TMR(of ephraim) プロトタイプ 作:バクネツ02
TMR(of ephraim) ♯A06 【Tiamo’s Madly Revenge】
私ティアモは同人作家から卒業しました。
その後日のこと、読み残しておいた『恋愛必勝法マニュアル』の続きを読むことに。
『恋愛必勝マニュアル』
恋愛道とは武士道と同じである。つまりは武士道とは生死を賭けた1対1の真剣勝負だ。
己を磨き上げ、その極みにある勝利を得るものである。(注意:ミスターブシドーは武士道を間違って解釈しています)
恋愛道とはガン○ムを賭けた真剣勝負であり、その極みの先にあるもの…争奪戦の頂点こそ、愛である。
だが戦いとは非情であるのが現実だ、これも肝に銘じておくがいい。
いかに勝利、愛を得るためには正々堂々に挑むのではなく、策を必ず謀る必要がある。
戦いで用いられる、兵法、戦術は恋愛にも応用することは明瞭であるな。
例え相手の方が手練れ、もしくは優勢であっても策次第では状況を反転することができる。
つまり、いかに好敵手が難敵、強敵、ガン○ムが難攻不落であったとしても
策を駆使すれば諸君らにも勝機、愛の成就があると言うわけだ。
まず基本中の基本は不意討ちだな。聞こえは悪いうえ武士道とは程遠いが効果は期待できるだろう。
不意討ちは相手の隙を作って動揺を誘う。隙を衝かれた心は脆いものだ。そこに追撃をかける。
そうすれば少し押してやれば簡単に揺れて落ちるだろう。
後はガン○ムを受け止め、その中の少年の心を捕える…これで完了だ。
と口で言うのは簡単だが、実際には難しいものだ、場数を踏む必要がある。
その次は姦計も効果的だ。故意に悪漢に追いかけられたところを助けてもらうように手配する。
助けてもらったら、“私にはもう何も差し上げるものはありません~ホントに…
じゃあ、あなたに、わたしの大事なもの…あ・げ・る はあと”
とお礼と言わんばかりに相手に近づく作戦だ。
他にも陽動または囮もいいだろう。意中の相手に恋人がいたとしても、その相手をおびき寄せ遠くに引き離す。
一人なったところを恋人のことを考える暇を与えぬよう集中攻撃する。
悪い言い方をすればNTRと言われるな。
だが恋愛とは弱肉強食、寝取られた方も所詮君たちの愛の力はその程度でしかない。
仮に運命の赤い糸で結ばれていたのであれば、阻止できるはずだ。
………
この本によると恋愛道と武士道は同じということでしょうか。
恋愛を成就させるためには何かしら手を打たなくてならないこと?
そうね…私は仮にもシビリアン。当然私の恋敵は武装しているでしょうね。
その宿敵に真っ向から挑めないわ…本当にこの指南書には感銘を受けるわ!
如月に入り、最も重要な日を迎えることに。それは恋する乙女達が意中の相手に好意を伝えることを後押しするイベント、
みなさん御存じのバレンタインデー。私の住んでいるこの紋章町でも毎年行われています。
“バレンタイン?製菓メイカーに踊らされて何してるんだか…それより漫画を描かなくちゃ” 去年まではという私でありますが、
今年は違います!何を隠そう、運命の人であるクロム様に出会ったからです。
しかしクリスマスの夜は惨敗に終わる結果に…まあその時はダサい芋女でしたから仕方ありませんね。
よってこのバレンタインにリベンジをしたいと思います。
手作りチョコレートと時期的に遅いですが年末から作っておいた手編みのマフラーもプレゼントして
クロム様のハートを狙い撃つ!…いえ射抜いてみせるわ!
………ここでまた問題点が、私はクロム様の連絡先を知りません。
これでは作ったのに渡せませんじゃないですか!
神様のバカヤロー!なにがバレンタインだ!
意気消沈した私はバレンタインデーなんてどうでもよくなりました。
憎きバレンタインデー当日のことです。これほど嫌な日は過去において経験したことがありません。
街は微笑ましいカップルが黒くて頭にゴのつく人類の生命体の如く、うじゃうじゃと湧いていました。
どいつもいつもイチャイチャしやがって、こいつら全員死ねばいいのに…
本当に『死ね!バレンタイン』って感じですね!
