
ごめん、セーラ。せっかくお膳立てなのに私は台無しにして…」
エイリーク、そしてセーラも何かフォローを入れたみたいですが、
満身創痍であった私には耳に入らず、黙って一人家に向かって行くのでした。
★
私は帰路、暗い表情で歩いている途中、
服装が仇となったのかガラの悪い人達に囲まれました。
しかし、身長が高く、青髪をしたサラリーマン方が助けてくれたのです。
お礼を言おうと思いましたが、
その人は急に何かを感じ取ったように顔を強張らせました。
「KINSIN…は許さん…」
と呟き、鞄の中からリターンリングを取り出しその場から消える。
その人が去った後、ある本が落ちていました。
『 恋愛必勝マニュアル ~恋愛道の五輪の書~ 』
おそらく急いで探していたせいで気づかなかったのでしょう。
本のタイトルに目を惹かれた私は、
一度読んでから届けることにしようと思いました。
続きます…