重返青春記録1999   作:ヤグルマギク

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ーSide Pathー

 あぁ、久しぶりだねぇ、お嬢さん。



 高評価、感想、ここ好きをお待ちしております。
 最近はここ好きが特に欲しい


1stー05 横道小径

 シトシト、シトシト、シトシト・・・・・・

 

「何を言っているの?」

 

 ハッ! ”何を”か!

 見りゃわかるだろう。耳を澄ませば聞こえもするぜ?

 雨が! 雨が降ってんのさ!

 

 湿気た空気に、工場労働者の吐息みたいな生暖かい空気ッ!

 朝のデトロイトで工場横の小径にでも入れば、嫌というほど味わえるさ。ポッポと出てくる排気ガスか、朝食後の歯磨きを忘れた労働者の口臭かは分からないが、とにかく間怠っこしい空気だな。

 

「いつにも増して口が悪いね」

 

 お前さんは、いつにも増して、えらくお利口さんだなァ? あぁ、いいさ! このきな臭さはお利口さんにこそ分かるだろう!

 

 シトシト、シトシト、雨が降ってやがる。こんな天気の日は特に小径にろくでなしが溢れるもんだ。

 だぁれもかれも庇の下に入りたいからなァ!

 

 靴の裏にくっつくチューインガム!

 いつだって聞き返してくる可愛げの無いクソガキ!

 

 ギラギラ目の野良畜生供!

 

 そんで、何でもかんでも嗅ぎつけて、訳も分からず飛び込む馬鹿!

 

 路地裏ってのはいつだって何か待ち受けてるし、見えないようでいて、少なくとも一人はそこに潜んでいるものさッ!

 

 あのギリシアのッ! 馬鹿な王様がこさえさせたッ!

 

 そう、まるでッ! まるでぇ・・・・・・まる───

 

「ラビリンス?」

 

 黙れッ! 出しゃばりで、おしゃべりなクソガキめ!

 

 そうだ、あぁ、そうだ! そう、ラビリンスだ。奥の奥に牛頭の化け物がいる意地悪な小径だッ!

 

 だぁが、人食いの牛しかいないのは古代ギリシアだけのハァ~ナァ~シィだァ~。

 

 ここはシカゴの路地裏。シチリアの横道。ベガスの店の裏だ!

 

 現代のラビリンスにゃ、だぁれも、かぁ~れも、ドイツもコイツも、すぐにいらないもんを投げ込みやがるんだッ!

 

 だから気をつけろよ、お嬢さん。

 ここじゃ、緑色の目だけ気にかけたところで追っつかない、かァらァなァ!

 

 

 


 

 

 

 時間は刻一刻と過ぎている。一秒々々のすり減りは目に見えない霧雨のようで、砂時計の一粒が下に流れていくのにも似ている。

 

 だが、余裕を先生は認識していた。

 

 それは、いち早くアリウススクワッドを保護できたからであり、既に事情を知っているからだ。

 

 初めての時を思えば、十分に時間は余っている。気力も随分回復した。

 トゥースフェアリーという医者に診てもらえたのも大きいだろう。

 

 ただ、既に変化も起きていた。

 

「───恐らく、カタコンベ周辺はアリウス兵によって固められている」

 

 装備を身につけた錠前サオリは、帽子のつばを握って深くかぶり直し、意識して低くした声で述べた。

 

 既に何者かの襲撃があったことはマダム・ベアトリーチェに伝わっているだろう。彼女であれば、もしアリウススクワッドが逃げ出した場合、秤アツコの救出を考えることも分かっている。

 

 だが、それはこちらも同じことだ。

 

 故にサオリはアリウスの入り口であるカタコンベ周辺が警戒されていることを述べた。

 

”隠れてひっそりと・・・・・・いける?”