学校は女子高のはずですが…なんか女の子同士でチョコを交換し合ったりしています。
レズの何がいいんだか、はあ~早く帰りたい。
ようやく学校が終わり、速攻で家に帰ります。だってこの空気を吸いたくないじゃないですか!
帰って何しようかなー、前だったらマンガ描いてたけど…大人しく不貞寝でもするか。
そう思いながら商店街を歩いていた所…
紺色の髪で冬なのに相も変わらず右腕だけノースリーブの男性を見つけたのです。
なんという僥倖!生き恥(一人身)を晒した甲斐があったというものですね!
これは神が私に与えてくれた千載一隅の奇跡としか言いようがありません!
と声を掛けようとしましたが…なんと隣に女性がいるではありませんか!
そ…そんな…私のクロム様を…あのクソ女が誑かせたのね!
しかし元々付き合っているわけでもないので私に咎める権利はなく、一方的に現実を喰らいました。
…諦めきれない私、ならどうする?
そうだ、NTRすればいいじゃないですか。恋の指南書にも書いてあったことですし、なんて簡単なことでしょう!
でも仮に成功して逆恨みされたらどうしよう…殺せばいいか、死者は文句を言えませんし!
非人道的?違うわ、恋愛道とはガン○ムかけた真剣勝負。戦争なのよ!
だから殺してでも奪い取る。勝った者が正義なのよ。
というわけで私は近くの本屋でエムパカタログ(鈍器)を購入し、クロム様達の後を追いかけました。
人ゴミに紛れながら気配を消して背後から忍び寄るように近づいていき、
遂に女の後ろとり、今まさに必殺の一撃を与えようとしたときです。
女が振り向き、顔があってしまったのです。これはかなり気まずい…どうやってごまかそうかな…
それ以上に驚いたのはクロム様の隣にいた女性はエイリークだったことです。
普通髪の色で気づくと思われますが、彼女は毛皮の帽子を被っていたので誰だか分りませんでした。
「ティアモさん、どうしたのですか?」
と何事もなく挨拶をするエイリーク。
殴るモーションを必死に隠そうとしますが、如何せん重量のあるエムパカタログは隠しきれません。
しまった…計画が台無しじゃないですか!と思っていると
「カタログですか?ティアモさん同人はお辞めになったはず…」
と同人の方に注意が行っているようだったので、咄嗟に
“辞めたのは描くこと!今度は買い手の方を楽しまない?とエイリークを誘おうとしたけど、
バレンタインデーだし、水を差すのはいかがなものね” …と言い訳をし、即座に退散することに。
クロム様はなんだアイツ?という顔つきをしていましたが深く追求しませんでした。
再び距離をとってLet’s!stalking。ですが未だに私は信じきれませんでした。
私の想いの人、クロム様とエイリークがデキていたなんて…ティアモ超Shock!
エイリーク、あなたはエフラムと同じく私の恋路を阻もうとするの!
彼女との育んだ友情はもはや憎悪と化し、それすら超越し恋の好敵手に。
その後二人は、人気のない空き地まで歩いて行きました。
これは…まさか…まさか…私は今後の展開を高速思考で想像することに…
予想通りエイリーク顔を紅潮させチョコレートを渡します。
あーやっぱりね…それで次はキスよね。やるなら早くしなさいよ、この勝ち組め、どーせ私は負け組ですよ!
見せつけてくれちゃって!断崖絶壁のどこがいいんだ、私の方が胸囲勝ってるんだバカヤロー!
憎悪に取り込まれた私ですが、嫌なら邪魔すればいいものを律儀に最後まで見守ることに。
すると…クロム様とエイリークは互いに剣を交えました。
恋人同士なのになんで剣を交えているの?普通ここまで来たのならキスするのが普通じゃないの?
ここで私はある結論に至りました。
クロム様は真顔で好きと言えない人だから、剣でその思いを伝えようとしている。
それは言葉では表わすことができない大きなもの。
彼女は思いを受けるために剣で受けようとしているのかもしない(※ただの手合わせです)
つまり、私がクリスマスに振られたのは剣を持っていなかったから?
果たし合い…いえ果し愛。乙女座の人も剣撃に自分の想いをぶつけていたはず!
ならクロム様は背中を任せられる強いに人間に惹かれるということに!
見えたわ、私がエイリークからクロム様を奪還する方法が!
私が剣を持って彼女より強いということをクロム様に示せばいいのね!
ただ、エイリークは双生器である雷剣ジークリンデを有している。
はっきり言って反則よ…越えるためにはそれ以上の戦闘力をつけなくてはいけないということね。
だったらするべきことは一つ、彼女より強い剣士になること!
これは修羅の道、冥府魔道の旅路いえアンリの道だとしても必ず越えて見せる!
そしてその先の愛を手に入れるために!!
次の日、私は退学届を出そうとしますが周りは全力で止めにかかります。
ですが私は聞く耳持たんと言わんばかりに学校を後にしました。
この時私は、同人作家→名門女学生→無職に。肩書きなんてどうでもいい、私は一秒でも時間が惜しい…
学校で勉強している間にエイリークとクロム様が距離を縮めているのだから。
あれ?…学校辞めたのはいいけど、ところでどうやったら剣士になるのだろう?
私はシビリアンであり、剣が持てません。
ならクラスチェンジしようと大急ぎでチェンジプルフを買って来て使いますが、
転職先が無いと結末に…orz
私一生剣士になれないのですか!!
打つ手なしかと途方に暮れようとした時、都合よくエフラムの言葉を思い出します。
それは昔、孤児院で初めて話した時に言っていたこと。
彼は元々槍ではなく剣を扱っていて、ある出来事で変わった…と、
たしかバレンシア地方で…どうとか…
考えているだけじゃ前に進まないわ!とにかくバレンシアに行ってから考えましょ!
とポジティブシンキングをすることに。
要らないもの全て売り、アパートを解約し、荷物をまとめバレンシアに旅立つのでした。
………
何の策も無いままバレンシア地方までやって来た私、
剣士になる方法を得ようとリゲル地区を横断していると、あろうことかゾンビに包囲されることに。
初めて目にする異形の者に半ば興味を持ちましたが、相手は人を襲う魔物、今更ながら身の危険を感じました。
私の武器はエムパカタログだけです。角で攻撃をしますが重すぎて効率が悪く、多勢に無勢、追いまれます。
このまま…私は死ぬの?
何もできないまま、何もしないまま死んでしまうの?
南無三と覚悟を決めた時…
漆黒を基調として各所黄金に輝く鎧を着た、ナイト系の最高位であるGナイトのユニティ、
その容姿、金髪で顔は超の付くほどイケメンの騎士が突然現れ次々とゾンビを倒して行ったのです。
私は何が起こったのか分からずただ茫然とするだけで、
最後の一体を倒した後、私を救ってくれた方が声をかけて下さいました。
この状況は運命の出会いと言ってもいいでしょう。
並の女性ならイチコロでしょうが私にはクロム様がいますからね、この方が好きになるなんてありえません。
私の内心はこれくらいにして、騎士様は
「なぜ村人の君がここを出歩いている?自殺行為だぞ」
…と最もですね、その反応は。でも虎穴に入らずんば虎児を得ず、危険を冒さなければユニティになれないのだから。
助けて頂いたお礼とここにいる経緯を話すと、騎士様は私を後ろに乗せ、とある場所に向かいました。
連れて行かれた先はバレンシア地方の最北端に広がるルドルフ氏が領主としている場所。
騎士様もわけあってここで雇われているようで、お館様に話を通して下さり、しばらくの滞在の許可をとりつけて下さいました。
孤児であり市井出である私のためにこれほどの待遇をして頂くなんて…世の中捨てたものではありませんね。
ただ驚いたことにお館様が私にお目にかかりたいと言ってこられたのです。
その後、面会を兼ねた食事をすることに。
ルドルフ氏は私が同人の神であり、紋章町の歴史にも明るいことに興味を持たれ、
また私は自分の素姓とこれまでの経緯を赤裸々に話しました。
全ての人間に肉親がいないこと。
孤児院で育ったが神はすべての人に愛を与えず無慈悲である知ったこと。
愛をくれる人まで淘汰される残酷な世界にいること。