 

 サオリは画面の割れたスマートフォンを取り出して時間を確認する。そこに浮かぶ数字は、確かに危険を冒して突破する作戦より、慎重に潜入する作戦を選べる程度には時間が残っていることを示していた。

 

「問題ない、先生。だが───」

 

 サオリはヴェルティの方を見た。

 

「大丈夫、協力は惜しまないから」

 

 ヴェルティの言葉に、サオリは数秒ほど間を開けて、では、と切り出した。

 

「陽動と通信傍受の支援が欲しい」

 

 その要望にヴェルティは頷く。そして先生に周辺地図を求め、スーツケースから何人かのメンバーを呼び出した。

 

 

 


 

 

 

「わかったよ、相棒」

 

 一人は元シュタージの女性、コーンブルメ。彼女の活躍は先生の目の前でも行われ、その選定に異議は唱えられない。恐らく彼女がこのスーツケースの中で一番傍受が得意な人物であろう。

 

 彼女は、手持ちの傍受機を調節しながら頷いた。

 周波数は変えられているだろうが、使っている帯域自体は変わらない。そこから探り当てるように傍受機のつまみを回していた。

 

「後、10───いや5分ちょうだい! 今、頭にたたき込むから!」

 

 一人は怪盗───と言っても、彼女の見た目はヘイローが無いことと、ハスミより少し小さい程度の背の高さを除けば、そこらの生徒と変わらない。

 

 チェックの柄が入った落ち着いた薄灰色のキャスケット帽を被った少女は、髪色と同じヘーゼルナッツの瞳を周辺地図に注いでいる。

 

 ミルク色のニットの上から、チョコレート色のイートン・ジャケットを羽織る。

 黒のスカートは太もも半ばまでしかないミニスカートだ。そこまでの色合いを見れば地味といえるが、そのスカートの下からスラリと伸びる足は厚手の赤タイツを纏わせて、オシャレへと昇華させている。

 

「メラニア、相手はいつもの警備員より遙かに手強いよ」

 

 そう注意を促す声は怪盗少女メラニアの小脇から聞こえる。

 喋ったのはモフモフのバッグ。バックの口がバクバクと動き、その奥はうかがい知れない。よく見ればジッパー飾りのように見えた物は歯である。

 

「指揮はアタシが執ればいいんだろ、ヴェルティ?」

 

 一人は軍人。

 彼女は前の二人と比べて背は低め───と言っても前二人が高身長で、彼女も157cmとそれなりにあるのだが──

 

 ヘソ出しのタンクトップキャミソールにホットパンツ、それを覆うように厚手のアビエイター・ジャケット。

 コーデだけを見れば軍人らしくは無いが、ジャケットはきちんと軍仕様の仕上がりで、首元に星形の勲章が飾ってある。

 

 亜麻のように輝くブロンドヘアを長くざっくばらんに伸ばしている。それに被せたヘルメットは現代のパイロットが付けるような物では無く、少々前時代的なフライトキャップの要素を持つヘルメットだ。

 

 彼女はメラニアの小脇から地図をズイと覗き込み、数瞬のうちに要所を押さえ覚えたと見えて、直ぐに顔を上げた

 

「うん、任せたよ、リーリャ」

 

 軍人の少女に、ヴェルティはしっかりと伝える。

 そしてその後に彼女は三名の仲間を見る。

 

「───それと、雨が酷くなったときに」

 

 スーツケースから三本の傘を取り出したヴェルティは、それを別働隊に託す。

 

「そうならねぇ方が嬉しいけどな」

 

 差し出された傘を苦笑しながらリーリャは受け取る。

 

 

 

 そして独特のデザインをした傘を渡すと、ヴェルティ自身はスーツケースを持ち上げ、先生やサオリの方へ歩いて行った。




 長らくお待たせさせてしまってすみません。
 コマラ刑務所の居心地良すぎで……

 カサンドラは完凸、エツィオは二凸、それ以外の新規はとりあえず10連で引き当てる豪運を見せています。
 揺り戻しはブルアカの方で受けまくっています。

 ところで、書いてる最中に調べて、メラニア177cmって知ったんですけど、デッカ……
 でもまだデカい人いるんですよね……エターニティとか、189,99cmなので

 ブルアカキャラと身長差がヤバい……
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