私が同人誌で売り上げを孤児院に寄付することは唯の偽善だと気づいたこと。
偽善の為に我が身が朽ち果てることに辟易したこと。
愛はどういうものか…自己欲求を満たすだけのモノ、与えてもらうのでなく掴むモノ、決して与えてもらうものではないものと考えたこと。
温室育ちの人間や、愛を与えてくれるのもだと他力本願な考えの人間に対して、
何も守れない、何も変えられない、己の理念も貫くこともできないと憎悪を持ったこと。
神が作った歪んだ世界の歯車でただのモブキャラとして生きるのではなく、
私自身の意思で生き、未来…愛を手に入れると決め、
その愛を得るために恋敵である人間より、精神的にも肉体的にも強くなるための力を欲しいていることを…
私の心内を把握したルドルフ氏はある有力情報を教えてくれました。
それは転昇の儀、バレンシア地方特有のクラスチェンジ方法。
ミラかドーマ教を殉じる者にのみその資格が与えられるが、
力や愛、そして生きることを冀う者に対し神が応える事例が確認されている。
ここにいる騎士様、私を助けた金色の髪を持つ男性もバレンシアに縁がないにも関わらずユニティに昇れた一人であり、
なら私も可能性があると踏まえたお言葉でした…
後日、騎士様と従者シルクの付き添いのもと転昇の儀式を行うことに。
ただそれは確実ではないですが…やるしかありません。私にできることは道なき荒野を進むのみだから。
着いた先はリゲルの滝壷にある秘密の祠、マミーが大量発生する絶好の経験値稼ぎの場。
魔物を蹴散らし、最奥の僕像まで進みシルクが転昇の儀を始める。
「この者、不詳のティアモ。その力と意思を推し量り、ミラとドーマの祝福をもって傭兵に至る転昇の儀、
あたわざるや否や知らせん」
正直言って神を不信としているのに、結局は神頼み…これは屈辱だ。
いや違う、これは臥薪嘗胆、修羅の道。矛盾を孕んだとしても自分の軌跡(みち)を切り開くための試練。
私は変わる…己に革命を起こし、愛を手に入れる。これが私の生きる軌跡。
彫像の目から光の糸の繭が私を包み込み、完全に密閉される。
すると体中に激痛が走り、既存の筋肉を構築する細胞の結合が一度切断され、新たな組織を再構築するようで、
繭から出た私が地面に足をつけた時、体の大きな異変に気がつくことに。
躯体が非常に軽い、まるで低重力下にいる錯覚を…
つまりは肉体が強化され、高次の戦闘形態になった証だと言える。
そう私は剣を得物とする傭兵のユニティに昇ること、剣を持つことが赦された。
シビリアン(村人)→ 傭兵
無事儀式を終え祠から出る頃には不浄者が蘇り、
私は騎士様に借りた剣と新たに得た力でマミーの群れを殲滅させる。
それと同時に体に違和感が走っていた。
屋敷に戻り報告すると、ルドルフ氏は吉報を喜ぶ中、忠告をされました。
その力を欲望のために揮うには二通りに分けられる。掠奪者と破壊者。
掠奪者は、過去に縛られ前に進むこと止め、いわば本能で動き、他者を蹂躙することに悦楽を感じる獣。
破壊者とは古い秩序を打ち砕き、再生という新たな世界を生み出す先駆者であり、矛盾と知りながらも行動する偽悪者。
…そうだ、私は先の戦いのとき力任せに敵を薙ぎ払っていた、違和感とこのこと?
ならどうすればいいと、身の程を弁えていない事を承知で訊けば、
ルドルフ氏は懐から自害用の小柄を取り出し私に向けました。
その短刀の刃先は曇が無い鏡の如く澄んだ輝きを放っていた。恐らく切れ味は言うまでもないでしょう。
私の無礼に憤りを感じ、始末するのだろうと息を飲む。
しかしルドルフ氏は、この小柄のような心と剣技を身につけよ…と仰られました。
それから後日、私はルドルフ氏直筆の書簡を携え、地図を頼りにある人物を尋ねることに。
件の人物とはルドルフ氏の小柄を打った人物であり剣匠としても腕がある人間。
私はその方に会いにいくため、荘厳なリゲルの滝の近くの森の山道をひたすら登り、
地図が示す場所に着くと辺りには集落もなく一軒の煙をあげた建物があるだけでした。
ここに私の師となる人が住んでいるのか…恐れながらも建物の中に入ることに。
中に入ると一人の若い男性がいた。この人物がそうなのでしょうか?
彼に要件を述べようと近づこうするとしきりに距離を取れと拒む。
そうはいかないとルドルフ氏から預かった書簡を渡し、内容に目をとおした彼は頭を抱えみながら、
「あの人はいったい何を考えているんだ?」
と愚痴をこぼしますと、視線を合わさないように私を見るなり、
お前は俺に剣を師事したいために此処までやって来たのか?と問う。
私は、はいと返事すれば、ルドルフ殿の頼みでも出来ない、悪いが帰ってくれないか…拒否される。
押し掛けで弟子にしてくれと不躾なことは百も承知。
だけど、私も引けない理由がある。私は彼に喰い下がり、隣接するまで距離を詰めて想いを伝えようとしたら、
「これ以上近づくな!」
と頑なに拒絶反応を取る。私はそんなに嫌なのか?
「すまない、俺は女が苦手でな。できれば一緒にいたくないんだ」
剣の師になるのもそうだが、それ以上に私が女だと言うことが理由なようだ。
女だから剣を持ってはダメなのか、そんな訳はないエイリークだって持っている。
だから彼が偏見を持っているだけだ。そのことを私は物怖じせず咎めると、
「そうではない単に俺は女が近くにいると痙攣を起こすからだ」
という答えを返す。つまりこの人は男食家ですか…いやまあそれはおいといて、
私は師事したい理由を伝えると…
「…つまりだ、君は意中の相手の傍にいたいがために強くなりたいというわけか…
馬鹿らしいな。そんなことのために剣を振るうのか」
…そうね、孤高の剣豪なら私の動機など、頭に蛆虫が湧いているほど理解し難い。
だけど、私は今までの経緯を切実に話すと…彼の心に響いたのか
「できる限りのことはしてやる。だが、お前が望む程のことはできなくても文句は言うな」
と渋々承諾を頂くことができた。
それから私はこの家に住み込みで修行にすることに。
また剣の弟子の他に鍛冶(ブラック・スミス)の助手も兼ねるようになりました。
実はというと師匠は少し名のある鍛冶屋であり、家に併設された工房で鉄を錬成をしているのです。
普段は鍬、鎌、鉈、包丁など生活に必要な実用品を打ち、店に卸すことで生計を立てていますが、
決して利益追求のためでなく、あくまで最低限の銭稼ぎの範疇だそうです。
なら剣は作らないのか?と私も疑問を感じて聞いたのですが、昔に廃業したそうです。
………
剣の修業が始まるにあたり、私に課せられたのは剣を握る前の体を作りです。
これは薄い紙を重ね続けて山をつくることと言っても過言道のりですが、仮に鋭く冴えた剣技をもつ器があろうとも、
資本である体が脆弱では、長時間に渡り武器を扱うことができません。
長期戦を強いられたら負けは確定であり、また剣士のウリは速さと身軽さであり強靭な足腰あってこその強さという理由です。
よって傭兵のユニティに昇れたといえど、つい先日までシビリアンで体が軟弱な私は体力と筋力をつける修行から始めるのでした。
毎日拠点である家から市街地まで赴き、生活に必要な物や刀の原料になる鋼材“玉鋼”を買いに行かされます。
時には良質の玉鋼が取れる恐れ山や竜の谷に自ら調達をすることもありました。
魔物に遭遇したら”スタコラ逃げろ!そうすれば自ずと足が速くなる。また危険察知の勘が鋭くなる“
というのが師匠の狙いだそうです。
ただ…竜の谷はDゾンビしかいないという鬼畜な場所で、一瞬でも気を抜いたら囲まれて終わりという状況でした。
これが獅子は子を戦陣の谷も落とすということですね…
買いだしが終わり、拠点に戻ると私は刀鍛冶の助手として働きます。
ただ鍛冶業営む人間には隻眼が少なくないとされ、
理由として顔面の間近で1,000℃越えの鍛冶を行うため失明するからです。
とはいえ技術は日進月歩、目や顔を守るための保護具が紋章町でも作られています。
ですがそのデザインは奇抜であり、端的に言うとローローが付けている般若面です。
よって鍛冶現場ではローローハウス化していることもしばしば…
話が逸れましたが、原料の玉鋼を高温炉で熱し、薄く延ばし、使用分ごとに小割りにします。
再び熱し、 “鍛練”作業に入ります。この鉄を鍛練する行為はとても重労働です。
鉄を溶かす程の高温炉の傍ら故熱い環境の中、
私は非常に重い長柄の向槌(ハンマー程度の認識で)を振り上げたと同時に背筋を伸ばし、
全身を沈めるように叩き下ろす役割を担っています。
一連の動作を行う度、息は汗ばみ息が切れ疲労で腕が重くりますが、途切れることなく打ち続けなくてはなりません。
故にそれは成人男性でも投げだすような重労働とされています。
一方師匠は私が与えた後、微調整として小鎚で形を整えます。
これは完成形を把握している人間の役目だそうです。
この日常を送ること数カ月…私は剣技はおろか、剣すら持たせてくれません。
不満を感じながらもこれも修羅の道と捉え、ただひたすら健脚作りと鍛冶打ちに専念するのでしたが、
我慢弱い私は毎日の日課である街へ買い出しのついでに本屋に寄り“る○うに剣心”を大人買いすることに。
これは剣術とは何かの手解きです。何故戦術書や五輪の書でなく漫画かと?
長年の同人生活を送っていたので、漫画から知識を得る癖が抜けていないのです…orz
その夜の日課を終えた私はさっそく、日中に買っておいたるろ剣を読み耽りました。
次の日から、緋村抜刀斎の意匠し、長く伸びた赤い毛をえりあしの辺りで結う髪型にし、
夜な夜な独学で天龍閃を研究していました。
…おかしいですか?みなさんも厨房の頃アニメや漫画に影響され、必殺技とかやったりしませんでしたか?
独学で剣技を身につける行為に熱意を受けたか、危惧したのか分かりませんが、
師匠は剣技の伝授してくださるようになり、それを機に師匠は刀鍛冶を再開するようになりました。
本来師匠は刀鍛冶だったそうでしたが、理由あって廃業としていたそうです。
刀鍛冶…それは己の心を研ぎ澄ますことでもある。
刀身の研ぎ澄まされた輝きは心の照り返しを表し伸びやかに反る様は心の在り様を示す
“気高く崇高であれ - Heart of Sword -”
刀はそうした方向性の追求により生まれたと言われている。刀に限らずそうだが武器は何かを壊すためだけではない。
物に込める意味はいくらでも変えられる
…と普段無口な師匠は雄弁に語り、
今まで私に剣を持たせなかったのはこの極意を体感させたためだそうです。
私は感服すると同時に、今までただ焦っていたことに深く反省した。
それから鍛錬の日々と剣と刀鍛冶の修行と日々が始まり、
数か月の過ぎた長月のこと。
修行の成果を得るため、私は転昇の儀を行うことに。
傭兵から剣士に昇れたのであれば、その筋で一人前の戦力といこと。
僕像の前に赴き、剣士に昇ることを冀った私は再び光の繭に包まれた。
シビリアン(村人)→ 傭兵 → 剣士
剣士に転昇した私は、更に増した力に実感が湧く。
師匠には悟られないようにしているが、実戦、師匠以外の相手と剣を交えたくて堪らなかった。
また師匠は私の剣士になったのを機に、刀の鍛練を伝授するようになる。
紆余曲折の末、師匠の手を借りて初めて自分自身の処女作品が完成させた。
師匠の刀に比べれば鈍らでしかないが、出回っている剣よりかは遥かに性能が良かったと思う。
この刀は“魁-サキガケ-”という銘を付けた。
魁とは雄々しいという意味が馴染みだけど、物事のはじめになることでもあるの。
ルドルフ氏に言われた“破壊者とは古い秩序を打ち砕き、再生という新たな世界を生み出す先駆者”
先駆者こそ魁であり、私は破壊者、自分の欲望のため力を揮う者であることを忘れないため。
季節は収穫の季節の秋、神無月のある日、私と師匠は作った物を店に卸しに行きました。
豊穣の土地であるソフィア地区では農業が盛んであり、鍬や鎌、鉈といった農具の欠かせないことから、
食いつなげるには十分な程の需要があります。
工房から麓の村までは背負い、そこから荷馬車を手配し、ソフィアまで運ぶのでした。
ソフィアに着くなり、街は収穫際の下準備で煩雑としていました。
お祭りですか…そういえば、コミケ以来こういった人の多い所に来てなかったですね。
師匠は卸売業の店主と話をしている間、私は自由時間を与えてくれました。
私物を今のうちに調達しておけということでしょうか、私も女性であること気遣ってくれたのでしょう。
感謝致します。
私は早速、賑わう街で化粧品や小物といった物を買いに回っていた時…
誰かに声をかけられました、もしかしてナンパですか、どこの誰よ困っちゃうわね…
「何故貴様がここにいる?」
その声の主はエフラム。私も同じことを思った…それに貴様って、以前の彼なら私のことを君だと呼んでいた。
つまり、彼は私に敵意を見せていることかしら、無論私も同様だけどね…
「ロリコンが私に何か用かしら。もしかして私に自分が間違っていたと土下座をしに来たの?」
私は彼を挑発する。もう彼のことなどどうでもいい、既に袂を別けた関係なのだから。
「違う。貴様はここにいて刀を持っているんだ」
私が刀を持って何が悪い?あなただって槍を持っているじゃない。その言葉は矛盾ね…それにもはや話す舌なんて持たないわ。
よって彼の問いを無視してその場を立ち去ろうとする。
「答えろ、何故貴様が武器を持つ!」
はっきり言って五月蠅すぎだ。
私は無言で抜刀し、剣先を彼の顔面に向け寸止めする。彼も焦る素振りもなく、紙一重の距離で止まり、冷静に答える。
「どういうつもりだ、貴様はこれほどに野蛮だったのか?」
「答えて欲しければ、無理にでも聞き出し見たらどう?」
「わかった…いいだろう」
私の意図が通じたのかエフラムは数十歩後退して、槍を構える。
それまでミラの顔をしたただのロリコンが一変して、ドーマの顔した極みを求める武人に豹変する。
これが例外のユニティ…ドーマとミラの両方の顔を持つ者。
私が初めて見せる彼の別の顔、ドーマの顔に武者震いが走るも、私はそのあなたと戦いたかった…と狂喜に満ちた。
それはジャギ様(北斗の拳)の“兄より優れた弟はいない”という自論を用いれば、
あなたに勝てばそれはエイリークに勝ったということ、クロム様の傍にいる権利は私の物となる。
私は、抜刀した刀を左の両手持ちで構える。元々私は左利きであり、尊敬するブシドーによるものでもある。
両手持ち…隙は大きくなるけど、威力が格段に上昇する。経験が浅い私が勝機、決定打を生み出す構えであり、
私が毎日鋼の鍛練で鍛えた振り下ろしの型を最も活かせる。
「いざ尋常に…」「勝負!」
互いに号令掛け合い、戦いの火花が舞い散る。
エフラムの得物は槍。射程が圧倒的に長いにも関わらず、私は一瞬で距離を詰め寄る。
彼は間合いを詰められまいと、先手必勝の一撃を放つとうするが、
私の速さに彼の顔に驚きの表情が見せ、肘を伸ばそうとした手を即座に止めた。
それもそのはず、私の速さは通常の3倍。いえ神速を越えた超神速の縮地。
“縮地”―る○うに剣心巻之十五、第170項より
『強靭な脚力で、初速からいきなり最高の速さに達する足運びで、
一瞬の内に相手の間合いを侵略することで幻の体技。
流派問わず剣術界に広く流布されて伝えられている。
決まると常人の目にはまるで仙術の類を使い、
地脈を縮め距離を短くし瞬間移動したかの如く写ることからこの名で呼ばれる』
そう、私の修行の初めに重点的に行っていたのはこの領域に達するまでの布石。
強靭な脚力を作るために毎日買い出しに行かされた。
初速から最高速度に達する瞬発力、持続性を作るため、魔物の拠点まで赴いたことは全て意味があった。
私は自分の剣の領域まで入り込むと、上段の構えから剣を振り下ろす。
「エフラム、引導を渡す!」
「チィィィ」
舌打ちを鳴らしながら、エフラムは咄嗟に槍の柄で私の斬撃を受け止める。
恐らく初手を放っていたのならこの動作は間に合わず、斬られていたであろう。
しかし、彼は危険を感じ初手を放たなかった。これが結果的に防御に繋がる。
これは戦いの経験から掴み取った第六感とでも言えようか。
その後も私は縮地で一瞬に距離を詰め、斬撃を受け止める光景が繰り返される。
鍔競合いの至近距離で私は防戦の一方の彼を挑発する。
「歯ごたえがないわ!女だから手を抜くか、それとも私を侮辱するつもりなのっ!」
「何を…愛を望んでいるなら、剣など必要ないはずだ!貴様が剣を持つ理由はなんだ!!」
「愛する人のために剣を揮う、だたそれだけよ!」
「そんな理由で!」
感情が高揚した一瞬の隙を付き、槍を弾き、私は彼に蹴りを入れる。彼は態勢を崩し、倒れ込む。
起き上がろうとするが、その動作は鈍く、表情が険しい。脚のどこかを負傷しているのだろうか?
私は倒れている彼の前に達、剣先を向ける。
「どうした、斬らないのか?」
エフラムはこの期に及んでも強気の反応をみせる。それでこそユニティのあるべき姿ね。
しかし負傷している彼を倒したところで、私がエイリークより優位性があると証明されたわけではない。
だから私は敢えて情けをかける。
「体が万全でないとは、なら斬る価値もナシ…」
その時、私の背後から敵の気配を察し、振り返ると二人のソルジャーが槍を構えていた。
兵士達は人のような生気を感じず、傀儡の人形のようだった。
「ジェニーか」
エフラムは誰かの名前を呼んだ。ならこの術者が呼び出した幻影だということ?
私は一瞬で兵士達を斬り伏せると、その体からは血飛沫を流れず、煙のように消えて行った。
再びエフラムの方に焦点を当てると、一人の少女が視界入る。
おそらく彼女がジェニーであり、幻影の術者ね。
彼女はエフラムの前に仁王立ちをする。
何故彼を庇うのか、おそらくロリコンに誑かされた馴れの果てだろう。
「引きなさい、少女。ここはあなたの出る幕ではないわ」
私怨の決闘に彼女を巻き込みたくない。しかし、言葉に耳を傾けず、
「私はエフラムさんを守ります。これ以上戦うのならあなたを倒します」
その覚悟潔し。なら倒す、それが彼女の本望でありユニティだから。
私が少女に刃を向けた時だ、第三者の叫びが聞こえる。
「やめろおおおおお」
…聞き覚えのある声、師匠の声だ。しかしその後、師匠は気を失う。この状況私も周りも理解できずにいた。
ただ、私闘をしている場合ではない事は確かだった。師匠を運び最寄りの宿に寝かすが一向に意識は戻らない。
ジェニーはシスターのユニティであり、杖なしで治癒魔法であるリカバーが使える。
彼女の救命の師匠に着ききりでリカバーを施す。その姿を信頼し看病につかせ私はエフラムと共に部屋を出た。
「いったいどういうことだ?」
「そんな私でもわからない」
おそらくジェニーがエフラムを庇ったシーンが原因だろう。
なら何故?…そういえば師匠。刀鍛冶の上達の手掛かりとして資料を読み耽ていたとき
古びた日記を見つけたことがある。文章の書き方からして男性、師匠のものではない。
その人物と何らかの関係があるのだろうか?
夜には別行動していたセリカが合流した。
私の変貌ぶりを見るなり何か言いたそうだったが、看病の手伝いに回った。
朝日が昇り、街が収穫際で賑わう中、私は師匠が目を覚ましほしい師匠の回復を祈るしかなかった。
次回に続きます…